秋田・五城目町など、JAあきた湖東の管内でとれた「エダマメ」のゆうパックの第一便が7月24日、全国に向けて出発した。無事の出荷に関係者は胸をなで下ろしたものの、管内で栽培されているエダマメは、今回の記録的大雨で大きな被害を受けていて、今後の影響が心配される。

年々需要が高まっている「秋田県産エダマメ」

八郎潟町のエダマメの選別施設で開かれた出発式では、関係者がテープカットをして出荷を祝った。

八郎潟町のエダマメの選別施設で、出荷を祝い行われたテープカット
八郎潟町のエダマメの選別施設で、出荷を祝い行われたテープカット
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日本郵便とJAあきた湖東は、県産のエダマメのおいしさを全国に発信するため、とれたてのエダマメをゆうパックの商品として全国に届けている。

第一弾となる24日は、ゆで上がりの香りとかんだ時の甘みが特徴の、早生品種「味風香」1kgが入ったゆうパック100箱が全国に発送された。

秋田県産のエダマメの出荷量は、2022年、東京・川崎・横浜の3つの市場で群馬に次ぐ全国2位に。需要は年々高まっている。

JAあきた湖東・猿田俊彦組合長:
水害で大変な時に第一陣が出発できることは大変うれしく思う。ゆうパックは市場出荷と違って全国どこへでも送れるので、そのへんがメリット。PRできるいい機会

エダマメの「ゆうパック」は、カタログでは8月末まで、インターネットでは9月3日まで受け付けられる。

2.6ヘクタールもの農地が大雨被害に

出荷は順調に見えるものの、今後心配されるのが記録的大雨の影響だ。

JAあきた湖東管内で生産されるエダマメは2023年、出荷量330トン、金額にして2億円を目標にしていたが、10分の1が記録的大雨の被害を受けた。出荷量は減る見込みだ。

特に被害が大きかったのは、五城目町の富津内地区と馬場目地区だ。この地域は周囲が山に囲まれているため1日の寒暖差が大きく、「エダマメがおいしく育つ」といわれている。

農地に現在も残る大きな流木
農地に現在も残る大きな流木

馬場目地区でエダマメやブロッコリーなど、8種類の野菜を栽培する石川政廣さんの農地には、現在も大きな流木が至る所に残されている。

杉沢ファーミング・石川政廣さん:
今回の被害で水が上がって、その後、水が引けた状態では収穫は完全にできない。流木や土砂も流れ込み、エダマメとして収穫できない。はっきり言って皆無状態

石川さんは7.8ヘクタールの畑でエダマメを栽培しているが、そのうち2.6ヘクタールが被害を受けた。被害額は約600万円。

石川さん撮影 畑がのみ込まれそうなほど増水した川の様子
石川さん撮影 畑がのみ込まれそうなほど増水した川の様子

7月15日に石川さんが撮影した映像には、川が増水し、いまにも畑がのみ込まれそうな様子が確認できる。

2012年に大雨被害を経験した石川さん。10年前に堤防を作ったが、翌2014年にも被害が出たため、さらに50cmほどかさ上げした。それでも今回の大雨には歯が立たなかった。

8月上旬から下旬にかけて出荷予定の「湯あがり娘」や「栄錦」など4つの品種が出荷できなくなった。今後、町の力を借りながら復旧を進める予定だが、来シーズンまたエダマメを生産できるか、いまはまだわからない。

杉沢ファーミング・石川政廣さん:
3分の2のエダマメが良い状態。残っているエダマメや水田を含め、残ったものを自分たちでできる限り良い状態で収穫できるようにみんなで頑張っていきたい

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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