暖かく湿った空気や日中の気温上昇の影響で大気の状態が不安定になり、福島県では相次いで突風による被害が発生。現地調査を行った気象台は「ダウンバースト」や「ガストフロント」が発生した可能性を指摘した。

車が15メートル飛ばされる

突風による被害は、福島県郡山市富田町の西部自動車学校で発生した。西部自動車学校によると、8月3日午後2時半ごろに強い風が吹いて、教習車1台が数メートルの高さまで持ち上げられたという。この車に人は乗っていなかったが、停めてあった他の教習車にぶつかりながら15メートルほど離れた場所まで飛ばされたという。

画像提供:西部自動車学校
画像提供:西部自動車学校
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あわや人身事故に

西部自動車学校・丹治司さんは「事務所の中も、台風のような風がいきなり吹き始めた。びっくりして外を見てたら、車が飛び始めた。教習中だったので、周りに車も走っていた。幸い教習生にはケガ無く済んだが、あわや人身事故というような状況だった」と話す。

浮き上がる教習者 画像提供:西部自動車学校
浮き上がる教習者 画像提供:西部自動車学校

当時、この自動車学校には30人ほどの生徒がいて、驚いて悲鳴を上げている人もいたという。教習中の車は、教官が安全な場所に誘導して避難した。

15mほど飛ばされる コースには教習中の車も
15mほど飛ばされる コースには教習中の車も

周辺の住宅では、屋根の瓦が飛ばされる被害も確認されている。

周辺では屋根瓦がはがれる被害も
周辺では屋根瓦がはがれる被害も

車庫が吹き飛ばされる被害も

8月2日午後4時ごろ、福島県須賀川市下小山田で車庫を吹き飛ばすほどの突風が吹いた。「飛んできたのは分からなかった。雷の音もすごかったから、雷と雨の音」こう話すのは、車庫が飛んできた住宅に暮らす女性。直前まで屋外で作業をしていたというが、ケガなどはなかった。
近くを走るJR水郡線でも、突風が原因とみられる倒木があり、一時運転を見合わせた。

前日には須賀川市で車庫が飛ばされる被害
前日には須賀川市で車庫が飛ばされる被害

気象台が現地調査

福島地方気象台は、3日午後から須賀川市で現地調査を行い、住民に当時の状況を聞き取りしたり、飛ばされた車庫や木がなぎ倒された状況から風向きや規模などを確認した。

須賀川市の現場を調査
須賀川市の現場を調査

福島地方気象台の小田嶋孝一次長は「倒れている方向が、ほぼ東から西に向かって倒れている・飛ばされているモノばかりですので、回転性は今のところ見られていない。ダウンバーストやガストフロントといった一方向に吹くような突風ということになります」と話した。

福島地方気象台の小田嶋孝一次長「回転性はみられない」
福島地方気象台の小田嶋孝一次長「回転性はみられない」

空気の塊がブルドーザーのように

積乱雲から吹き降ろした下降気流が地表に衝突する「ダウンバースト」 もしくは冷たい空気の塊が水平方向に流れ出し、ブルドーザーのように進む「ガストフロント」が発生したのではという見解が示された。

ダウンバーストかガストフロントの可能性
ダウンバーストかガストフロントの可能性

突風は雷雲の下で

ガストフロント・ダウンバースト・竜巻などの突風は、雷雲の下で発生する。被害が発生した須賀川市でも、非常に発達した活発な雷雲がかかっていた。
活発な雷雲は、富士山と同じぐらいの高さの非常に分厚い雲なので、上空にかかると真っ暗になる。黒い雲が近づいたら、突風発生の可能性がある。

突風は雷雲の下で発生
突風は雷雲の下で発生

雷雲接近のサインを見逃さない

雷雲なので、雷鳴が聞こえたり稲妻が見えたりしたら要注意。また雷雲の下からは冷たい風が吹きおろすので急に気温が下がってきり、大粒の雨やひょうが降りだしたら突風発生のリスクあり。頑丈な建物の中に避難することが重要。

雷雲接近のサインを見逃さないように
雷雲接近のサインを見逃さないように

(福島テレビ)

福島テレビ
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