浸水被害の酒蔵 “もろみ”生き残り「水尾」奇跡の復活 全国のファンの支援が後押し 長野・飯山市

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日本酒「水尾」の蔵元「田中屋酒造店」は、浸水被害により酒造りが一時ストップしました。しかし、多くの人の助けを借りて設備はほぼ復旧し、一部の店へ出荷を再開。店主は「酒造りで恩返ししたい」と感謝し、完全復旧を目指しています。

飯山市街地にある「田中屋酒造店」。おととい12日、浸水した酒蔵の復旧工事が進んでいました。その工事を見つめるのは、6代目の店主・田中隆太さん。

田中屋酒造店・田中隆太社長:

「少しずつ整ってきて、再開できるのが具体的に見えてきて、前向きな気持ちに」

1ヵ月前。飯山市では、千曲川の支流・皿川の堤防が決壊し626世帯が浸水被害にあいました。1873年創業の老舗「田中屋酒造店」も、およそ70センチの高さまで水がつき、損害額は「4000万円以上」に。

(先月21日)田中屋酒造店・田中隆太代社長:

「水害は怖いですね。回復させるのに非常に時間がかかる、そこが大変」

この影響で田中屋酒造店の看板商品「水尾」も、生産できなくなりました。「水尾」の復活を願い、全国からファンや他の酒蔵の関係者たちがかけつけ、片づけを手伝いました。

東京で飲食店経営:

「必ず復活してくれるのは疑っていない。信じている」

店にはメールや手紙で、多くの応援メッセージも寄せられました。

応援メッセージ:

「多くの水尾ファンが日々応援しております」

田中屋酒造店・田中隆太代社長:

「(応援は)非常に大きな力でしたし、心の支えに。やめるわけにはいかないんだなと、こんなにあてにしてくれる人がいるなら続けるしかないんだなと」

多くの助けが後押しとなり、1ヵ月足らずで生産設備は「ほぼ復旧」。被害を免れた「もろみ」を絞って酒を造れるようになり、今月8日から、一部の酒販店向けに水尾の出荷を再開しました。本格的な出荷は、来週からの予定です。

田中屋酒造店・田中隆太代社長:

「丁寧に掃除してもらって「もろみ」も生き残って、うまく絞れて、奇跡の連続ですよね。(大変な作業を)やっていただいたからもっと思いがこもるんじゃないですか、酒に」

浸水により「酒造りの命」ともいえる「こうじ」は、すべて廃棄したため、「新酒」作りは一からのスタートです。

田中さんは、「恩返し」の気持ちと、地域の再興を願いながら、酒造りに取り組みたいと力強く話しました。

田中屋酒造店・田中隆太代社長:

「(飯山の)皆さんに気持ちが伝わって皆で頑張っていければいいこと。今まで以上のものを提供して、皆さんに飲んでいただくこと。言葉を尽くしてもとても返せないので、それしか恩返しの方法はないと思って、頑張ってやりたい」

なお、新酒作りは今月30日から再開し、2月頃出来上がるということです。

(動画は一部)