愛媛・松山市道後で78年営業している老舗土産物店「絣屋本店」が4月30日にリニューアルした。100年後の道後を見据えた大改装、その裏側に密着した。

愛媛の銘菓や地酒が並ぶ老舗土産物店

鈴木瑠梨アナウンサー:
リニューアルオープンした絣屋本店。早速、お客さんがおみやげを買い求めています。店内は、赤ちょうちんやステンドグラスのような窓もあって、レトロな雰囲気です

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新しい店のテーマは「大正ロマン」。広さは約230平方メートルある。商品も充実のラインナップ。

坊っちゃん団子などの愛媛の銘菓はもちろん、レトロな雑貨やミカンジュースや地酒など約2000種類の商品を取りそろえている。

山口県から来たお客さん:
何がいいかなと思って、何がおいしいかしらと思って見てるんですけどね。目が迷うんですよね

さらに店内では、作り立てのスイーツやドリンクも販売。パティシエが提供する本格スイーツだ。

中でも注目は、愛媛の菓子店などと新たに開発した「道後湯玉まんじゅう」。希少な小豆を使って作られたしゅまり餡(あん)を皮で包み、「カリッ」「しゅわ」「もちっ」のトリプル食感が楽しめるお饅頭(まんじゅう)となっている。

半年前に近くに引っ越してきた人:
子どもたちと3時のおやつに食べようと思ってます

中国から来たお客さん:
おいしいです。甘いは甘いけど、ちょうどいい甘さだと思います

鳥取から来たお客さん:
もっちりとして、あっさりとしておいしかったです

道後おみやげセンター絣屋本店 石田匡暁さん:
道後って歴史や文化が本当に深くあるステキな町なので、映画とかアニメの世界観に入り込んだ、迷い込んだような、そういった空間作りがどうしてもしたくて、こんな雰囲気になりました

昭和・平成・令和と3つの時代で道後商店街で店を構えてきた「道後おみやげセンター絣屋本店」。
2023年8月25日にいったん店を閉め、約8か月間かけて大リニューアルを行った。
祖父母から3代続く老舗が挑んだ大改装。そこには並々ならぬ思いがあった。

“コロナ”にも負けず大改装を決断

道後温泉駅を降りてすぐのところにある道後商店街。駅前から道後温泉本館まで続く通りには、土産物店や飲食店など63店舗が軒を連ねる。

その道後商店街で、戦後間もない1946年に下駄屋として創業した絣屋本店は、道後商店街を代表する老舗の土産物店として、昭和・平成・令和と看板を守ってきた。

ここ数年は、道後温泉本館の保存修理工事に新型コロナと、観光地・道後にとっては苦難の日々の連続だった。

道後おみやげセンター絣屋本店 石田匡暁さん:
この3年半ぐらい、コロナによって世の中がほんとに閉鎖的になり、経済的にも、とてもじゃないけど改修できる余裕もないという状況だったんですけど、逆にコロナを通じて、お客様にとって、従業員にとって安心・安全とはとか、そういう危機管理とかっていうのはものすごく僕の中でも価値観が大きく変わって。建て替えは、もう絶対に自分の中では今しかないと

まさに七転八起の精神で今回の大改装を決めたという。そして2024年7月11日には、約5年半ぶりに道後温泉本館の全館営業も再開される。

道後おみやげセンター絣屋本店 石田匡暁さん:
日本中でもそうですし、世界中で観光合戦が始まっていきます。道後は、もう今がベストだなんて全く私も思ってなくて、まだまだやりきれてない部分とか、そこは積極的に率先してやりながら、でもやっぱり、ここで住んでるとか、ここで商売してるとか、携わってる人間が、まずはこの街を本当に思いっきり大好きで愛して楽しまないと何も始まらないので

リニューアルに向けた準備も急ピッチ

リニューアルオープン12日前。この日は新人スタッフの研修日だ。すると石田さんは、スタッフを引き連れて店の外へ。道後の観光スポットなどを巡り、説明して回った。

道後おみやげセンター絣屋本店 石田匡暁さん:
いい接客とかいい接遇をするためには、まずはこの町っていうものを知らないと始まらないので、まずは町を知ってもらいたいっていうのは一番にあります

道後温泉第四分湯場 新人スタッフ:
いいです! ぜひおすすめしたいです! 美人の湯で

スタッフ1人1人が「観光地・道後の顔」ということだ。新人スタッフもリニューアルOPENを心待ちにしている。

新人スタッフ2人組:
地元だから、自分が今まで行ったことあるところしか全然知らなくて、観光客の方に聞かれた時に不安なく答えられるように、もっと色々町のこととか、お店のこととか、他のお店のこととかも勉強しないといけないなと思いました

神奈川から3年前に移住したスタッフ:
私は他県出身なんですが、道後が大好きで、松山大好きで、それをいっぱい世界中の方々に広めたいなっていうのを思ってまして、それでこちらに応募しました

そして2人は、「もう楽しみしかない」「やる気しかない!」「もうワクワクしっぱなしです」と意欲を見せていた。

店内の準備も急ピッチで進められた。お嫁さんのあゆみさんと大奥様の典子さん(81)は、商品の値札張りと陳列の真っ最中だ。

大奥様・典子さん:
(箱を開けながら)これ全部出しちゃうの?

嫁・あゆみさん:
出しちゃいますよ、きょう全部。午前中のお義母さんの仕事が…これ10箱です!

石田さんの父で、2代目の凱祐さん(79)と妻の典子さん(81)。レジの奥には2人のための特別な場所を作る予定だ。

道後おみやげセンター絣屋本店 石田匡暁さん:
2人ともお店が大好きなので。でも、もう足腰が痛くてずっと立ってはいられないってなったら、座っても失礼にならない演出というか。僕らもやっぱずっと現役でいてもらいたいので

道後の魅力アップへ 老舗の挑戦

そして迎えた4月30日。時刻は8時半。絣屋本店がリニューアルオープンした。

オープン当日を迎え円陣を組む従業員たち
オープン当日を迎え円陣を組む従業員たち

オープン直前には、従業員らが円陣を組み、「やるぞー」「おー」「よっしゃ行きましょう」と気合を入れた。

広島から来たお客さん:
おしゃれだし、見やすい配置になっているので、朝早く来てよかったなと思います

中国からきたお客さん:
大正の雰囲気を感じる。夏目漱石が好きな日本の作家なので、ここをすごく楽しんでいます

道後おみやげセンター絣屋本店 石田匡暁さん:
本当にたくさんのお客さんが続々といらしてくださったので、まずはちょっと一安心ですね

道後おみやげセンター絣屋本店 石田匡暁さん:
道後温泉本館だけに頼り切るんではなくて、これからは我々商店街のそれぞれの商店もそうですし、1つ1つがお客様に楽しんでいただけるようなサービスだったり、空間だったり、そういったことで光り始めることによって、今度は道後の町全体がさらに魅力が強くなるんじゃないかな

創業78年の老舗の挑戦は、道後にまた新たな歴史を紡いでいく。

(テレビ愛媛)

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