「両親に会えて本当にうれしい」金正男殺害事件の元被告アイシャ氏は、なぜ帰郷後すぐにジャカルタに戻された?

カテゴリ:ワールド

  • 『グッディ!』期末企画  平成を騒がせた人物の激変人生を徹底取材!第2弾
  • 金正男氏殺害の実行犯として逮捕・起訴されたシティ・アイシャ氏のその後を追跡
  • 帰郷後わずか24時間で再びジャカルタに…その背景には大統領の思惑が?

今週の「直撃LIVEグッディ!」では、平成を騒がせた5人の“激変人生”を徹底取材。

2017年2月に起きた前代未聞の暗殺事件。
北朝鮮の金正恩委員長の兄である金正男氏が、マレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害される様子を防犯カメラが捉えていた。

殺害の実行犯として逮捕されたのが、ベトナム人のドアン・ティ・フオン被告。そして、インドネシア人の元被告・シティ・アイシャ氏だ。

カメラの前で起きた“衝撃の暗殺”の真相解明に注目が集まっていたが、事態は思わぬ方向へ展開した。事件から2年経った3月11日、アイシャ氏は殺人罪の起訴が取り下げられ、突如釈放されたのだ。

アイシャ氏:
とても幸せです。今日釈放されるとは思っていませんでした。

釈放後、アイシャ氏はインドネシアの大統領と面会し、帰郷すると地元はパニック状態に。殺人事件の被告から一転、母国のVIPへ、まさかの激変人生となった。 

グッディ!は、釈放後のアイシャ氏行動を徹底追跡。すると、意外な事実が判明した。


アイシャ氏の母:
(娘のアイシャは) 夜10時に連れて行かれました。

両親の証言によると、アイシャ氏は釈放されてやっと帰ってきた故郷の村から、たった1日でいなくなったという。
元被告・アイシャ氏が釈放後に実家で過ごした24時間に何があったのか?

大パニックで気絶…家族との再会を喜んだのもつかの間

アイシャ氏の故郷は、首都ジャカルタから車で約2時間のところにあるセランという小さな村。村のいたるところには、アイシャ氏とインドネシア大統領の写真が入った垂れ幕が飾ってある。

アイシャ氏の両親が暮らす実家に向かうと、父親のアスリアさんと母親のベナさんが取材に応じてくれた。 

アイシャ氏の父:
とにかく嬉しかったです。娘が釈放され、感謝でいっぱいです。すべてのメディアや支援してくださった皆様のおかげで、娘はインドネシアに戻ることができ、再び会うことができました。

世界に衝撃を与えた「金正男氏殺害事件」から、2年ぶりとなる娘との再会の喜びを語ったアイシャ氏の父だが、そこに最愛の娘の姿はなかった。 

3月12日午後10時、アイシャ氏は村に到着した。
11日の突然の釈放後、母国インドネシアに帰国したアイシャ氏が地元の村に到着すると、実家に帰ることすらままならないほどの大パニックが起き、急遽、親戚の家に向かうことになった。

警察にガードされながら、何とか家の中に入ったアイシャ氏は、この時ある異変に襲われていた。 

村のリーダーの男性:
実は、彼女、車から降りたときには気絶していたんです。


車から降りたときに気絶したため、すぐに家の中に運び入れ、部屋で休ませたというのだ。
アイシャ氏は5分程度で意識を回復したというが、しばらくの間ぼうっとしていて、事件について語ることはなく、野菜スープとご飯を少し食べたという。

【3月13日午前0時 滞在2時間】

アイシャ氏の親戚の女性:
確か寝たのは夜中の12時ごろかな。寝る前にマッサージしてあげたの。本当に疲れた様子だったから。 

この時、「村に帰れて本当に良かった。両親に会えて、本当にうれしい」と話していたという。

【3月13日午前6時 滞在8時間】

到着翌日の午前6時、報道陣がいなくなったのを見計らって、アイシャ氏は親戚宅から実家へ移動。迎え入れた母は、当時の娘の様子について次のように語った。

アイシャ氏の母:
事件については話していないわ。朝食を食べた後、すぐに眠ってしまった。 

【3月13日午前11時 滞在13時間】

午前11時にカメラの前に姿を現したアイシャ氏は、コインを投げて将来の幸運を願うという地元伝統の儀式に参加した。

アイシャ氏:
私は今とても幸せです。これから私はもっと成長したいと思います。


実家に帰り、少しは疲れが癒えたのか、満面の笑みでコインを投げていた。

【3月13日午後10時 滞在24時間】

村に戻ってきて24時間。実家に戻り、穏やかな時間を過ごしていたアイシャ氏だったが、事態は一変する。
夜10時、アイシャ氏の実家に突然複数の男たちが入ってきた。彼らの正体は、武装した地元警察だった。
現地メディアによると、武装した地元警察官と外務省職員が、故郷に戻ったアイシャ氏をわずか24時間の滞在でジャカルタに連れて帰ったという。 

アイシャ氏の父:

外務省の指示だと聞かされました。娘とは、次にいつ会えるのかわかりません。

アイシャ氏の母:
警察は何も言わず、「ジャカルタでも警護がつくから大丈夫」とだけ言ったんです。警察から「心配しないでアイシャさんは元気ですから」と連絡を受けましたが、今どこにいるかは、教えてもらっていません。


自由の身となったアイシャ氏を警察はなぜ再び連れて行ったのか? インドネシアの政治に詳しい立命館大学の本名純教授に伺った。

「身辺の保護はもちろん、北朝鮮との外交の切り札として」

本名教授:
4月17日に大統領選挙がありまして、大統領はこの問題を自分の手柄として、しっかりとアピールできる体制を作りたいという思惑があったということは聞いています。

インドネシア政府がアイシャ氏を連れ戻した理由については…

本名教授:
身辺の保護ですね。もしかしたら狙われる可能性があることと、さらに情報を聞き出したい。というのがあると思います。
北朝鮮に対するカードとして持っていてもいいんじゃないかと思う人がいてもおかしくない。何かの際に「こういう情報があるんだ」ということをにおわせながら、北朝鮮との外交交渉で優位に出る1つのカードとして使うんじゃないでしょうか。


アイシャ氏には、大統領選挙の切り札として、北朝鮮との外交の道具として大きな価値があるというのだ。

アイシャ氏の保護で、さらに謎に包まれた“金正男氏暗殺事件”の真相。
誰が指示を出し、北朝鮮政府の関与があったのか?もう1人の“実行犯”フォン被告の次回公判が4月1日に予定されており、真相が明らかにされるのか、注目が集まっている。

安藤優子:
突如、アイシャさんが釈放された時、なんで?と皆びっくりしました。
実は、マレーシアとアイシャさんの母国であるインドネシアの外交問題になってたんですね。そこで、インドネシアのジョコ大統領が、かなり強引に「自分の母国のアイシャを返してくれ」ということで、手柄にしたと。そういう風な取引があったと聞いております。
ただディオンさん、やっぱり身辺は危ないですよね。

光岡ディオン:
そうなんですよ。やはり彼女が駒として、いろいろな人に使われているだけであって、彼女の命は守っていただかないと危険な目に遭うのではと心配になります。
でも、暗殺事件の謎は結局、解明されなんじゃないかと思ってしまいますけどね。

安藤:
実行犯として何があったのか、誰に依頼されたのか、そうしたことに対して彼女がどこまで口をつぐんだままになるのか。この事件の解明のカギになってくと思います。

(「直撃LIVE!グッディ」3月27日放送分より)