高齢の認知症女性と偽装結婚 男に1年4カ月判決 なぜこんなことが?【熊本】

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認知症を患って寝たきりの当時83歳女性と偽装結婚したとして先月、熊本地裁は65歳の男に懲役1年4カ月の実刑判決を言い渡しました。判決文などによりますと、男は2017年3月、婚姻届の妻の欄に認知症で寝たきりの高齢女性の名前を書き、偽造した届を熊本市の西区役所に提出しました。高齢女性は、被告の男と内縁関係にあった妻の母親。男は内縁の妻と共謀し、高齢女性の財産である土地や建物を目当てに偽装結婚を図ったのでした。高齢女性の息子は熊本地震で壊れた家の公費解体の手続きをする際、戸籍を見て母親が男と結婚しているのを知りましたが、事件にかかわった妹は偽装結婚の発覚後に病気で死亡したため息子は約2年間、独りで闘い続けたのです。息子は「偽装結婚に巻き込まれるとは夢にも思っていなかった」と話します。婚姻届が提出された役所で偽装結婚を見抜くことはできなかったのでしょうか。「福祉課などになぜ確認ができなかったのかという意見もあるが、同じ役所内でもプライバシー保護のため婚姻する2人がどういう状況かは調べない。あくまでも法務局の受理委託なので…」と熊本市西区役所の大川誠也区民課長。提出された婚姻届は20歳の年齢差や記入の間違いなどがあったことなどから区役所が法務局に電話で確認しましたが、やがて受理されました。「いったん受理したものは家庭裁判所で婚姻無効の手続きをしてもらうしかない」(大川区民課長)ということで、当事者の母親が申し立てできないため息子が去年6月に男を刑事告発しました。中山周子裁判官は「戸籍制度の適正な運営が脅かされ、結果は軽視できない」と指摘し、実刑判決と婚姻届の偽造部分を没収するよう命じました。息子は「途中で心が折れそうになったこともあったが、最後まで闘ってよかった。認知症の人が同様の被害に遭う恐れがあり、制度作りを進めてほしい」と話しています。