子どもたちが楽しみにしている給食で、あってはならない事故が起きてしまった。 26日、福岡県の小学校で男子児童が給食をのどに詰まらせて死亡した。原因はウズラの卵とみられる。

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26日、福岡県の小学校で配膳された給食の写真がある。お盆の上にご飯と2種類のおかず、さらに牛乳がのっている。この給食の最中に、男子児童が亡くなる事故が起きてしまった。

福岡県のみやま市教育員会によると、26日午後、1年生の男子児童(7歳)が給食をのどに詰まらせてしまった。原因は、味噌おでんの中に入っていたウズラの卵とみられる。担任教師が、背中をたたくなどの応急処置をほどこしたが、男子児童はウズラの卵を吐き出すことができなかった。ドクターヘリで久留米市内の病院に搬送されたが、その後死亡した。

みやま市教育委員会:安全・安心であるべき学校生活において、起きてはならない事故が起きてしまったことについて、深く反省をし、大変重く受け止めております。

給食に出されたウズラの卵の大きさは、直径2センチほどだったという。みやま市教育委員会は、再発防止策としてウズラの卵を当面、使用しないことを決めた。さらに、他の食材についても提供時の大きさなどを検討し、児童に対しては、給食の食べ方の指導などを行っていくとしている。

■大阪でも同様の死亡事故 奈良市は「ウズラ卵は当面使用を控える」

給食で出されたウズラの卵を喉に詰まらせて児童が亡くなる事故は、大阪でも起きていた。

2015年、大阪市の市立小学校では当時1年生だった女子児童が給食でのどを詰まらせた。その原因は「鶏肉と野菜のうま煮」に入っていたウズラの卵だったとみられる。女子児童は病院で治療を受けたが、13日後に亡くなった。

この事故で、大阪市教育委員会は各学校に対して、「食べ方の指導」を行うよう通知した。今回の福岡県での死亡事故を受けて大阪市は…

大阪市教育委員会 上田慎一 保健体育担当課長:給食をペースト状にしたり、刻んだりして提供しています。よく噛んで食べることや、噛むことの大切さを子どもたちに伝えています。今回こういった事案(福岡県の事故)も起きているので、ウズラの卵の提供も含めて献立・食材については考えていきたい。

また、今回の事故を受けて27日、奈良市教育委員会は、給食で「ウズラの卵」の使用を当面の間控えることを決めました。さらに、粘りの強いもちや団子、水分の少ないパンなどでも窒息事故が起こりやすいとして、食べる時には注意するよう、子ども達に呼びかけた。

子どもが食べ物をのどに詰まらせる事故はなぜ起きてしまうのか? 政府広報オンラインのホームページに公開されている動画で解説されている。大きめの食べ物を口に入れると、それがつるんと喉に入り、そのまま詰まってしまうという仕組みだ。消費者庁によると、子どもは大人と比べてのどの空間が狭く、飲み込む能力も未熟なため、口から飲み込んだ食べ物がのどを塞ぐことがあると注意を呼びかけている。この状態になると空気が通らず、呼吸ができなくなり窒息に至ってしまうということだ。

専門家は…
NPO「Safe Kids Japan」山中龍宏理事長:小学1年生は前歯が全然ない子供もたくさん見ます。前歯がないもんですから、どうしても吸い込んじゃうんですね。ウズラの卵はその形のままで、喉の奥にちょうどスポっとはまり込んでしまう。これがその窒息が起こった状況だと思うんですね。

みやま市教育員会は今後、児童へのカウンセリングや心のケアを行う予定で、早ければ27日にも全校児童の保護者に対し説明会を開く方針だ。

■過去には米粉パンや白玉団子でも

給食では今回のウズラの卵以外でも同じような事案が起きている。
・米粉パン 2021年に新潟県佐渡市で米粉パンをのどに詰まらせて小学5年生の男児が死亡しています。
・プラム(種) 2013年、札幌市で特別支援学級2年の男児がプラムの種をのどにつまらせて死亡。
・白玉団子 2012年には、栃木市で保育園の2歳女児がのどに詰まらせて死亡。

■対処法 腹部を突き上げる「ハイムリック法」

子どもが食べ物をのどにつまらせた時、どのように対処すべきなのだろうか。

政府はホームページ上で1歳以上の子どもが食べ物などをのどに詰まらせた時の対処法を動画で紹介している。その対処法の一つが腹部を突き上げる「ハイムリック法」だ。

子どもの背中側から両手を回し、片方の手で握りこぶしを作って、それをみぞおちの下に当てる。もう片方の手でその握りこぶしを握って、両手で腹部を上へ、ぐっと圧迫する。これを繰り返すと、子どもがのどに詰まったものを吐き出すことができる可能性があるという。

子どもの窒息に気づいた場合はいち早く救急車を呼ぶことも大事だが、救急車が着くまでの間に、こうした対処法もできるようにしておいてほしいと呼びかけている。

今回の事故について、NPO法人の山中理事長は次のように話した。
NPO「Safe Kids Japan」山中龍宏理事長:7~8歳までの子どもには今回のような事故のリスクがある。リスクがある食材について、知識として知っておくべき。

窒息のリスクがある食材は、ウズラの卵以外にも、ミニトマトやぶどう、また、こんにゃくゼリーや豆、ナッツ類でも同様の危険性がある。やはり対策が何より大事だ。学校だけでなく、家庭でも起こりうることなので、例えば食材をなるべく小さく切ることや、本当にその食材を提供する必要があるのかというところも考えることが重要といえるだろう。

国や自治体レベルで再発防止策を考えるとともに、個人でも対処法を勉強するなど注意しておく必要があるだろう。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月27日放送)

関西テレビ
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