「介護をする人」ケアラーを「孤立させない」癒しの場づくり

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病気や障害のある家族を自宅で介護する人を『ケアラー』と呼び、支援する取り組みが始まっています。助けを求められず社会から孤立しがちな『ケアラー』を巡る課題を取材しました。

【寸劇】

「今日ねお母さんったら私が財布を盗んだって言っておまわりさんまで呼んじゃったんです」

「そうなんですか…」

認知症の母親を介護する女性を描いた劇。

こうした、病気や障害のある家族を自宅で介護する人を『ケアラー』と呼びます。

この日、広島市内で『ケアラー』の支援を考える集いが開かれました。

「私がお母さんにご飯食べさせてないとか、介護の仕方が悪いって言われたんですよ」

「認知症の人の介護の基本は言われたことを否定しないことなんです。認知症は病気なんですから、そこを家族がよく理解してあげないと本人がつらくなりますからね」

現在日本で介護が必要な高齢者は600万人を超えると言われています。

【介護を経験した人は】

「今見ていて、本当に涙が思い出してから涙が出ました。介護って孤独な作業なんですよね1人で頑張っていくしかない。夜も2時間以上続けて寝たことはなかったですね、何年も」「ケアラーというのは耐えてやらないといけないというか。自分をやっぱり犠牲にしてやってるということをなかなか分かってもらえないというか」

「本人は要介護だけども私たち家族は要忍耐だねって話をよく家族でするんですけど。

もう限界かもと思ったことは何回かあります」

最愛の母を失ってもうすぐ1年を迎える北川朝子さん。母親の久子さんは、脳出血で右半身まひになり、要介護5に。91歳で亡くなりました。

およそ5年間介護に尽くしましたが今なお、後悔があると言います。

【北川さん】

「介護がずっと続いていきますとストレスがたまるといいますか、はけ口がなくなってきますので。もっとほんとに優しい言葉で接してあげればよかったと思っています」

体が弱っていく母に対し些細なことをとがめたこともあり、母を傷つけたのではないかと自らを責めました。

自分のように介護に行き詰ったケアラーを支援したいとオープンしたのが『ケアラーズカフェ&キッチンはぴねす』。

県内で初めてとなるケアラーのための『常設カフェ』です。

毎週木曜日から土曜日まで、北川さんの姉・千代さんとボランティアのスタッフで運営しています。使う野菜は、農家が育てた有機野菜。直接届けてもらっています。

【はぴvege・来須圭子さん】

「おいしいものを食べると人って幸せになれるじゃないですか。喜んでもらえたらなと思っています」

この日の日替わりメニューは豚しゃぶのレモン煮。

野菜中心の体に優しいランチは口コミで広がり、常連客も増えました。

店には、一般客も訪れます。

ケアラー同士、思いを打ち明けることで、気持ちが楽になります。

【北川さん】

「(母が)去年の4月に亡くなったんです。実は。でも皆さんに支えられて」

「私の母が亡くなった時を思い出したりして」

常連客の一人で現在、実の母親を介護している笠野保子さんです。

【笠野さん】

「満足したら人にも優しくあたれるっていうゆとりがでる」

「認知症ってね、止められないからその中でいかにストレスなくお互いが見ていくかが一番じゃないかなと」

母親がデイサービスへ行っている間月に数回このカフェで過ごす貴重な時間です。

母親が戻るまで家事に追われる毎日。

【笠野さん】

「ご飯を食べるっていう風になったときに私はどれということでさーっと持っていこうとするから。これが夫、これが母のこれが私ってね決めるんですよ」

夕方4時半ごろ母の幸子さんがデイサービスから帰ってきました。毎日すぐに夕飯が食べられるように準備しています。幸子さんの体に気遣ってやわらかく煮込んだ野菜料理が中心です。

【笠野さん】

「かたい?味がしみとらん?」

「いつもよりか辛くもないし甘すぎもしない。ちょうどいい」

86歳になった幸子さんとの時間を大切にしたいと思いながらも介護生活を続けているとそのやりとりにもどかしさを感じる時もあると言います。

【笠野さん】

「やっぱり先が長い。先が見えないわけですからね。ケアラーの人をみんなが関心を持っていただくこともまず知っていただきたいなと思うんですよね。支える人が元気じゃないと支えられない」

北川さんは日々の介護に追われるケアラーにひとときのやすらぎを与えたいと始めたカフェで自らが救われたと話します。

【北川さん】

「皆さんがほんとに私を支えてくれて。私が母が亡くなった時にかなり落ち込んではいたんですけれどその時にカフェを続けてねというあたたかい言葉をいただきまして。一人でも多くの方に自分ひとりじゃないっていうのを分かっていただきたいし、もし困っていたらやはり手を挙げて私も助けてと言うふうな形の言える社会にしていければなと思います」

1人でも多くのケアラーに寄り添いたい。

北川さんは今日もその言葉に耳を傾けます。