福井大学病院 “Ai”活用 犯罪死判断から死因究明まで~「医学の進歩に寄与」

福井テレビ 地域

「Autopsy Imaging」(“Ai”、死亡時画像診断)は、通常、病気治療に用いられるMRIやCTを使って遺体を撮影し、その画像から死因の究明につなげようという取り組みです。全国的に定着し始めているこの「Ai」を福井県内で積極的に取り入れている最前線を取材しました。

解剖を必要とする遺体を、県内で最も多い年間約150件を扱う福井大学医学部付属病院。8年前、全国の大学病院に先駆けて遺体を専門に扱う「Aiセンター」を設立しました。事件性が疑われる遺体や病死でも死因がわからない遺体などを、MRIとCTを駆使して判断していきます導入した

Aiの撮影は放射線技師が機器を操作し、10分ほどで全身を数ミリ間隔で撮影します。1度に撮影する画像の数は500枚以上。モニターでスライドしながら異常がないか確認します。画像から立体化して、骨や筋肉などを再現することもできます。

また、解剖前にAiを実施することで、体の表面を見ただけでは気づくことができない細かな異変を見つけることができます。

取材中、早朝に容態が急変して亡くなった男性の遺体がAiセンターに運びこまれました。

男性はもともと肝臓が悪く治療を行っていましたが、容態が急変した理由を特定するため、遺族の同意のもと、急きょ「Ai」を行うことになりました。

「なぜ亡くなったのか知りたい」

「しっかり調べて同じような患者を救ってほしい」。

こうした遺族の思いを胸に、医師たちはモニターに映る画像を見つめます。

主治医や病理医などでがん細胞の転移の状況を確認。がん細胞が肝臓以外にも転移していたことがAiでわかりました。

Aiを用いた死因の究明は、犯罪死や医療事故の見逃しを防ぐことができます。死因究明というと、新潟の小学2年生の女の子が殺害され、線路に遺棄された痛ましい事件や和歌山で資産家が大量の覚せい剤を摂取して死亡した事件など、凶悪な殺人事件を連想する人が多いと思います。しかし、事件捜査以外に、医学の知見の蓄積にも大きな役割を果たしています。

元福井大学学長で病理学専門の福田優氏は、「病変は、患者が生きている間に全てが分かるわけではなく、推測するしかなかった」「死後のAiによる分析は、病変に科学的な根拠を得ることができて、医学全体の進歩に大きく寄与する」とAiのメリットをこう訴えます。

遺族の同意が得られにくいことや専門医の不足などからAiの実施率が低いという現状があります。現場の医師は犯罪死や医療事故の見逃しを防ぐだけでなく、医療の発展のためにも早く普及してほしいと話していました。