かんぽ不適切契約9万件以上...福岡でも被害が 「赤いバイクの詐欺師」郵便局員が明かす内部事情とは

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かんぽ生命の保険の不適切な契約が9万件以上にのぼると発表された問題。

福岡市でも、70代の女性が強引な契約の被害に。

郵便局員が「通帳を見せてくれ」などと迫っていたことが分かりました。

【保険契約した女性(71)】

「この人は自分の実績を上げるために一生懸命なんだと思った。

 なんか詐欺というか強引というか」

福岡市東区に住む71歳の女性。

詐欺まがいの手口で、かんぽ生命の生命保険を契約させられたと憤ります。

事の発端は2018年12月、自宅にかかってきた郵便局からの1本の電話でした。

「年金預金の手続きが変わります」

【保険契約した女性(71)】

「年金の手続きだけのために来られたと自分は思っていたから、まさか保険を勧められるとは思わなかった」

「年金預金の手続き」

そう思っていた女性ですが、自宅を訪ねてきた郵便局員が切り出したのは、なぜか「生命保険の契約」でした。

【保険契約した女性(71)】

「『いくつも入っているからそんなに払えません』と言ったけど、(郵便局員に)『通帳を見せてくれ』って言われた。

 『これだけあったら大丈夫』と言われた。

 何か変だなとは思ったんですけど、どんどん話が進んでいって」

女性は元々、別の生命保険に加入し毎月2万円ほどを払っていましたが、かんぽ生命への新規加入で月々の保険料はあわせて4万円ほどに。

女性の年金の半分は保険料で消えることになり、生活設計は大きく狂いました。

【保険契約した女性(71)】

「やっぱりゆとりがない。

 楽しんで生きようと思っていたのが、これも節約これも節約とかなっちゃう」

さらに、今回の契約にはこんな問題点もー。

「家族の同席なし」

かんぽ生命の場合、70歳以上の人には家族と一緒に説明するとしていますが、女性は契約の際、家族を同席させてもらえませんでした。

【保険契約した女性(71)】

「私も不安だったから『息子に連絡しなきゃいけない、相談します』って言ったんですけど(郵便局員に)『大丈夫大丈夫』と言われた」

【女性の息子】

「書類を見たら、家族が遠方にいるってところに(勝手に)チェックされていて、私は車で10分の近所に住んでいますので、そもそも同席は必要だったじゃないか」

この強引な契約手続きについて専門家は。

【ファイナンシャルプランナー 中村 賢司さん】

「明らかにコンプライアンスは欠けていたと私は思う。

 国の看板を背負って、そこに甘えた詐欺行為に近いことをしている」

10日の会見で、全国で約9万件の不適切な契約があったことを明らかにした、かんぽ生命の社長ら。

なぜここまで規模が拡大したのか、郵便局で20年近く保険の営業を担当している現役の郵便局員が、TNCの取材に内部事情を明かしました。

【現役の郵便局員】

「民営化以降、詐欺そのもの。

 “赤いバイクに乗った詐欺師の集まり”ということがはっきりいえる」

「郵政民営化」

2007年に、当時の小泉内閣のもとスタートした郵政民営化。

男性によれば、これ以降保険営業のノルマは厳しくなり、数字至上主義に変わったと話します。

【現役の郵便局員】

「私も実際コンプライアンスにひっかかる程度の保険募集はやっていました。

 目先の数字が求められますので、手段を選ばずにやらざるを得ない。

 別に上から指示をされているわけでもなく、コンプライアンスに引っかからなければ、どんな手段であっても数字をあげた者が人間として評価される」

さらに、ノルマを達成できないと毎月1回、懲罰研修と称して会議室に呼び出され、パワハラまがいの詰問を受けていたといいます。

【現役の郵便局員】

「机をバンとたたかれたり、罵声を浴びせられたりすることもあった。

 『なんでできないんや』とか」

度重なるパワハラでうつ病を発症し、現在は休職中という男性、いまも客に対する罪悪感にさいなまれています。

【現役の郵便局員】

「罪悪感でいっぱい、お客様には申し訳ないという気持ちでいっぱい」