新幹線の車内でウェブ会議が可能に
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワークなどの導入も増えたことだろう。そのような中で、JR東日本が2月1日から、東北新幹線に“リモートワークが可能な車両”を設ける実証実験をスタートさせた。
新幹線車内でのリモートワークのニーズを調べるためで、実証実験の名前は「新幹線オフィス」。
東北新幹線の一部列車にウェブ会議や携帯電話での通話ができる「リモートワーク推奨車両」を設け、必要なときに自分の座席から移動してきてもらう仕組みだ。
乗客は対象列車の別車両に、自分の席を確保(乗車券、新幹線特急券を購入)する必要があるが、追加の料金はかからない。 また
「リモートワーク推奨車両」は仕事により集中できるように、2人席の座席には1人、3人席に2人までの利用となり、座席指定はない。
そして車両には、他人に会話を聞こえにくくする特殊な音「情報マスキング音」を流すスピーカーを設置。周囲への会話漏れを抑え、より安心して仕事に取り組める環境を整えているという。
もちろん通信環境にも配慮し、Wi-Fiルーターを無料で借りることができ、快適な通信環境でリモートワークを行うことができる。その他、自分の集中状態を測定することができる、特殊なメガネの利用が可能となっている。
そしてコロナの感染予防として、マスク着用のお願いをするとともに、濃度60%のアルコール除菌シートを用意し、座席やテーブルなどの除菌に使用してもらうとのことだ。
期間は2月26日までの土日と祝日を除いて実施。出張時などにはとても便利そうだが、すでに始まっている実証実験の利用者からはどのような感想が寄せられているのか?
JR東日本の担当者に話を聞いた。
移動時間の過ごし方も多様化
――今回の実証実験の対象になっている新幹線は一日に何本、運行する?
2月1日~2月12日は1日8本、2月15日~2月26日は1日10本、運行します。
――実証実験を実施する狙いは?
新型コロナウイルス感染症をきっかけに、時間や場所に捉われない働き方や暮らし方へのシフトが加速しており、移動時間の過ごし方も多様化し、その一つとして快適に仕事したいニーズも高まっていると感じています。
そのため、今回の実証実験で、新幹線での移動中における働き方について、お客さまのニーズなどを把握し、今後のサービスの検討に活かしたいと考えております。
――どのような人の利用を見込んでいる?
通常の出張時のご利用はもちろん、ワーケーションなどの新たな暮らし方・働き方における、移動中の時間の有効活用などを目的とした利用を見込んでおります。
利用者「パソコンのタイピング音を気にしなくてよい」
――利用した人からはどのような声が届いている?
「パソコンのタイピング音を気にしなくてよい」「電話の際にデッキに出なくてよいのが楽」「車内の方がデッキより静かで話しやすい」などの声が届いています。
――今回の実証実験の結果は、今後どのように活かされる?
具体的な計画は未定です。新幹線の移動に様々な付加価値を加える検討を行っており、今回の実証実験で得られるデータを今後の検討に活かしてまいります。
コロナ禍でテレワークの推奨や外出自粛などで人の移動が減少する中、鉄道会社は新たなニーズを探っていることだろう。新幹線での移動時間は長くなることが多く、この時間を有効活用したいという需要はあるはずだ。今回の実証実験を受け、今後、新たなサービスが生まれることを期待したい。
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