「私の研修で何を聞いてましたか」笠松競馬場が仮採用職員をTwitterで注意し賛否…“公開説教”はアウト?

カテゴリ:ビジネス

  • 笠松競馬場の公式アカウントが、仮採用職員をTwitterで「公開説教」
  • 「こいつマジ何様?」「全面的に正しい」賛否噴出の炎上状態
  • 専門家「他人にも伝わる方法を取った意図を示した方がよかった」

満開の桜が咲くこの季節は、新社会人として新たな一歩を踏み出す人がたくさん誕生する。
一方、来年の入社目指して就活の真っ最中という人もいるだろうが、そんな就職戦線で起きたトラブルが賛否飛び交う論争になっている。

論争の発端は、Twitterユーザーの「Aさん」と笠松競馬場の公式アカウントのやり取りがきっかけになった。
Aさんは3月19日に転職の研修を受けて22日に仮採用になり、「来月から笠松競馬場職員になるので、皆様よろしくお願い致します」と投稿。
フォロワーから競馬に関する意見を募集するなどやる気満々だったが、25日に笠松競馬場の公式アカウントから厳しい叱責のメッセージが届いた。

Aさんの投稿内容
「まだこれからの新人ですが、皆に楽しんでもらえるアイディアを提案したいと考えてますので、今後ともよろしくお願い致します」
「頑張ります。それ以上に、皆様の意見もお待ちしております。」

笠松競馬場 公式アカウントの投稿
「研修担当です。あなたは私の研修で何を聞いていましたか?ツイッターの個人アカウント上で公営競技に携わる公務員であることを世界に発信するリスクを、どよのうに考えているのですか?4月1日に面接を行いますので回答を準備しておいてください」
「パブリックにコメントを募りたいのならば、それに応じた手順と手続きが必須です。あなたのプライベートに対してコメントを募るのは、あなたの自由ですが、笠松競馬の業務上のことを(予定)職員である、あなたの個人アカウントをつかって意見を募るのは筋違いというものです。」(原文ママ)

笠松競馬場のアカウントで研修担当と名乗った人物は、AさんがTwitterでフォロワーから意見を募集したことをきつく注意。
さらに他の投稿内容にも言及している。

Aさんの投稿
「あと半年は仮採用なので下手なことは出来ないんですが、本採用になったら、はっちゃけたいと思ってます。」

笠松競馬場 公式アカウントの投稿
「現時点で、すでに「下手なこと」をやってしまっていることに気が付いてください。頑張る気持ちは受け入れますが、半年後に「はっちゃけ」の予告をされると、当方には警戒しかありません。4月1日に「はっちゃけ」とは何かを聞かせてくいださい。」

半年後の本採用になったら「はっちゃけたい」というAさんを「警戒」すると断言。
研修担当を名乗る者が、Twitterという誰でも見られる場所で仮採用の職員を「公開説教」するという事態に、他のTwitterユーザーからは賛否両論が飛び出した。

【笠松競馬場を批判する意見】
・こいつマジで何様なんだ?言いたい事は分かるが公開パワハラして何が楽しいの?これこそTwitterで発言する事じゃないでしょ。明らかに笠松のイメージダウンです。
・ツイッターの公式アカウント上で直接部下を叱責することを世界に発信するリスクを、どのように考えているのですか?
・研修担当が1番リスクを理解してない例を身をもってあげてくれているんですね 分かります
・Twitter上でこんな公開処刑してる採用担当者が偉そうに言えるんですかね、こんなのはパワハラで見ていて非常に不愉快。完全に感覚ズレている。


【笠松競馬場を擁護する意見】
・忠告をしただけでパワハラになるなら、単なるやったもん勝ちの世の中になってしまいますもんね。ここは毅然とした態度で処分すべきかと思います。
・これは、笠松競馬場のツイートが全面的に正しい。競馬場の職員は公正中立じゃないと。自分が雇い主なら、即採用取り消し、解雇する。
・笠松競馬場の研修担当者のツイートが「公開パワハラ」と一部で言われているのに違和感を感じる。相互フォローしていたらDMも可能だが、発信者のこれ以上のツイートを防ぐための止むを得ない処置だと思う。

【その他】
・これはどっちもどっち。SNS研修を実施したとなると笠松競馬場の方が言い分としては正しそうだけど、適切な言い方ってものがあるよね。公開の場で伝えるような内容ではない。

Aさんを「公開説教」したアカウントは「認証済みバッジ」がなかったが、笠松競馬場を管理する岐阜県地方競馬組合に問い合わせたところ、公式アカウントとして運営していること、発信したのが研修担当者であることを認めた。
また、AさんはTwitterでハンドルネームを使っていたが、組合では職員本人であることを確認しているという。
笠松競馬場のTwitterは、他の競馬ファンへの利便性を守るため、問題の投稿も削除しないとしているが、一方のAさんは「公開説教」のあと投稿を停止し、さらにアカウントを非公開にしている。(3月28日午後確認)

この炎上騒動は何が悪かったのか?また就活中のSNSは何を気を付ければいいのか?
求職事情や研修・面接などに詳しい大手就職サイトの専門家である、ディスコ キャリタスリサーチ 上席研究員の武井房子さんと、ネオキャリア 新卒紹介事業責任者の平原和人さんに聞いてみた。

採用担当者のSNSチェックは増えている

――今どきの就活は研修などでSNSについて注意するのが普通なの?

武井:
詳細は企業によって異なりますが、内々定を告げる際に注意を促すケースはあると思います。

平原:
内定者研修などの場で注意勧告する企業は増えているように感じます。
昨今の飲食店でのアルバイト社員の問題行動のSNS配信などを受けて、各企業はよりSNSリテラシー教育の重要性を感じているようです。


――就職希望者のSNSを調べることもよくある?

武井:
採用担当者が調べることは十分あり得ます。
実際、過去の発言を選考中チェックをされて志望企業の嘘がばれて面接で突っ込まれたという話もあります。
一方、学生はSNSを就活用と普段用(友達用)とで使い分けしているケースがあります。

平原:
個人のSNSアカウントを名前検索するケースであれば、増えてきているように感じます。
Facebookなどは本名でのアカウント取得のため、名前を検索すれば、その方の繋がりを調べることが出来たり、写真素材を見ることにより、その方の生活も事前に把握することができることから、チェックしている企業はいらっしゃいます。

――今どきの就活ではSNSトラブルがよくある?

平原:
現時点では、トラブル自体はそこまで頻度高く発生はしていないかと思います。
但し、匿名で投稿ができる口コミサイトが広く普及していることもあり、学生側の「ネットに書き込む」投稿するという行為のハードルが低くなっているのは事実で、匿名がゆえに企業の誹謗中傷をしやすい状況になっているのは事実としてあります。


――新卒学生はデジタルネイティブだから、やはりネットリテラシー(使いこなす能力)は高い?

武井:
個人差もありますが、ネットを使わずに就活する学生はほぼいないので、使い慣れているケースは多いと思われます。
ただし、リテラシーはあっても、その学生のマナー意識や倫理意識が低ければ、トラブルは起きるでしょう。
学生のノリ(学生間での常識)と企業社会の意識は違うので、悪気はなく軽い気持ちで…ということでトラブルを起こすことがあるかと思います。

「注意の仕方」も企業として考えるべき

――今回のやり取りはパワハラか?

武井:
詳細が分からないため今回がハラスメントにあたるかどうかは回答を差し控えさせてください。
ただ、なぜ個人的に注意を促すのではなく敢えて他の人も見られる方法を取ったのか、また職員が注意の意図を理解したのかがポイントになると思います。

平原:
法律の専門家ではないためパワハラかどうかの判断は控えます。


――今回のやり取りで企業側(笠松競馬場)はどうすべきだった?

武井:
個人的に注意を促すのではなく、他人にも伝わる方法を取った意図を示したほうがよかったと思います。

平原:
公開状態でやり取りをするのではなく、個別のDMで指摘を行う、内定者全員へメール配信をすることで注意を促すなど、「指摘注意の仕方」を検討すべきだったと考えます。
企業側の返答で逆に炎上を招く形になってしまったので、指摘注意はすべきだが「指摘注意の仕方」も企業として考えるべきところがあるのではないでしょうか。


――就活している学生や、求職中の人がSNSで気を付けたほうがいいことは?

武井:
繰り返しになりますが、学生のノリを持ち込み過ぎないことではないかと思います。

平原:
投稿すること自体は個人の自由ですが、投稿内容によって関係者や組織がどう思うのかなど、影響範囲を把握することが重要で、それこそがSNSの利用マナーだと思います。
その発言は匿名ではなく相手と真正面に向き合って言える事なのか考えることが必要だと思います。


岐阜県地方競馬組合は、研修担当者のネットリテラシーについて「教育は受けてはおりますが、十分ではなかった」と話している。
確かに「公開説教」と言われてしまうようなやり方以外に方法はなかったのかという意見もあるが、個人のアカウントでどこまで発信していいか、それぞれがしっかり考えることは必要だ。

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