サッカーJ2・清水エスパルスはルヴァン杯のGS最終節で浦和レッズと対戦した。「勝たなければ終わり」の真剣勝負で、ACLチャンピオンを相手に先制したものの、後半に追いつかれて引き分けとなりルヴァン杯のチャレンジは終わった。J2リーグはブラウブリッツ秋田との一戦を残して後半戦に。次節のザスパクサツ群馬は唯一リーグ戦で3失点を喫した相手だ。秋葉体制ではリーグ戦13試合で8勝2分3敗の9失点。「アグレッシブ」な試合展開でゲームを優位に戦える力が備わったのは明らかだ。秋葉監督はリーグ後半戦のキーワードに「慎重さ」と「大胆さ」を上げている。

アジア王者相手に好ゲーム

ルヴァン杯のGS最終節、清水対浦和の試合はエキサイティングだった。アジア王者・浦和の早く正確なパス回しに、食らいつくようなプレスをかけるエスパルス。両者ともに高いインテンシティを保ち、繰り返し相手チームのペナルティボックスに入りゴールに迫るが、両キーパーが好守を見せてゴールラインを割らせないシーンが数多く見られた。

そんな中で試合を動かしたのは清水だった。前半33分、左サイドバックを任された岸本からの縦パスをコロリがうけ、リズミカルなステップでドリブルを開始。ペナルティボックス前でカットインし並走する北川に送ると、北川の右足から放たれたシュートはゴールの右上に吸い込まれた。北川は今シーズン3点目。なかなか得点に絡めなかったストライカーがJ1相手に決めたゴールはチームの士気に間違いなくいい影響を与える。

一方、浦和も「王者のプライド」をみせる。後半開始から酒井とリンセンを投入。そして後半4分、左サイドを斬り裂いた荻原のクロスから混戦となり、最後は明本が押し込んで1-1の同点に。その後スコアは動かず、清水はルヴァン杯をグループ2位で終えた。残念だが、あえてポジティブに言えば、これでリーグ戦に集中できる。

清水エスパルス・秋葉忠宏監督
清水エスパルス・秋葉忠宏監督
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試合後、秋葉監督はハーフタイムの選手交代を、「あれは自分の判断ミス」と振り返った。左サイドバックの岸本にアクシデントがあり、高橋を投入した。高橋はセンターバックを主戦場としているが、ディフェンスラインを4枚のままなのか、3枚にするのか明確な指示をしなかったという。選手の多くは、その判断が「必ずしも失点の理由ではない」と口にするが、秋葉監督は「『選手には自分に矢印を向けろ』といっている以上、自分は単純に3-5-2にした方がもっとできたのではないかと思っている」と話した。サッカーがエモーショナルなスポーツであり、悩みが伝染したかもしれないとも。だが、落ち込んでいるのではなく、これも「自分の経験値を上げて、同じ轍を踏まない」ための“糧”と前向きだ。

“慎重”かつ“大胆”に

ルヴァン杯の日程の影響で、清水のリーグ第21節位は6月28日に行われる。そのためリーグ戦の折り返しとなる、第22節vs群馬戦が6月25日に予定されている。そしてそこからは、リーグ5連戦となる。

清水エスパルス・北爪健吾選手
清水エスパルス・北爪健吾選手

群馬戦へ特に意気込んでいるのが、群馬県出身の北爪だ。「攻守にアグレッシブで、守備の固さがあり、簡単なゲームにはならないと思う」と警戒感しつつ、「楽しみにしてきたし、地元の人に成長して活躍する姿を見せたい」と話した。また5連戦にも「スタミナは自分の売り。連戦全部行くつもりで、毎試合いい準備をしたい」と力強い言葉を残している。サイドバックでケガ人が増えている中、高速アタックを仕掛ける北爪の活躍が期待される。

秋葉監督は、リーグの折り返しを“見直しの機会”と捉えていた。22日のミーティングでは、「守備に3点、攻撃で3点、全体で3~4点のポイント。あまり多いと覚えてもらえないから」と笑いを含めて伝えたという。

また練習では、新たなフォーメーションのトレーニングを行っていた。狙いについては「戦術の幅を広げたい。相手の研究の上を行けるように。」と語っていた。そのうえで、「選手はインテリジェンスが高く、解決能力ある。レベルが高く、こちらの先回りをして臨んでくれる。フォーメーションにはいろんな不具合がでるが、選手側から解決する行動や思考で取り組んでいる。いろんな考え方があるのがサッカー、やり方はどうでも、自主自立して意思統一ができればいい」と、手応えを感じているようだった。

第22節に向けては「群馬はいい順位にいるし、攻守で可変してくるので、油断はみせられない。まずは先制パンチ、それができなくてもしたたかに。熊本戦のような辛抱を。そして、『慎重に』、『大胆に』やりたい」と語った。

いよいよ後半戦、秋葉エスパルスの『正反対を実践できる成長』に期待したい。

(テレビ静岡・報道スポーツ班 外岡哲)

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