台風19号福島県の農業被害は558億円超…震災の風評・台風19号から前を向く農家を支える絆

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台風19号が通過した直後の10月15日。

夏井川に隣接している畑は全て水没。野菜は泥に包まれていた…。

福島県いわき市小川町の野菜農家・白石長利さんは、所有する全ての畑が被害を受けた。

泥に覆われた野菜。

主力の冬野菜の生育が軌道に乗った矢先での被災だった。

「まだ こいつら(野菜)必死に生きようという姿なので、どうやれば、もっとこの野菜たちにいい環境を作れるかというのを試行錯誤しながら、やっていこうかな」

白石さんの自宅も1階が水没、この日は仲間が駆けつけて片付け作業。

「自分が取引しているレストランのシェフだったり、後は本当に仲間内。本当にありがたいですね」

白石さんと仲間との間には、強い絆が…

自然農法で栽培する野菜は評判を集めたが、8年前の原発事故で取り引きは無くなった。

その時、共に苦しむ農家や飲食店などの仲間と助け合いながら風評被害と戦ってきた。

「仲間に甘える時は甘えて。野菜達をそういう人達の元に届けるっていうのが本当に自分の使命だと思ってますんで、それでまた恩返し出来ればなという思いですね」

その1週間後。待っていたのは最悪の結果だった。

「キャベツを開くと中でカビ生えてますね」

主力の冬野菜はほぼ全滅。

収穫を諦める決断をしました。

「こんな年は、38年間生きてきて初めてで…でもしょうがないですね、自然災害」

しかし、希望もあった。

「よく、無事でいてくれたな」

高台の畑で栽培していたサトイモ。一時は水没したが、奇跡的に無事だった。

「この種を絶やしてしまうと、今までやってきたじいちゃんの代からのサトイモの味がほぼ間違いなくなくなってしまう」

祖父、長兵衛さんの代から栽培しているサトイモを白石さんは「長兵衛」と名付けた。

震災の時も種芋はすでに植えてあったため無事だった長兵衛。

今回も絶える事無く生き残った。

「今までは悪い報告しか出来なかったので、素直に嬉しいです」

収穫した長兵衛を早速仲間の元に届けます。

いわき市内のイタリア料理店スタンツァの北林由布子さんも白石さんの仲間の一人。

北林由布子さん:「まあ、震災の時も、みんなで耐えた時期があった訳だから。またかよと思うけどね」

白石長利さん:「でも、畑が無くなった訳ではないので。そこだけは希望かなと」

生き抜いてくれた長兵衛に感謝をしながら、多くの仲間に届けるのが次の使命。

白石長利さん:「本当に失ったものもありますけど、これが食べられるというだけで、また明日からエネルギーに変わるなと思います」

震災から立ち上がったところで再び襲ってきた水害…しかし、白石さんは仲間と共に前へ歩き続けます。