デート商法を疑似体験できる“恋愛ゲーム風”動画が話題…国民生活センター「親和性が高いから」

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  • 国民生活センターが公開した動画が話題
  • 恋愛ゲーム風の展開で、選択肢を選んで「デート商法」を疑似体験できる
  • 背景には、2022年の成人年齢の引き下げ

国民生活センターが公開した動画が話題

恋愛ゲーム風の展開で「デート商法」を疑似体験できる動画を国民生活センターが3月7日に公開。
ネット上で「面白い取り組み」「クオリティが高い」などと話題になっている。

動画の主人公は、20歳の男子大学生の主人公「太郎くん」。
SNSで知り合ったばかりの女の子「ミチルちゃん」と会う約束をした。

デートを通じて仲良くなると、2人はミチルちゃんの職場に一緒に行くことになり、そこで初めて、ミチルちゃんはアクセサリーのデザインの仕事をしていることが明かされる。

そして、自分がデザインしたという「40万円のネックレス」を、太郎くんに「買ってほしい」と勧誘をし始める。

ここで提示されるのが「ミチルちゃんのためなら買う」「お金がないので断る」「いらない、ときっぱり断る」という3つの選択肢。

「キミならどうする!?!?」というメッセージが表示されて、動画は一旦、終わる。

3つの選択肢、それぞれの結末は…

この先は選択肢別に動画が用意されていて、「ミチルちゃんのためなら買う」を選んだ場合、ネックレスを購入する契約を結んだ後、お母さんに契約書を見つかって怒鳴られ、「さすがの僕も、お母さんには逆らえない……」と消費生活センターに電話させられるという結末。

「お金がないので断る」を選んだ場合は、サラ金で借金をしてネックレスを購入する契約をしてしまうものの、その後、消費者ホットライン「188」のイメージキャラクター「イヤヤン」が現れ、「188に電話してね~」と教えてくれ、助かる展開に。

「いらない、ときっぱり断る」を選んだ場合には、ミチルちゃんの先輩だという怖そうな男性が登場。
数時間の勧誘が続いた後、太郎くんが「やっぱり必要ないから、いらない」と言うと、あっけなく帰してもらえて、動画は終わる。

動画を制作した背景は「成人年齢の引き下げ」

“恋愛シミュレーションゲーム”仕立てで、選択肢によって展開が変わるというのは、ゲームに慣れ親しんだ若者にとってわかりやすい作りだと思われる。

今回、このような動画を国民生活センターが制作した背景にあるのは「成人年齢の引き下げ」
3年後の2022年、民法改正によって成人年齢が20歳から18歳へ引き下げられる。

成人になると、契約をする際に親の同意は必要なく、自分の意思で自由に契約することができるようになり、これに伴い、成人になったばかりの若者を狙う悪質な業者が現れる可能性がある。

そこで、とくに10代から20代の若者をターゲットとした悪質商法である「デート商法」をテーマに、動画を作成したのだという。

“恋愛シミュレーション風”の動画をにしたのはなぜなのか?そして、「デート商法」の被害に遭わないためにはどうしたらいいのか?
国民生活センターの担当者に聞いた。

「デート商法は恋愛ゲームと親和性が高い」

――恋愛シミュレーションゲーム風の動画にした理由は?

デート商法は「恋愛感情を利用した」悪質商法である点が、恋愛シミュレーションゲームとの親和性が高いと考えました。

恋愛シミュレーションゲームでは、複数の選択肢の中から自分がどんな行動を選ぶかによってその後の展開が異なるので、まるで自分が被害に遭っているかのように感じることができます。

一般的な恋愛ゲームでは、相手の好感度を上げたり、恋愛を成就させたりすることが目的ですが、今回のデート商法ゲームの場合は、相手の好感度を上げようとすると、被害に遭ってしまうという点がユニークなポイントだと考えています。

今回のような恋愛ゲームに限らず、シミュレーションゲームは、実際の被害を体験できるという点で消費者問題との相性がよく、他の悪質商法にも応用できると考えています。

――動画をつくるうえでこだわった点は?

消費者問題にこれまで馴染みがなかった層にも届くように、デート商法の手口を、できるだけ短く、端的に伝えることにこだわりました。

導入となる動画は30秒以内とし、最後に3つの選択肢を出すことで、続きが見たくなるようにしました。

続きの3つの動画はどれもツッコミどころのある展開になっています。自分が選んだ選択肢以外の動画もすべて見ていただければ幸いです。

また、この動画は担当者の手作りです。イラストや背景は購入したものですが、ゲームそのもののテキストや演出効果の設定、動画の編集は担当者が行いました。

デート商法に関する相談の7割は10代・20代

――デート商法は10代、20代の相談が多いというが、そういったデータはある?

2018年度に全国の消費生活センターに寄せられた、「デート商法」に関する相談件数は446件であり、そのうち約7割が10代と20代からの相談です。

また、10代・20代の件数の割合の推移をみると、2015年度は約5割だったものの、毎年度、割合は増加しており、2018年度は約7割となっています。

今後、成人年齢が引き下げられると共に、18~19歳がターゲットとされる可能性があり、相談が増えていくおそれがあるのではないかと考えています。


――10代、20代の相談が多い理由は?

一般的に、10代・20代は社会生活上の経験が少ない傾向があり、適切な判断ができずに、自分が騙されていることに気付かないことがあります。

特に20代は、社会人になって自由に使えるお金が増え、高額な商品にも手を出すことができるようになります。

さらに、恋愛経験が少ない場合には、異性に依存してしまい、「相手のために買ってあげたい」「相手に嫌われたくない」という心理が強く働いて、高額な商品を購入してしまうということも考えられます。


最後に、国民生活センターは「デート商法」について以下のようなアドバイスをしているので心に留めておいてほしい。
「販売員の好意は、商品を売るための手口であることを覚えておきましょう」
「あやしいと思ったら、すぐに契約したり、お金を借りたりしないようにしましょう」
「デート商法の被害に気付いたら、すぐに消費生活センターに相談しましょう」