4本の手足を全て使って100mを走り、タイムを競う「四足走行」。ギネス世界記録の更新を目指し、アルバイトの傍らトレーニングに励む鳥取・米子市の男性を取材してみると、その発想や生き方はとびきりユニークだった。
“人類の可能性”「四足走行」への熱い思い
米子市の公園でサルのおりの前にくぎ付けになっているのは、米江龍星さん(21)。
サルに憧れ、師と仰いでいる。
米江龍星さん:
もう憧れ、師匠のような存在。うわあ…ああいうこともしてみたいな~
一風変わった趣味の米江さんだが、実は大まじめに、ある競技のギネス世界記録更新を狙っている。
その競技とは、「四足走行」。動物のように4本の手足を全て使って100メートルを走り、タイムを競う。
競技人口は世界で200人~300人ほどで、現在の世界記録は、日本人のいとうけんいちさんがマークした15秒71。米江さんは2024年中にこの記録を更新し、14秒台突入を目指している。
“夢”の「人類最速」の四足走者へ。近くの公園や山でトレーニングを重ねる毎日を送っている。
ニッチな種目で世界に挑む米江さんは、県内有数の進学校を卒業後、大学へ進学せず、飲食店でアルバイトをしながらトレーニングや技術の研究に没頭。まさに「四足走行」漬けの毎日を送っている。
米江龍星さん:
人類の可能性。「四足」で走ったほうが「二足」よりも速いんじゃないか?僕のそういった思いが、世界中に広がってほしい。二足歩行って腰痛とかになったりとか…
話し始めると、「四足走行」への熱い思いが止まらない。
米江龍星さん:
中学校のときに、理科の先生が「人間よりも野生動物、四足動物の方が速く走れる」と言っていた。だったら俺も、四本足にしたら二足より速いだろうと思った
14歳で「四足走行」の魅力に気づいた米江さんは、基本的な身体の使い方を学ぶため、早速、陸上クラブチームに所属。高校では陸上部で8種競技に取り組み、「四足走行」の技術をひそかに磨いてきたという。
同級生や家族も「少しずつ応援してくれるように」
小学校から高校まで、米江さんとともに過ごしたという同級生の野坂勇真さんも、当時は「何をやってるんだろう?というのが率直な思いでした」と振り返った。米江さんは高校時代、陸上部で切磋琢磨したという同級生の野坂さんにも「四足走行」のことは黙っていたそうだ。
そんな米江さんの姿に、家族は「最初はバカだろ、みたいな感じだったが、本気度が伝わって、ちょっとずつ応援してくれるようになった」そうだ。
今や「四足走行」に人生をささげていると言っても過言ではない米江さんは「日々是“四足走行”」。日常生活でも、人に迷惑がかからない範囲で「四足」で過ごすよう心がけているという。
米江龍星さん:
基本的に四足歩行、常に練習している状態とも言える
「四足走行」を極めるために、探究に暇はない。
米江さんが「気づいたら2時間とか普通に経っている、大事な時間」と話すのは、図書館で過ごすひととき。
「愛読書」ともいえるのは動物図鑑で、動物の前足のつきかたや重心の位置など、師と仰ぐサルや地上最速の動物と言われるチーターの身体の仕組みや動きを、漏れなく頭にたたき込む。
元陸上部・県記録保持の記者と「四足走行」で対決!
では、「四足走行」はどのくらい速いのか。
公式競技の100メートルの計測は「本番に取っておきたい」ということで、距離を30メートルに短縮して検証した。
元陸上部で、中学時代に出した中距離の島根県記録が今も破られていないという記者と、「四足走行」で対決する。記者はもちろん「四足走行」初挑戦。だが、体力には自信があるようだ。
勝負の結果は…。
米江さん6秒17、記者は15秒34。米江さんが圧倒的な力の差を見せつけた。
「今年にかける」“辰年”に世界記録更新を!
こうして「四足走行」を究め続ける米江さんは、大学で陸上を続ける同級生の野坂さんにとっても良い刺激になっているそうだ。
同級生・野坂勇真さん:
(米江さんに)負けられないという気持ちは芽生えてくる。目指すところは、人それぞれなので、すごいなと思って応援したいと思う。
2024年中にギネス世界記録の更新をと意気込む米江さん。
「辰年」には特別な思いがあるそうだ。
米江龍星さん:
「龍星」という名前なので、めちゃくちゃ縁起がいいなと思って、今年にかける。
その名の通り、龍のように高みに昇り、星のように輝くことができるのか。
米江さんは、世界最速の「四足走者」をめざし、全力で駆け抜ける。
(TSKさんいん中央テレビ)