人工知能が執筆するニュース記事は1つの情報で「右寄り」「左寄り」「中立」までも書き分けていた!

あなたが読んでいる記事の筆者は誰?

カテゴリ:ワールド

  • 人工知能は変幻自在に言葉を操る?!
  • 優秀すぎて悪質な行為の危険性
  • 人間の目ではもう区別がつかない

この記事はだれが書いたの?

AI=人工知能は、もはや現代社会の中心にあるといっても過言ではない。印象に残っているのが将棋界でプロの棋士と人工知能の対戦だ。計算を得意とし、処理能力やデーターの量で上まる人工知能はプロ棋士を苦しめている。今となってはそのツールを使って練習する棋士も多いという。

しかし、人工知能は計算だけではなく、人間の論理に近づいているのもご存じだろうか?

世界では未だに人間が原稿を書くのが当たり前の時代だ。皆さんは、今読んでいる記事が人工知能によって書かれている可能性があると考えたことはあるだろうか?果たして、この記事は人工知能によって書かれたものではないと言い切れるだろうか?

人工知能だけで記事を連載するニュースサイト

実のところ、人工知能は、すでに記事を書けるレベルにまで進化を遂げている。シリコンバレーに設立されたKnowhere社は、すべての記事を人工知能で補っている。毎日50個の記事を掲載しているこの会社は、350社ほどのニュースサイトを情報源として、そこからの情報がリアルタイムで人工知能に送り込まれている。

1記事に3パターンの文章を作成

今回のニュースサイトで驚いたのは、記事の見出しや内容が、読者の視点に合わせて変えられることだ。人工知能は、ひとつの記事に対し、3パターンの文章を作成している。

一般に表示されるのは、「公平」すなわちニュートラルな視点。しかしそれ以外にも「左寄り」と「右寄り」の表示もあり、これらをクリックすると、同じ記事でも捉え方が違う内容が現れる。人工知能が、ひとつのニュースを政治的な視点を加え、読者に提供するシステムなのだ。

大手新聞社も人工知能作者に惚れた

アメリカのワシントンポストで記事を掲載している人工知能「Heliograf」

大手の報道機関も、その技術に目を向け始めていて、デジタル版を見てみると、人工知能が掲載している記事も見ることができる。その例が「Heliograf」(ヘリオグラフ)と名乗る作者だ。彼(彼女?)こそ、アメリカのワシントンポストで記事を掲載している人工知能なのだ。

政治からスポーツまで、一年でおよそ850以上の記事を掲載してきた。この人工知能は、読者に記事を届けるだけでなく、ワシントンポストの記者たちに対しては、記事を書くための情報を届ける役割まで担っているというので驚きだ。また、普段は記者がフォローしないような内容の記事も、人工知能が書く仕組みになっている。

一見、単なる目覚ましい技術の進歩であって、何の問題もないように見えるが、報道に携わっている者としては「情報の確認」こそが大きな仕事ということを忘れてはいけない。情報量を増やせば人工知能は成長し、それにそ沿って記事を書く。しかしその情報元がもし間違っていたとしたら・・・?真偽が明確でない情報が読者に渡ったら、混乱は避けられない。すなわち、人工知能がフェイクニュースを出す可能性もあるということだ。

人工知能の成長は驚異的

OPENAI公式サイト

先月、OPENAI社は、自社が開発した人工知能「GPT2」の研究成果を、発表しないことを決めた。研究者は、このデータを元に、人工知能が悪質に使用される危険性を視野に、発表を先送りし、再び研究することを決めたのだ。

例えば、他人になり替わり情報漏洩の可能性があることや、文章作成能力を活かし偽ニュースを拡大させることが大いに可能なのだ。「GPT2」は、文章を読み取ることができ、その文章に対しての質問にも答えられる代物なのだ。それだけではなく、たった一行の文を与えるだけで、その続きを作者同様の口調で書けるのだ。

OPENAI [GPT2]文章に対して、続きを作文

フェイクニュースより怖いディープフェイクって何?

アメリカの大統領選で、フェイクニュース=偽のニュースが話題を呼んだが、今はそのフェイクニュースを超える、「ディープフェイク」が存在する。

これもまた人工知能によって作られるものなのだ。ディープフェイクとは、ある人物の映像を他の人物と差し替えるものだ。携帯アプリでもよく見かける、顔認証による顔の入れ替えのようなものだが、それがニュースで流されるレベルまで達している。

昨年、元アメリカ大統領のオバマ氏が、トランプ大統領を批判した動画がその象徴だ。オバマ氏の声を真似することで有名な、俳優ジョーダン・ピール氏が動画を収録し、人工知能で画像処理した結果、ディープフェイクの存在を世界中に知らしめた。

動画の信憑性さえも疑う時代

このように、人工知能の急成長により動画の信憑性をさえも疑わなければいけない時代が、すでに始まっている。現在SNS上に投稿されているディープフェイクの動画は、見極めがつくものが多いが、今後はどうだろうか?

見たものを信じられなくなるとなると、報道機関や政府機関は、それを見抜くためのノウハウを身につけなければならないい。フェイクとディープフェイクによる情報戦の幕開けだ。

【執筆:FNNパリ支局 カメラマン 小林善】
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