2023年はガソリン価格の値上がりが続いた。長野県内の価格は夏場に16週連続で全国で最も高くなった。その後、国の補助金などで値下がりしたが、県内の価格は現在、再び全国で最も高くなり、安い隣の県で給油する「越県給油」も続いている。
一時下がったのに…
12月18日時点の長野県内のレギュラーガソリン平均価格は1リットルあたり184.2円で前の週と変わらなかった。 3週連続で全国最高値となっている。
ドライバーは、 「一時、下がったが、ここへきてまた上がってきている。対策のしようがない」、「何とかしてほしい。年金生活者にとっては厳しい」など、悲鳴に近い声が上がっている。

一方、店側はー。
「本久」石油事業部の池浦正峰さんは、「経営努力を続けているが、なかなか厳しくて、転嫁させていただいている状態。お客さまにガソリンの値引きクーポンを発行していたり、アプリなどでお得情報を配信していますので、お買い求めいただけるよう努力を続けています」と話す。

「長野は極端に高い」
販売店も努力しているが、ドライバーからは、「長野は極端に高い。ちょっとでも安い所、安い所と探してはいる」といった声が上がっている。
長野県と周辺の県の平均価格をみると、 新潟や愛知とは1リットル13円以上も差がある。
実際に新潟県へー。
長野県北部と隣接している上越市ではリッターあたり160円台のガソリンスタンドも目立つ。

今も続く「越県給油」
新潟県妙高市のスタンド。信濃町の住民が何人も給油に訪れていた。
県をまたいで給油する「越県給油」だ。
「長野で入れるんだったら、こっちに来た方が安い、用事をつくって新潟に行った時にガソリンは必ず入れる」 、「新潟は安い。長野も全国平均の値段にみんなしてくれよって気がしますけど、補助金が安いところ、ちょっと上げて、高いところ、ちょっと下げて」との声が。

9月には16週連続で全国最高値を記録
「越県給油」…
実は県と県石油商業組合が問題視したことがあった。
ウクライナ情勢や円安でガソリン価格が高騰。9月には16週連続で全国最高値を記録し、過去最も高い1リットルあたり194.5円まで上がっていた。

「越県給油」が活発化したのを問題視した県や県石油商業組合は意見交換会を開いた。
この場で長野県の阿部守一知事は、 「県境をまたいで給油をしていることを報道されているのは、由々しき事態」 などと述べた。

一時落ち着くも…再び「全国最高値」
組合は県内が高い理由について「全国でも珍しい列車輸送でコストがかかる」、「給油所の数に対して販売量が少ない」ことなどをあげ、「離島」と同じと説明した。
知事も国が特別な補助を出している「離島」と同じような支援制度が必要との認識を示した。
9月以降、元売り各社への国の補助金が引き上げられたことなどから価格は少しずつ下がり、県内も全国最高値ではなくなった。
しかし、11月から値上がりに転じ、長野も再び全国最高値に。

「3~4割は長野県から」
新潟・妙高市のスタンドによると、価格に反応して夏場は長野ナンバーが一気に増え、一時落ち着いたあと、最近、また多くなったという。
コバネン妙高高原SSの岡田雅之さんは、「最近は多い、3~4割ぐらいは長野県から来ている方」と話す。

県内では「地域間格差」も…
「地域間格差」は県内でも。 長野市内は1リットル180円台が多い一方、松本市や塩尻市は170円台が目立つ。
県が独自に調査した県内10広域の平均価格。180円台が多い中、諏訪や松本地域は170円台で、最も高い木曽地域と10円ほどの差がある。 県などによると、石油の輸送基地が松本にあることや、県外の大手が参入して価格競争が激しくなっていることなどが考えられるという。
12月19日に取材した塩尻市のガソリンスタンドは1リットル178円。 木曽地域から訪れる人も多いという。
給油に訪れた人は、「ひどいときは10円くらい違う」と話す。

少しでも下がって…
「越県給油」に県内での「地域間格差」。
県は9月の意見交換の後、国に対し3回、支援策の検討を要望したという。
消費者にとってはとにかく少しでも下がってほしいと願うガソリン価格。
2024年の県内の価格はどう推移するのか?

(長野放送)