「塚田農場」が居酒屋を定食屋に

新型コロナウイルスの感染拡大により、消費者の生活様式が大きく変わることを見据え、居酒屋チェーン「塚田農場」などを運営するエー・ピーカンパニーが新たに食堂業態を立ち上げることがわかった。

立地や環境をみながら、まずは居酒屋の「塚田農場」の一部店舗を業態変更する形で「つかだ食堂」を展開する。
価格は、1000円前後で生産から物流加工、販売までを自社で一貫して手がける強みを生かし直営農場の地鶏や産地直送の新鮮な魚や野菜などを使用し、食事を提供する。
5月中旬から一部店舗で実施していたテスト運営を経て6月9日、池袋店をオープンし本格展開を始める。

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エー・ピーカンパニーは緊急事態宣言が発令される前の4月2日から、居酒屋業態では、いち早く全国のすべての店舗、約180店で一斉休業に踏み切った。
6月1日、約2カ月ぶりに営業を再開したが休業期間、社内では議論を重ね新規事業を生み出すための時間にあてていたという。
今後も状況を見ながら新たな事業を展開していきたいとしている。

居酒屋大手で動き続々

このほかにも、居酒屋大手では新たな動きが出始めている。

ワタミは、65店舗を閉店する一方、唐揚げとたまご焼きの店「から揚げの天才」を7月までに24店舗出店する。
テイクアウト比率が90%の業態で新型コロナウイルスの感染拡大で巣ごもり需要が高まっていることなどから店舗展開を加速させる方針だ。

また、居酒屋業態196店舗を閉店すると発表した「北海道」や「甘太郎」などを運営するコロワイドは閉店する予定の店舗を「コロワイド食堂」として、ひとり親世帯や経済的に困難な状況にある学生などに無料で食事と場所を提供している(6月1日~30日)。
日替わりメニューを6種類以上用意し、ドリンクバーも開放。感染対策を徹底した上で、場所を提供し子どもが遊べるスペースも併設した。
閉店までの店舗を、有効に活用できるほか従業員の雇用にもつながるとしている。神奈川県の「北海道」など4店舗からスタートし、今後は10店舗まで増やす予定だ。

緊急事態宣言解除後も居酒屋業態は、時短営業などで客足が戻らず、厳しい状況が続く中、既存のスタイルにとらわれない展開が功を奏すのかもしれない。

経済部
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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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