8月の豪雨で店が壊滅的被害 武雄市の老舗カツ丼店営業再開

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創業から50年をこえる武雄市の食堂「かみや」。8月の豪雨で店舗が浸水し、大きな被害を受けましたが、営業を再開しました。

豪雨から約3カ月。名物のカツ丼復活への道のりを追いました。

「お待たせしました~」武雄市北方町の食堂「かみや」。25日、約3カ月ぶりに営業を再開しました。

小路丸貴之さん:「本当もうおかげさまで。うれしいです」

母・初恵さん:「ああ…もうだめだ」

小路丸貴之さん:「(店の)扉を開けて、厨房除いてすぐ帰った。とりあえず忘れようと」

被災する前のかみやです。創業は1964年。甘辛いタレが特徴のカツ丼を名物に親子3代で営んできました。しかし…8月の豪雨で店は完全に浸水しました。

店内は泥まみれ。冷蔵庫や調理場の器具は全て使えなくなり、被害総額は3000万円に上ったといいます。

親子の会話:「もう全部出そう。下も」「もうリニューアルした方がいいみたい」

親子三代ひきついだ秘伝のカツどんのたれもすべてダメになりました。この日から、再開への長い歩みが始まりました。この日、三代目で店主の小路丸貴之さんは物がなくなった厨房の掃除に追われていました。

小路丸貴之さん:「片付けが済んで今からが再開に向けてのスタート。まだまだ(汚水の)においがとれない」

一方、カウンター席で広げたのはカタログとノート。

小路丸貴之さん:「厨房機器決めです。ここの上にはこのサイズが乗っていたな…と思い出しながら。合ってるのかどうかちょっと…」

冷蔵庫や作業台の細かい寸法までは思い出せず、少し不安を抱えながらペンを走らせました。豪雨から2カ月後。注文していた厨房機器が店に届きました。

小路丸貴之さん:「だんだん昔の感覚に戻ってきている。うれしい」「大きさは(変わらない)ちょっと大きいやろ?」

業者:「大きさは一緒です。ちょっとこっちが大きいかも…5ミリぐらい(笑)」

ようやくカツ丼を作る環境が整ったこの日、小路丸さんは店の再開を1カ月後にすることを決めました。

小路丸貴之さん:「再開して初日がどうなるか想像もつかない。みなさんメインはカツ丼だと思うので、以前と変わらぬ味を早急に作れるように頑張りたい」

そして、再開の日。

「きょうはおめでとうございます」

テーブルやいす、壁紙などほぼ全てが新しくなった店内。店には創業者で貴之さんの祖母、97歳のきくえさんもいました。

創業者 小路丸きくえさん(97):「(店内が)全部新しい。もう年よりだから動けないけど」

母・初恵さん:「楽しみが大きい。体がもったらいいけど」

小路丸貴之さん:「(店が)回せるかどうか。もう3カ月していないから感覚が(不安)」

11時の開店に向け、着々と準備を進めます。もちろん秘伝のタレも復活です。

「3カ月ぶりにつくりました」「味見?」きくえさんの評価は…?「グーです」そして…。

客: 「久しぶりの味。最高待ちに待ってました」

開店から20分で店内は満席に。常連客を中心に、久しぶりの名物・カツ丼をほおばります。

客:「甘辛いタレが好き。いつオープンするんだろうと待っていた」「久しぶりで最高。ちょっと男食いします」「おいしい。長く待っていた分うまか」

豪雨を乗り越え、名物のカツ丼と客の笑顔が戻った「かみや」。止まっていた時間が再び動き出しました。

小路丸貴之さん:「常にこの環境で育ってきた。家で生活するのと一緒の感覚。常連さんを含めてみんな家族みたいな付き合いをしてくれる。とにかく長く続ける。それだけ」