田中邦衛さん逝く 88歳

ドラマ「北の国から」黒板五郎役など、個性派俳優として長きにわたってテレビドラマや、映画で活躍し、多くのファンに愛されてきた名優・田中邦衛さんが、2021年3月24日、老衰のため88歳で亡くなりました。

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ドラマの舞台となった北海道・富良野の地と、田中さんはどのように関わり、何を残したのか。めざまし8は、田中さんと親しかった地元の人たちに話を聞きました。そこで浮かび上がってきたのは、富良野との代えがたい“絆”と、“気遣いの人”といえる素顔でした。

地元民語る「誰よりも“富良野人”」

ドラマが始まった当初から、田中さんが通っていたという飲食店「くまげら」の店主、森本毅さん(78)は、いつも役である五郎の姿のまま街を散策する田中さんの姿が印象的だったといいます。森本さんが感じていたのは、富良野の街中を愛する田中さんの思いです。

地元の人以上に溶け込んでいる様子だったのか問うと、「一番田舎っぽい人が街にいたら間違いなく田中邦衛さんだ」と言うほど、普段から誰よりも“富良野人”であり続けたといいます。

「ズボンのチャックを…」気遣い秘話

ドラマ「北の国から 2002遺言」で田中邦衛さんが書いた直筆の遺言。リハーサルで使ったその書き損じを見せてくれたのは、佐藤忠幸さん、80歳です。

撮影当時、「地元に詳しい人」ということで、ドライバーやコーディネーターなどの仕事を請け負っていたという佐藤さん。ドラマの中で田中さん演じる五郎が作った「石の家」の作り方をたまたまアドバイスしたことにより、その後も様々な物を作るようになり、次第に田中さんとの仲も深まっていきました。その中で、常に周囲を楽しませようとする田中さんの一面を見たといいます。

その瞬間をおさめた1枚の貴重な写真があります。そこに映っているのは、ズボンのチャックに手をかけ、おどけたような表情の田中さん。佐藤さんを笑わせるためだけに突然、ズボンのチャックを下ろすフリを始めたといいます。

自身の代表作であるドラマ「北の国から」の舞台・富良野を愛し、そこに住む人たちを愛した田中さん。生前、こんなことを語っていました。
「(富良野での)この幸せがなきゃ、俺だいぶ変わったなって、俳優人生って、しみじみ思います。出会えて良かったっていう、北の国からに出会わせていただいたことをすごく幸せだと思っています」
富良野の地を愛し、愛された、俳優人生でした。

(めざまし8 4月5日放送)