多頭飼育崩壊 “増えすぎ”で殺処分の危機...高齢の飼い主が限界に ペット飼育の“覚悟”とは 福岡

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荒れ果てた室内に数え切れないほどの犬たち。

TNCの報道番組キューブが放送し、全国でも取り上げられた「多頭飼育崩壊」の現場です。

増えすぎて殺処分を迫られたペットたち...記者がその結末を取材しました。

集合住宅の一室にネコ・ネコ・ネコ!

22匹もいるというこの部屋、つい一週間前まで…荒れに荒れていました。

【飼い主(福岡市)】

Q・なぜゴミ屋敷みたいになった?

「ネコのことしてたら時間がなくなっちゃう」

Q・相談する相手は?

「いないです、いなかったですね。

 きょうだいは亡くなりましたし、もともと結婚していないので一人ですね」

猫との生活が始まったのは5年前。

自宅近くで弱っていた1匹を招き入れたことがきっかけでした。

その後も3匹を仲間に加えましたが、不妊手術の費用は捻出できず、予想外のスピードで繁殖していったといいます。

『多頭飼育崩壊』

ペットが過剰に繁殖し、適切に飼育できなくなる状態です。

現在は動物愛護団体が手を差し伸べ、猫の不妊手術を行いながら里親への譲渡を進めています。

【飼い主(福岡市)】

Q・自分のところから1匹もいなくなったら?

「悲しい、悲しいけどこの子たちが幸せになるんならそれでいい。

 ここ何年か…はっきり言って幸せにしてあげてる気持ちはないですから…」

福岡県大川市、ここにはさらに深刻な現場がありました。

【仲村 記者】

「すごい!ものすごい数の…犬が…」

【飼い主(大川市)】

Q・これ、全部で何頭いる?

「いま60頭ぐらいいます。

 自分が節約して仕事をすればイヌたちは養っていける。

 『もう少しできる、もう少しできる』でここまでなってしまって」

飼い主の女性が一人で生活しているという家の中は、もはや犬小屋と化していました。

【飼い主(大川市)】

「最初は捨てイヌとか、けがしたイヌとか引き取ったりしていた」

Q・ここまで増えた理由は?

「当然、避妊とか去勢とか言われるが、私としては費用が高くて…何万しますよね」

適切な飼育環境からはほど遠いといえるこの家は、やはり近所でも“よく知られた存在”でした。

【近所に住む人】

「においがね、窓からもほえるしね。うるさい!」

「ある意味じゃ虐待かもしれないしさ散歩もさせないしね。

 自分がきちんと管理できる状態であれば、何匹飼ってもいいと思うけど」

住民の苦情などを受け、保健所は4年前50匹ほどを強制的に引き取り殺処分したものの、その後、犬の数はまたしても増えていったといいます。

【飼い主(大川市)】

「産まれた命は育みたいという気持ちが強かった。

 とにかくイヌたちの食費を稼ぎたいっていうので、1カ月に1回休みぐらいで仕事をしてきた。

 睡眠時間が1時間ぐらい。事故も何回か起こして寝てない状態だった」

この事態に、保健所は飼い主にある『二択』を迫りました。

それは、犬とともにこの家を出ていくか…それとも全て殺処分するか…です。

【飼い主(大川市)】

「本当はこのまま全頭飼いたい。

 1頭1頭特徴があるしかわいい子なので、本当は育てたいけどそういう訳にはもういかないので。

 とにかく…こんな状態になったから責められて当然なんです。

 でもイヌたちをやっぱり生かしたい(泣)」

決められた命の期限は6月いっぱい。

残された時間はもうありませんでした。

期限を過ぎた7月2日、取材班が向かったのは、佐賀県有田町にある動物愛護団体の施設。

そこにいたのはー

【塩塚 記者】

「いました、たくさん!

 1、2、3、4、5、6、7、8...8頭の犬がこちらで保護されています」

あの犬たちは...無事でした。

飼い主の女性が動物愛護団体にSOSを出したことで、急きょ保護されることになったのです。

しかし、ここにいるのは60頭のうち8頭だけ。

ほかの犬たちはどうなったのでしょうかー

【アニマルライブ 岩崎ひろみさん】

「みんな行き先が決まりましたので、1頭残らず殺処分されず助けることができた」

ニュースを見た全国の愛護団体などから「引き取ってもいい」という連絡が殺到。

これからそれぞれの団体が里親探しをするなど課題は残るものの、『最悪の事態』は免れることができました。

また、支援の輪はそれだけにとどまらず、えさやトイレシートなどの物資が全国各地から毎日10件以上届いています。

今回はなんとか救出できたものの、1人暮らしの高齢者による多頭飼育崩壊のケースは急激に増加していて、愛護団体も“手一杯”になっているといいます。

【アニマルライブ 岩崎ひろみさん】

「飼い主さんの“義務感”と“覚悟”が足りない。

 その覚悟というのは、ワクチンだったり毎日のご飯、衛生面、避妊・去勢です。

 これを怠ることで今回のようなケースが起きてしまいますので、覚悟というのは『お金がかかるものだ』と認識してもらいたい」

かわいそうだと捨て犬や捨て猫を引き取り、結果的により深刻な結果を生み出すという皮肉。

近隣の苦情などで初めて表面化し、その時にはすでに手遅れになっているケースも多いだけに、当事者の孤立を防ぐ仕組みの整備が急務となっています。

~参考~

何とか命を繋ぎとめることができた今回のケース。

実は殺処分まで、本当に瀬戸際のところまで来ていた。

というのも施設(アニマルライブ)には、すでに保護犬や猫が100頭以上いて、空きスペースはなかった。

保護犬たちの中には里親が見つからず老犬となっていく犬たちも多く、施設で最後まで看取るため、飽和状態となっている。