福岡・桂川町の視聴者から届いたメール。自宅の水道水が茶色く濁り、飲むどころか入浴もできないという。飲食店関係者や給食担当者からも上がる不安の声。一体、何が起こっているのか?

お風呂の水道から濁った水 原因は「調査中」

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取材班に届いたメール
「福岡・桂川町で水道水の問題が数カ月前から出ています」
「水は茶色で子どもに与えることが困難です」
「ほんとに困っています」
「助けて下さい!」

福岡県のほぼ中心に位置する人口約1万3,000人の桂川(けいせん)町。駅前で住民に話を聞いてみると、実際に「茶色の水が出た」という話を聞いた町民も多く居た。

町民たちは「風呂に入るときに、たまに濁っていて。皿洗いのときもそうだが、明らかに色が茶色いというか、汚れている感じ」「茶色い水が出たが、夕方くらいにはなおった。2週間前くらい」などと話した。

メールの送り主の女性の自宅を訪ねると、そこは比較的新しい家が多い住宅地だった。この住宅の女性が水道水の異変を最初に感じたのは、2カ月前の9月だったという。

自宅の水道から濁った水が出た女性:
最初、気づいたのはお風呂でした。明らかに茶色いなと。うちのサビなのかなと思ったが、家を建ててまだ10年くらいなので、おかしいなと

浴槽にたまった水は茶色く色づき、水を抜くと、砂のようなものが残っていた。

女性によると、これまで複数回着色が確認され、周辺住民の多くが同様の被害を訴えているという。町に問い合わせをしたが、着色の原因は分からず、「調査中だ」と言われたそうだ。

自宅の水道から濁った水が出た女性:
怖いというか、3カ月もたって原因が分からないというのが、さらに不安になる。小さい子どもがいるので、本当に「透明になったから」といって飲んでいいものなのか。子どもの人体への影響がとても不安ですね

飲食店でも営業中に茶色い水が…

水への不安を抱えた生活。飲食店も困惑していた。

桂川町にある「ビストロ松の樹」の松田一樹オーナーシェフは、「1週間くらい前に朝、タオルを洗っていたら『水が茶色いなあ』と思って。いっとき出していたらなおったので、『問題ないのかな』とは思っていたんですけど」と語った。

一方、桂川町の寿司店「鮨処のり助」では9月末と10月末の2回、夜の営業中に突然、茶色い水が出たという。水は商売に直結するだけに、飲食店関係者は動揺を隠せない。

鮨処のり助店主・秋吉宏徳代表:
生ものも扱うし、またこんなことがあったら営業がしづらいですね

また、小さな子どもたちを預かる保育園の給食担当者からも不安の声が上がる。

吉隈保育園 給食担当者:
匂いも「鉄っぽい」というか、「土っぽい」というか、そういう匂いだった

この保育園では、これまでに3回ほど茶色の水が出たという。町に問い合わせたところ、水が透明に戻れば問題ないと言われたのだが―。

吉隈保育園 給食担当者:
怖かったので、ウォーターサーバーのお湯を代用して調理しました。子どもたちの給食を作っているので、安全じゃないものは出せないし、(町に聞いても)なんでこういう色が出ているのか(原因が)分からない状態だったので

水道管のサビが混入? 原因特定には至らず

町の対応について担当課を直撃すると―。

桂川町水道課長:
(最初の報告は)8月6日の日曜日ですね。(茶色い水の)成分は水質検査の結果、鉄分ですね。浄水場の原水とか浄水には水質検査をして、問題はございません。ただ、そこから各家庭に送るまでの配管とかポンプなどに原因があるということで、いま調査をしている

町によると、これまで着色の報告があったのは10の行政区の約200世帯で、東側に集中している。

水道管の内部のサビが水道水に混入したとみて、水道管の点検を続けているが範囲が広く、長期間に及んでいること、また発生時間もまちまちで不定期であること、さらに同じ地区でも世帯によって発生状況が異なることなど、前例のない事態が重なり、いまだ原因の特定には至っていない。

桂川町水道課長:
1日も早く終息することを目指してやっているが、ただこれが100%もう赤水が出ないというのは、現時点では確信が持てない

町では、着色の影響で水道料金の増加が見込まれる世帯は減額するなどの対応も行うというのだが―。
私たちの暮らしに欠かせない水。一刻も早い原因の特定と解消が求められている。

(テレビ西日本)

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