丸森町で“想定超える”被害も…機能したか?「ハザードマップ」その実力は〈宮城〉

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台風19号では、大規模な浸水や土砂崩れが宮城県内各地で相次ぎました。こうした被害予測を自治体が公表しているのがハザードマップです。マップの「想定通り」となった場所がある一方で、「想定を超える」被害が出た場所もあります。避難行動の道しるべとも言われるハザードマップ。有効に生かす方法を専門家に聞きました。

記者リポート

「画面中央にあるこの茶色い建物、丸森町の役場です。現在も一階の部分が浸水しています。茶色く濁った水が役場にも押し寄せまして、現在、丸森町では固定電話も通じない状況です」

台風19号で、宮城県丸森町では町の中心部が浸水。大規模な土砂崩れも発生し、町内だけであわせて10人が死亡しました。

こうした土砂崩れなどの被害を予測し、被害範囲を地図に表したものがハザードマップですが…。

今回は、うまく機能したのでしょうか。

こちらが、丸森町が公表しているハザードマップ。赤い部分が浸水予測エリアです。

役場の周辺一帯は最大高さ10mの浸水が予測されていて、町の担当者によると、「今回の浸水場所は、ほぼマップの予測通りの浸水だった」としています。

しかし…。

記者リポート

「町の中心部です。こちらには役場などがあるのですが、台風の際には人が立ち入れないほどまで冠水しました。ハザードマップでは冠水の危険エリアとなっているのですがご覧のように避難所がある場所となっています」

最大で高さ10mの浸水が予想されるエリアの中には、町役場や総合病院、さらに避難所が3ヵ所も含まれます。

丸森の被害を調査している東北大学の森口周二准教授は将来的に町としての対策を考える必要性を指摘します。

東北大学災害科学国際研究所 森口周二 准教授

「今回ぐらいのレベルの雨だと必ず被害が出るということを想定した上で、対策を考える必要がある。例えば、町役場もマップで浸水するならば、浸水したという想定で、他のところに代替機能をすぐに移せるようにするとか」

ハザードマップの「想定通り」だった部分がある一方で、「想定をはるかに超える」被害が出たのが…。

記者リポート

「こちらは廻倉地区です。ご覧のように大規模な土砂崩れが発生していますが町のハザードマップでは危険地帯と示されていませんでした」

丸森町内では今回、じつに150ヵ所以上で土砂崩れが起きましたが、中でも最大規模だったのが廻倉の崩落です。

この土砂崩れは住宅を直撃し、男女3人が死亡、女性1人が行方不明となっています。

こちらが廻倉地区のハザードマップ。

マップ上で見ると真っ白…。つまり、土砂災害の危険エリアには指定されていませんでした。にも関わらず、なぜ土砂崩れが起きたのか。

東北大学災害科学国際研究所 森口周二 准教授

「廻倉の裏山の土石流が起こった所は傾斜角が20度ぐらい。30度以上ないと、危険箇所のスクリーニング(選別)に入ってこないので、当然ハザードマップにも載らない」

さらに、この土地のもろい地盤も影響したとみられるということです。

東北大学災害科学国際研究所 森口周二 准教授

「今回死者がでた廻倉では花崗岩という火山性の岩の一種で、これはよく言われるのが風化すると真砂土というものになる。真砂土という土自体も崩壊のリスクが高いと言われ、西日本豪雨でも崩壊がよく起こった」

災害時、私たちの避難行動の道しるべとなる「ハザードマップ」ですが、決して万能ではないということも理解しておく必要があるといいます。

東北大学災害科学国際研究所 森口周二 准教授

「今回の浸水被害はハザードマップの予測がかなり当たっている。今回の災害で非常に精度が良いことがわかった。ハザードマップをどう使うかは情報の受け手の問題だが、そこが重要と思います。自分の住む所であまり被害が大きくなかったというのを、過大に考えないでほしい。本当に“紙一重”で自分たちも『死んでもおかしくなかった』と考えていただくのが、今回の災害を考える上で重要なことだと思います」