海底に沈む独軍Uボート 旧海軍「呂500」を確認~福井・若狭湾

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第二次世界大戦中、ドイツ軍のUボートとして活躍し、その後旧日本海軍に提供された潜水艦「呂(ろ)500」が、福井県の若狭湾で発見されました。戦後、海没処分とされた潜水艦を追う研究者らが海底に沈む船体を確認しました。事実に向き合う研究者と戦争の罪深さを語る元乗組員。海底に眠る潜水艦が静かに問い掛けています。

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潜水艦「呂500」は、全長約76メートル、高さ約10メートル。ドイツでは連合国軍を苦しめたUボートとして勇躍しましたが、技術交流を目的に昭和18(1943)年に旧日本海軍に譲渡されました。

今回、若狭湾で探索を行ったのは九州工業大学の浦環(うら・たまき)特別教授らでつくるチームです。

福井県越前町の越前漁港。探索開始前日、探索機器を積み込みながら浦特別教授は、「日本に潜水艦技術を伝えるという重い生涯を背負った『呂500』を見つけたい」と強く意気込みを語りました。

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この調査に特別な思いを寄せる小坂茂さん(92)=越前市。「呂500」の元乗組員です。

小坂さんは海兵団に志願し、砲術学校や潜水学校を経て「呂500」の乗組員に。「本当は潜水艦には乗りたくなかった。出航する船が全部沈んでいたから」。記録によれば、潜水艦「呂500」は昭和20年8月15日の玉音放送に背き、旧ソ連に向けて出港しています。

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6月下旬、若狭湾に浮かぶ冠島=京都府舞鶴市=近くの海域で、遠隔式無人潜水機ROVを用いて調査。モニター映像を見ながら浦特別教授が叫びます。「ブリッジが見えてる」「舳(へ)先の頭の形からこれは『呂500』だ」。4日間の調査を終え越前漁港に戻ってきた浦特別教授は、「人間的なドラマが多い艦なので、グッと来ている」

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一方、元乗組員の小坂さんは「うれしいやら懐かしいやら」と笑顔。しかし、「戦争はイヤ。顔も見たことのない人を殺す。してはならないのが戦争です」とすぐに表情が硬くなりました。

戦争という事実に真っ向から向き合おうとする研究者と、戦争の罪の深さを唱える元乗組員。沈没した潜水艦の新たな使命は「戦争を伝えること」なのかもしれません。