バスの運転手の人手不足が深刻な問題となる中、兵庫県バス協会が初めて合同就職説明会を開いた。新たな人材の確保につながったのだろうか。

赤字と人手不足で廃業に…

大きな荷物を抱えてやって来たのは、兵庫・但馬地域を拠点に路線バスなどを運行している「全但バス」の採用担当者たちだ。

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全但バス・成田毅総務部長は「兵庫県の北のほうに少しでも応募していただけるようにPRしていきたい」と意気込み、「30人は来てほしい!」と期待する。

10月28日に神戸市で、兵庫県に事業所を置く12のバス会社が初めて合同就職説明会を開いた。各社が直面しているのが、深刻なドライバー不足だ。

9月には大阪府南部で運行する金剛バスが、赤字と人手不足を理由に年内の廃業を決めた。金剛自動車株式会社・白江暢孝代表取締役は「地域の住民の方々にとって、大変申し訳なく思っている」と会見で語った。

全但バスにとっても、他人事ではない。全但バス・成田総務部長は「胸がつまる思いだった。私どももまったく同じ状況。そのために乗務員の募集は必須だと思っている」と話した。

平均年齢57.7歳…深刻化する人手不足

全但バスには現在130人のドライバーが所属しているが、今の運行路線などを守るには、ギリギリの状況だ。 また、ドライバーの平均年齢は57.7歳で、人手不足が深刻化している。

就職説明会の会場、全但バスのブース前にイメージキャラクターが飾られた。

ーーこのキャラクターは何?

全但バス・成田毅総務部長:
私どもの「ユウコちゃん」です

ーーユウコちゃん?

全但バス・成田毅総務部長:
レイコちゃん!間違えました。レイコちゃんです。当社のキャラクターの(峰岸)レイコちゃん

緊張からか名前を間違えるという失態がある中、全但バスにミラクルが起きた。 1番最初に会場入りした男性が、真っ先に全但バスのブースに来たのだ。

担当者「大型2種免許はお持ちですか?」
参加者「持ってます!運転免許は全部持ってます」

担当者「今はどんな仕事を?」
参加者「僕ね、消防なんですよ。仕事」

興味を持ってもらうための切り札「運転体験会」

公務員である消防士。さらに“40代”で即戦力になる可能性があり、担当者も説明に力が入る。

参加した消防士「運転手不足やって言われてますよね。思ったより企業努力で耐えてはるんやなっていう…」
担当者「耐えてはいるんですけど、限界もありまして…」

そんな全但バスの切り札は、但馬空港で実施している「運転体験会」だ。 とにかくバスに乗って、興味を持ってもらうのが狙いで、9月の体験会では2人の採用にこぎつけたという実績もある。

担当者「ぜひ参加していただければ…」
消防士の参加者「(バスを)運転したことはあるんですけど、全然感覚が違うので」

5時間程度の説明会は、他のブースが賑わう中、全但バスには、中々参加者が訪れない。成田総務部長は目標30人を、10人に変更。

結局、全体の参加者は55人で、1番人気があったのは山陽バスで20人がブースを訪れた。全但バスは7人だった。

ーー手ごたえは?

全但バス 成田毅総務部長:
まずまず。みなさん興味をもっていただいたので、きょうのお話プラス運転体験会の現場のほうでハンドルを実感していただいて、当社への入社をお願いしたいと思っております

切実なドライバー不足にあえぐバス業界。関係者の努力は続く。

(関西テレビ「newsランナー」2023年10月30日放送)

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