「その判断、なんか変だよ!裁判官」 5年で1.5倍に増えた保釈で被告逃亡も

“人質司法”の是非を考える

カテゴリ:国内

  • 妻殺害の罪に問われたパク被告の保釈が一旦認められた
  • その後、高裁が保釈却下の決定
  • 「人質司法」への反発が背景にあるのだが・・・

前代未聞の保釈判断

講談社元編集次長 パク・ジョンヒョン被告

オオシバくん:
殺人事件の被告の保釈が一旦認められたんだってね。

平松デスク:
そうそう、驚いたよ。
講談社の元編集次長、パク・ジョンヒョン被告は、妻を殺害した罪で、懲役11年の判決を受けたばかりだったんだけど、その直後に東京地裁が保釈を認めたんだ。結局は東京高裁の裁判官がその保釈を却下したのでパク被告は保釈されることはないと思うけど、一旦とはいえ、東京地裁の裁判官がこんな事件で保釈を認めるとは思わなかったよ。

オオシバくん:
そんなに珍しいことなの?

平松デスク:
前代未聞だよ。はじめて聞いたよ!
とはいえ、殺人事件の被告でも保釈が出ることはある。
全体の1割くらいは保釈が出たりするんだよ。

ただ、被告がかなり高齢で勾留に耐えられないとか、多くの人が同情するような介護殺人など、そういう事件が大半なんだ。こういうケースだと、人を殺めたとは言え、執行猶予が出たりもするんだよ。

ところが今回の事件は、多くの人が注目し、警察・検察当局が重大事件として扱っているもので、そんな事件でまさか保釈が認められるとは思わなかったよ。

人質司法への反発

オオシバくん:
じゃ、何故今回は保釈が認められたの?

平松デスク:
ゴーン事件以来、長期勾留に対する批判が高まっているよね。日本国内でもそう、海外でもそうだね。その根底には、人質司法への反発があるんだ。

人質司法というのは、罪を認めれば保釈も認めるよ、という、日本の警察・検察の悪しき慣習のこと。この長期勾留・人質司法への批判に対して、裁判所・裁判官が敏感に反応して、異例の保釈決定に繋がっているんだ。

保釈して海外逃亡のケースも

オオシバくん:
保釈したら逃げちゃうんじゃないの?

平松デスク:
そうそう、実際に逃げちゃった人もいるよ。
架空のグルメイベント「グルメンピック」詐欺事件で、主犯格だった田辺智晃被告は、保釈中だったんだけど、判決の日に2回も姿を見せず、どうも海外に逃亡したようなんだ。今年3月のことだよ。田辺被告は、懲役10年を求刑されていたから、かなり厳しい判決が予想されていたんだ。だから、逃げたんだろうね。

「グルメンピック」詐欺事件の主犯格・田辺智晃被告
「グルメンピック」パンフレット

そもそも、懲役10年を求刑されるような被告の保釈を、なぜ認めたんだ?
裁判所が悪い。逃げた責任は裁判官にある、との声もあがっていたんだよ。
にもかかわらず、今度は、懲役11年のパク被告の保釈を地裁の裁判官が認めたわけよ。
違う裁判官が判断したんだけど、ちょっと理解に苦しむよね。
「何かヘンだよな、裁判官!」「それだったら逃げちゃうよ!」って感じ。

5年間で1.5倍に増えた保釈

オオシバくん:
きょうはずいぶん怒っているね?

平松デスク:
怒っているというか、むちゃくちゃ違和感がある。

特別背任のゴーン被告、女性に乱暴をした罪の新井浩文被告、いずれも異例の保釈決定があった。

全国の地裁では、判決前に、被告が保釈された割合は、5年間で1.5倍にも増えている。保釈を認めてはいけないとは言わないけど、急ぎすぎるし、かなり度が過ぎるような気がする。このままいくと、何かよくないことが起きるんじゃないかなという気がするんだよ。

【解説:フジテレビ 社会部デスク 平松秀敏】

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