ゼレンスキー大統領の広島サミット参加から1週間余り。ウクライナから福山市に避難していた女性が「友達や祖父母に会いたい」と帰国を決断した。その思いを取材した。

母、友人と福山ばら祭を楽しむ 焼きそばで思い出づくり

ダリア・ベスペチャリニフさん(24)。ウクライナのオデーサから2022年3月に母が住む福山市に避難してきた。

ダリア・ベスペチャリニフさん(24)
ダリア・ベスペチャリニフさん(24)
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この日は「福山ばら祭」に母、友人と思い出づくりに訪れていた。

5月27,28日に行われた福山ばら祭は、4年ぶりにメインイベントの1つローズパレードも行われ、多くの人で賑わった。

ウクライナから福山へ避難 ダリア・ベスペチャリニフ(24) さん:
ばら祭は初めてきたけどとても面白い。この後は焼きそばを食べて公園を歩きたい

2022年3月に福山に避難してきたダリアさんは、慣れない日本で生活する中、避難者を支援するふくやま国際交流協会が開いたブドウ狩りやイチゴ狩りなどの交流イベントにも積極的に参加してきた。

ゼレンスキー大統領の広島での会見を見て、ダリアさんは「大統領を誇りに思う」と語っていた。

5月21日 ゼレンスキー大統領の広島訪問をテレビで見るダリアさん親子
5月21日 ゼレンスキー大統領の広島訪問をテレビで見るダリアさん親子

ダリアさんは間もなく1年あまり避難していた福山をあとにし、ウクライナへ帰国する。

ダリア・ベスペチャリニフ さん:
友達や祖父や祖母に会いたいからです。ウクライナ国内の戦火が激しい地域に比べると、オデーサはまだ安全です

残り数日となった福山での生活。ダリアさんが楽しみにしていた焼きそば。1年余りの日本での生活で覚えた箸で口に運ぶ。

ダリア・ベスペチャリニフさん:
おいしい!

ダリアさんに思わず笑みがこぼれた。
娘が帰国を選んだことに福山に住む母・ナタリアさんの心境は少し複雑なよう。

福山在住 ダリアさんの母・ナタリアさん:
ウクライナはまだそんなに安全ではないので色々心配する。でも24歳の大人が自分で決めたこと。ウクライナに戻りたいと。心配だけど我慢するしかない

福山在住 ダリアさんの友人・オレナさん:
もちろん私も心配。お母さんの気持ちがよく分かる。一時、福山に避難していた私の妹もウクライナへ帰ったが、今でも寂しい

そんなダリアさん達が足を止めたブースで展示されていたのは、ウクライナから届いた子どもたちの”今”を伝える写真や絵。

ウクライナの3歳の子が初めて描いた絵は…戦車

福山市立大学・大庭三枝 准教授:
どれが最も印象的ですか?

ダリア・ベスペチャリニフさん:
この絵です
大庭 准教授:
描いた子はわずか3歳で、彼が最初に描いた絵が戦車でした

戦火を逃れ、福山に避難して1年あまり。
ウクライナで生活する子どもたちの心に”戦争”が深く刻まれている現実を目に焼き付ける。

ダリア・ベスペチャリニフさん:
ウクライナの今、そして子どもたちが置かれている状況を、福山から発信してくれていることに、ウクライナを代表して感謝します。

ダリア・ベスペチャリニフさん:
たくさんの日本人や多くの国の人たちが、ウクライナが置かれている状況に関心を持ってくれている。私の夢は戦争が終わること、そしてウクライナに平和が訪れることです

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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