アメリカ政府は、ウクライナへの軍事支援を再開した。地上戦では、ロシアに一見、押されているように見えるウクライナ。戦場にうごめくウクライナ、そして、アメリカの思惑とは。

4月2日、ロシアの都市・エラブガに突っ込み爆発したドローン。このドローンは、ウクライナ国産のUJ-22型と報じられている。標的は外したものの、ウクライナ国内からロシアの防空網に捕まらずに1000km以上も飛ぶという、驚異の性能を見せつけた。

対するロシアは、史上初めての実戦投入となる、極超音速巡航ミサイル「ジルコン」をウクライナに撃ち込んだ。

フジテレビの能勢伸之上席解説委員は、ジルコンについて、「ジルコンは、スクラムジェットという特殊なエンジンを使い、マッハ9前後で1000km以上離れた地上や海上の標的を打撃。低く、右へ左へと飛ぶので、迎撃が難しいとされてきたロシア軍最新のミサイルです」と話す。

ところが、ウクライナ空軍は、ロシアが発射したこの最新兵器5発のうち、2発を迎撃。世界初の極超音速巡航ミサイル迎撃成功であり、残骸の徹底分析を進めている。

今回の発射をめぐり、イギリス国防省は「黒海には、ジルコンを発射できる軍艦がない。地上から発射」と分析。

これは、ウクライナが独自に開発したマグラV5無人攻撃艇による体当たり攻撃などで、ロシアの黒海艦隊の3分の1が航行不能になったとされていることが背景にあるとみられる。

また19日には、ウクライナを攻撃したロシアの超音速爆撃機「バックファイア」が、ウクライナから300km離れたロシアの領土に炎を上げながら墜落した。

ロシア側は、故障が原因としているが、ウクライナ軍は、「待ち伏せ」による撃墜としている。

おそらく初めてとされるバックファイア撃墜は、半世紀以上前の地対空システムによるものとも報じられている。

さらにウクライナ軍は、ロシアの精鋭ステルス巡航ミサイル「Kh-101」を迎撃ミサイルではなく、機関銃で撃墜したとして、その映像を公開した。

そのためか、26日に発表したアメリカの追加支援には、撃墜したのと同じ弾が含まれている。

さらに、クリミア半島にあるロシア軍基地に、弾頭によっては1発あたり300個もの爆弾の雨を降らせられる「ATACMSミサイル」も入っている。

フジテレビ・能勢伸之上席解説委員「5月とも予想されるロシア軍の攻勢を前に、アメリカの援助にはATACMSだけではなく、ドローンの生産支援が含まれています。その裏には、ウクライナの独特な戦い方、兵器システムが見え隠れしているようです。ウクライナの粘りが、これからの戦争に新たな局面を生み出すのかもしれません」