老舗旅館「べにや」 火災からの再建物語 序章~福井・あわら温泉

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今年5月に全焼したあわら温泉の老舗旅館「べにや」。8月5日で火事から3カ月が経ちました。再建に向けて歩み始めた旅館のいまを取材しました。

【応援コンサート】

火事からちょうど3カ月となった5日、「べにや」の焼け跡には、再建を支援するチャリティーコンサートが開かれていました。

企画したのは、「べにや」の6代目奥村隆司社長や女将の智代さんと親交が深い人たちです。実行委員会の山崎一之さんは「べにやが火災で焼失したときから協力できないかと思ってて、コンサートなら協力できる」と会場で汗をかきます。

べにやでのコンサート経験があるアーティストなど11組が県内外から集まり、火の手を逃れた「べにや」のシンボル、シイの木の前で、歌声や演奏を披露しました。

火事に遭う前から予定されていたコンサートに出演する予定だった女性アーティストは「びっくりして言葉にならなかった。この日の時間が心に刻まれて、力になり、火事になる前よりも、芦原温泉を盛り上げる存在になってほしい」と話します。

【支援の浄財】

「父と母が泊まっていたので、少しでも…」と復活のための資金提供に協力する人も少なくありません。奥村社長は「多くの方に支えてもらってるとしみじみ。少しでも早く再建したい」と心を震わせます。

【動き出す再建】

7月5日。梅雨明け前の降りしきる雨の中、奥村社長は「べにや」の敷地内で、庭の剪定(せんてい)をしていました。すぐそばでは建物の解体作業が行われています。奥村社長はこう話します。「自分たちでできるところはしたいという気持ちを大切にしたい」。

スタッフみんなの力で少しずつ。焼け残った庭を大切に、旅館再建後の姿を見据えています。

剪定作業から数日後。近くに構えた仮事務所にスタッフが集まりました。これまでの「べにや」の良かった点、悪かった点といった意見を共有するワークショップです。旅館の設計に入る前に現場の意見を取り入れたいと企画しました。

女将は「具体的にある一人のお客様、特化した部分を書いてほしい」と指示します。

従業員の働く動線やおもてなしの工夫をするポイントなど、多くの具体的な意見が集まります。

中には、宿泊客の大切にしていた時間の使い方や、好きな空間の話まで。身近に接していた従業員ならではの貴重な意見です。奥村社長は「たくさんの意見を持っててくれたのがうれしい」と目を細めます。

【募る思い】

女将は「少しでも以前の『べにや』のいいところをできるだけ同じ形で再現したい」との思いが募ります。「べにや」にとって大切なメンバーと一緒に旅館づくりを。新しい「べにや」づくりが始まっています。