堤防が山からの雨水をせき止めか 台風19号の浸水被害大きく 山田町・田の浜地区【岩手】

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10月の台風19号で、岩手・山田町の田の浜地区で津波を防ぐための堤防が、山からの雨水をせき止め、浸水被害を大きくした可能性が…

人災だという指摘がある問題を馬久地記者が取材した。

馬久地記者

「今回被害があった山田町・田の浜地区は、船越半島の付け根に位置しています。

震災を受けて高台に沿って住宅が建てられ、高台を降りたところに堤防が造られています。津波を防ぐために堤防を造り、斜面に沿ってできた集落で、どのように浸水被害が起きたのか、メカニズムと今後の対策について取材しました。」

これは(10月13日)地元の消防団によって撮影された映像。

住宅の1階を飲み込むほどに水がたまり、堤防の一部を壊して大量の水を流す様子が映っている。

住民は

「人災だという人もいる」

「こういう雨が降らないと思って作ったのだろうけど、設計ミスなんですよ」

山田町船越半島にある田の浜地区では、山から流れてきた雨水がふもとの堤防のあたりでたまって、住宅の床上浸水など大きな被害が出た。

被害直後から「堤防が雨水をせきとめて被害が拡大したのでは」と「設計ミスによる人災」を疑う声が上がっていた。

1カ月たった今は、道路の泥は取り除かれたが、住宅の片づけはまだまだ進んでいない。

渦中にある堤防は、高さ3、3メートル、幅・約400メートルで、津波を防ぐために2018年5月に完成した。

町では過去のデータをもとに、10年に一度の大雨である1時間に55.7ミリの雨を想定して、堤防の周辺などに4つの排水管を設置していた。

しかし、あの日1時間に最大77.5ミリという想定を超える雨が降った。

4つの排水管のうち、2か所が土砂や流木で詰まり、低くなっていた堤防の真ん中あたりに水が集まった。

消防団が撮影したのがまさにこちらの映像。

溜まった水はやがて堤防を越えていったため、やむなく住民が堤防を壊して流した。

山田町・佐藤信逸町長は「今まで経験したことがないような、織笠地区の雨量計で1時間に77ミリの雨。船越半島はもっと降ったのではないか。排水路をすべて閉塞させた。思いもよらない災害だった」と話した。

このうえで佐藤町長は今後の対策について次のように語った。

佐藤町長「山の方をなんとかするということで、早期にそのような砂防堰堤(えんてい)というようなものを造らなくては、いくら排水溝を大きくするという問題以上に、また流れてくれば大変なことになる」

大雨災害の源になる山間部の3~4か所に「砂防堰堤」と呼ばれるダムのようなものを設置するよう県に求めているという。

また、今回の大雨のように想定を上回る場合を考え、住宅地でも排水を見直すなど対応を強化するという。

佐藤町長「砂防堰堤というもので抗しきれない部分があっても、しっかりと飲み込めるような工事を考えていく」

津波や高潮から命を守るための堤防はいかしながら、大雨対策は山間部と住宅地で二重に行う。

それでも住民の不安はぬぐい切れない。

住民は「やっぱり(水が)抜けるところを作ってもらわないと、またこういうことが起きるのではないか」と話す。

また、いつ起こるかわからない災害。

時間とともに増してくる不安を、町がしっかりと受け止めるため、時間をかけない検証と早急な対応が求められる。

馬久地記者

「被災した住民の多くは東日本大震災でも浸水被害を受けていて「しっかり対策しないと、これ以上は住めない」とも話していました。

堤防を造ったことではなく、排水設備の甘さが問題なのかもしれません。」