キャンプ場を守る“仙人” 豪雪廃村ふるさとへの想い 今につなぐ~福井・勝山市

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福井県勝山市内のキャンプ場に仙人の愛称で親しまれている管理人がいます。定年目前に仕事を辞め、住み込みでキャンプ場を守る管理人が大切にしているのは利用客との心の交流。その根っ子には、豪雪災害をきっかけに廃村になったふるさとへの想いがありました。

同市北谷町の標高700メートルにあるキャンプ場、東山いこいの森。カメラを片手に子供たちを見守るのは、管理人の源野正弘さん(71)です。トレードマークは長いあごひげ。“東山の仙人”の愛称で親しまれています。

12年前、それまで運営していた管理団体が手を引くと聞いた源野さんは、「自分に管理人をさせてほしい」と志願し、定年目前まで勤めた会社をやめて59歳で管理人になりました。「誰かが守っていかないといけないと思った」

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利用客の邪魔にならない時間を見計らって草刈りを行ったり、場内の管理を行ったり。取材中も「トイレの水が止まらない」と連絡があり、駆け付けます。息つく暇もありません。

それでも源野さんは、頻繁に利用客に声をかけています。

3回目という県外からの常連さんは「毎回話し掛けてくれる。源野さん、やさしいですよ」とお気に入りです。

源野さんは後日必ず、利用客にお礼の手紙と写真を送ります。そうした心遣いから、今では年間3500人ほどが訪れるようになりました。

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仙人のランチ。決して「霞を食べている」訳ではありませんが、25歳で胃がんのために胃を全摘した源野さんは、消化の悪いものは食べられません。この日は、そうめんにとろろや生卵をかけて流し込みます。

源野さんは、豪雪地帯の同市北谷町谷地区の枝村、五所ヶ原出身。昭和38(1963)年の38豪雪をきっかけに住民が去り、村はなくなってしまいました。

かつてスキー場があった五所ヶ原で、源野さんの家は民宿を営んでいました。「お客さんのも家族のも、いろりで煮炊きしていたから、そこでみんなが集まって団らんになった」と往時をしのびます。

大勢の客たちとの心の交流が今も忘れられないという源野さん。その思いが今の利用客との触れ合いにつながっています。

70歳を超え、管理人の仕事は体力的に厳しくなってきたという源野さん。それでも自然を楽しむ人たちの笑顔を見たいとキャンプ場を守り続けます。