「響け!復興の槌音」 沿岸にインバウンド客を 若手経営者が体験型観光ツアーを企画【岩手・宮古市】

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響け!復興の槌音のコーナー。

海外から日本を訪れる旅行客インバウンド観光について井上アナウンサーが取材した。

井上アナ

「日本を訪れる外国人旅行客の推移は、年々右肩上がりで増え、2018年は約3119万人と、2010年と比べ3.6倍以上となっている(日本政府観光局調べ)。

岩手県内も同じように右肩あがりで、2010年と比べると2018年は3.4倍の増加で、過去最高となった(岩手県調べ)。

岩手県の外国人観光客数を市町村別に見てみると、八幡平市が一番多く、次いで盛岡市、平泉町と続く(岩手県調べ)。

一方で、沿岸は10分の1にも満たないほどの少なさとなっている。

この潜在的な可能性に目を付けた宮古市のグループが、外国人を対象にした観光ツアー商品を開発しようとしている。先日開かれたモニターツアーを取材した」

ツアーを企画したのは、宮古観光創生研究会。

この研究会は地域の観光資源を考えようと、2015年に発足した宮古市内の若手経営者のチームだ。

宮古観光創生研究会・花坂雄大代表は「人口がこれから減っていくなかで、インバウンドの観光は地方にとって伸びていく数少ない市場というか、商売なので、なんとかして自分たちの地域でも盛り上げていかないと、と考えています」話す。

まずチームは「人を呼び込める観光地」には何が必要かを専門家から学んだ。

そして、土台作りとして2018年8月には、観光客が気軽に泊まれるゲストハウスをオープンさせた。

さらに2019年本腰を入れてのがインバウンド客の取り込みだ。

(11月7日・浄土ヶ浜)

今回、メンバーが案内するのは、外国人向けのツアー商品を作ってきた旅行会社のプロ。

ツアー商品として自分たちで売り出すために、外国人の視点からアドバイスをもらう。

宮古市内をめぐるツアー。

まずは、浄土ヶ浜をサッパ船でめぐるクルーズ。

サンドラ猪坂さん(アメリカ出身)「楽しかった。本当に美しい海岸線です。このへん初めてで印象に残った」

一行が、次に向かったのは…宮古市崎鍬ヶ崎・日出島漁港沖。

ホタテ養殖をしている平子昌彦さんから、三陸の漁場の魅力や出荷するまでの苦労話などを聞いた。

ホタテの殻についた不要なものを削り取る作業も体験した。

そのあとは…浜ならではの豪快!ホタテの浜焼き。

ナイジェル・パクインさん(カナダ出身)「おいしい」

アンニ・ピュウッコさん(フィンランド出身)「ホタテは他のところで見たこと・食べたことあるんですが、どうやって海から捕るとかは初めて。それは見たいと思いました」

インバウンド観光はこれまでの「爆買い」のような「モノ」を求める観光から、その土地でしかできない「体験」を求める観光にシフトしてきている。

平子昌彦さんは「日本人観光客が減っているなかで、世界に発信することができればいい」話した。

ホタテの次は、魚市場の見学。

共和水産の鈴木良太専務「全員で少ない水産資源の価値を上げようとがんばっているところです」

案内するのはイカ王子こと共和水産の鈴木良太専務。

みんなで競り体験をした。

競り体験が終わった後、今回の体験にどれくらい払えるか率直な感想を聞いた。

サンドラ猪坂さん(アメリカ出身)「何もない、何も試食もない。たぶん3000円、4000円」

「イカの刺身、じゃあ日本酒合わせてみましょう、これ宮古の酒です、などあれば、全然(料金)上げてもいい」

世界はもちろん、日本国内の様々な所を旅行して知っているプロだからこその意見だ。

共和水産の鈴木良太専務は「実際にお金をもらうまではいってなくて、特に外国人相手というのは、いい意味で厳しい意見も頂けたので、いろいろ勉強させていただきました」話した。

最後に訪れたのは、田老地区。

外国人の人たちにとっても、津波の歴史や復興についての話は貴重な機会となったようだ。

宮古の自然や食、津波の歴史その魅力を伝えてきたメンバー。

最後にアドバイスをもらった。

「2回目、3回目の外国人旅行客は、リアルな日本の場所へ行く。リアルな日本人に会いに。あなたたちはとても潜在的な価値をもっている」

今回の旅を通して、確かな手ごたえをつかんだ宮古観光創生研究会のメンバー。

宮古観光創生研究会・花坂雄大代表は「まず今年が第一歩だと思ってて、これからこれを続けていきながら、2年3年4年5年と経ったとき、地域の産業のなかの新しい価値の一つとして育てられたらいいなと考えています」と話した。

人口減少という課題の解決になるかもしれない「インバウンド観光」。

大きな可能性を秘めている。

井上アナ

「今回のモニターツアーでは、ほとんどが体験型の観光になっていたが、実は、欧米とオーストラリアをターゲットにしている。

その理由の一つが、外国人観光客の1人当たりの旅行支出になる。

外国人観光客の一人当たりの旅行支出は、オーストラリアが一番で、トップ5をみるとイギリス、スペイン、フランスも入り、欧米とオーストラリアで4つを占めている(2018年官公庁調べ)。

その特長は、1回の旅行の宿泊がアジアに比べて長く、体験型の観光を重視しているということ。

とはいえ、訪日観光客の内訳をみると、欧米は1割ほどしかない。

逆に言うと、まだ伸びしろがそれぐらいあるということ。だからこそ、体験型の観光をどう磨いていくかが、カギとなりそうだ」