少数派の人が生きやすい社会に 全国で唯一LGBTを公表 渕上綾子議員 厳しい現実乗り越え出陣 北海道

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 16日に開かれた臨時道議会。北海道知事に新しく就任した鈴木直道知事が初登場、新しい風が吹きました。

 そして、もう一人新しい風が。渕上綾子議員です。

 渕上綾子議員は都道府県議会としては、全国で唯一、LGBTを公表している議員です。

 自身を含め、LGBTが社会に受け入れられない状況を知っている彼女は、政治の世界から少数派の人が生きやすい社会にしたいと意気込んでいます。

 5月12日、札幌市内で行われた結婚式。新郎新婦はともに心と体の性別が一致しない、いわゆる「トランスジェンダー」と言われる方です。

 つまり、新郎が女性で、新婦が男性という「逆転カップル」。

 ともにススキノで働いていることもあり、式には、職場で知り合ったLGBT(性的少数者)の人たちが大勢参加していました。

 その中にいたのが、渕上綾子さん。LGBTを公言した初の道議会議員です。

 渕上綾子議員:「ドン・キホーテ、リーバイス、スターバックスなどなじみのある企業の看板がありましたが、それらがLGBTにちなんだレインボーカラーになっていた」

 札幌市東区選出の道議・渕上綾子さん。平日はほぼ毎朝、街頭に立って演説を続けています。

 世界の大企業でも、LGBTの存在が認められていると訴えました。

 今年2月から始めた演説ですが、まだまだ不慣れだといいます。ともに活動してきた先輩議員は。

 藤原広昭市議:「勉強してきて改善して市民の皆様に訴える努力をする。素晴らしいと思います」

 渕上綾子道議:「始めたばかりなので、訴えたいというよりもいろんな意見を聞きたいと考えています」

 立憲民主党の公認候補として出馬し初当選した渕上さん。

 選挙では1万8000票あまりを獲得しました。

 佐賀県出身の44才。幼稚園のころから自分の性別に違和感を抱いてきました。しかし、まわりに言えば怒られたり、いじめられると思いずっと隠してきました。

 渕上議員:「将来、何になりたいですかと、男の子はウルトラマンになりたいと書いているんですけど私はお母さんになりたいと書こうとしたんですね。したら先生にそれは違うと、お父さんだよねと、お父さんになりたいと書かされた経験がありますね」

 北大の大学院に進学し農水省の試験場で稲の研究を続けていましたが次第に心と体の違いに耐えられなくなり性別適合手術を受け、31歳で戸籍も女性に変えました。

 そして、自由を求めてススキノのショーダンサーに転身。

 18年ダンサーを続けましたが、そこで見たのは引退したトランスジェンダー達を待ち受ける厳しい現実でした。

 渕上道議:「私の大先輩でステージに出るだけでお客さんが笑うパフォーマンス力のある方がいたんですけれども引かれまして、色々したみたいなんですけどうまくいかなくて、社会も家族も受け入れられなかったと。孤立化して最後は自殺をされた。社会で参加できる場所を作らないといけないとずっと思っていたんです」

 そして、去年の末知り合いの道議に出馬を打診されます。悩みましたが政治で社会を変えたいと、選挙に出ることを決断しました。

 「おめでとうございます」「ありがとうね。忙しいのにセンセーがね、センセーが」

 渕上さんも出席し盛り上がるLGBTたちの結婚式。彼らの苦労を知る大勢の仲間たちが参加し2人を祝福しました。

 中でも喜びを爆発させていたのは、新郎の妹でした。

 妹:「これからも末永くお幸せに。幸せな家庭を築いてください」

 実は、妹もトランスジェンダーで、同性のパートナーと暮らしています。

 札幌市には同性カップルを公に認める「パートナーシップ宣誓制度」がありますがまだまだ不十分だと訴えます。

 新郎の妹:「自分は嫁として扱いたいけれども社会的にははそうは扱ってくれない。そんな世の中じゃなく、パートナーシップで結ばれている以上、保険の適用からなにまで(できるようになってほしい)」

 渕上さんの先輩:「彼女の活躍によって生きづらいと思っている人たちが生きやすい世の中になってくれることと、勇気づけてあげることを期待しています」

 気持ちを新たにした渕上さん。今の目標は「パートナーシップ宣誓制度」を全道に広げること。そして、障害者を含む、全ての人への差別を禁止する条例の制定です。

 渕上道議:「おはようございます。緊張しかないです。これつける時が一番緊張した」

 渕上さんは16日、道議会に初登庁しました。緊張の面持ちですがやる気がみなぎっています。

 渕上道議:「LGBTだけではない、マイノリティの方々のために働きたい」

 道議会の新人は18人。新しい時代に北海道がどう変わっていくのか注目されます。