民主党のホープが出馬宣言 地元テキサス州が2020年大統領選のゲームチェンジャーに

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  • トランプ氏とは真逆な“ホープ”ベト・オルーク氏
  • ヒスパニック有権者の増加が強さと人気の背景に
  • テキサス州が赤→青ならトランプ氏の再選はない

民主党のホープが出馬表明

大統領選への参戦を表明したベト・オルーク氏

トランプ大統領の再選阻止が絶対命題の民主党から、若手のホープ、ベト・オルーク氏が14日、2020年大統領選への参戦を表明した。なぜ彼はトランプ大統領を倒せるのか? 一言でいえば、共和党の牙城であり、38人の大統領選挙人が割り当てられているテキサス州を奪取する可能性をもつただ一人の民主党候補者だからだ。

総数538人の大統領選挙人を取り合う選挙戦において、共和党が勝って当然のテキサス州でオルーク氏にやられたら、トランプ大統領にとってはゲーム・オーバーだ。オルーク氏の参戦は、2020年大統領選の様相を根底からひっくり返す威力を秘めているのだ。

そのベト・オルーク氏とはどういう人物なのか。

テキサス州のメキシコ国境の都市、エルパソ出身の46歳。アイルランド系の白人だが、幼少の頃からヒスパニックの愛称である「ベト」と呼ばれてきた。母親は家具店を経営し父親は政治家で、家は裕福だった。高校はバージニア州の寄宿学校で、ニューヨーク市のコロンビア大学卒。民間企業に勤めた後、2005年にエルパソの市会議員、2012年から連邦下院議員に3選。2018年の中間選挙で上院議員選に鞍替えし、トランプ氏と共和党の大統領候補を争ったテッド・クルーズ上院議員に挑戦したが僅差で敗れ、2020年大統領選に出馬するかどうか注目されていた。

トランプ大統領と真逆の人間性

人物としてはトランプ大統領の真逆といった感じだ。

トランプ氏がdivider“分断者”であるのに対し、オルーク氏はuniter“統合者”を前面に出す。トランプ氏は人の話を聞かないがオルーク氏は対話が大好き。トランプ氏は一方的な“空中戦”を得意とするが、オルーク氏は地道に“どぶ板選挙”にこだわる。トランプ氏が反移民なのに対し、オルーク氏は移民歓迎で、2020年大統領選では大きな争点になる。そして26歳の年齢差も意識されるだろう。

では、オルーク氏のテキサス州での強さを、最近の民主党×共和党の得票率でおさらいしてみる。
2012年大統領選 オバマ41.4% ロムニー57.2%
2014年中間選挙 民主党34.4% 共和党61.6%
2016年大統領選 ヒラリー43.2% トランプ52.2%
2018年中間選挙 オルーク48.3%(4,045,632票) クルーズ50.9%(4,260,553票)

2018年中間選挙でテキサス州共和党とクルーズ氏は「このままだと負ける」と怖れ、宿敵であるトランプ大統領に選挙応援を頼みこんだ。そこまでオルーク氏に追い込まれた訳だ。結果的に2.6ポイント差(21万4921票差)でオルーク氏は負けたのだが、同じ日に行われたテキサス州知事選では共和党現職が110万票余りの差をつけたのに比べ、オルーク氏の肉薄ぶりがわかる。

テキサス州は赤から青に変わればトランプの再選なし

個人的強さだけではない。この背景には、テキサス州でヒスパニック人口が着実に増加中であること。ヒスパニックの有権者は共和党よりはるかに民主党を好むという投票性向があることが効いている。

ヒスパニック人口の増加と投票性向が続くと仮定した場合、テキサス州は2024年には赤(共和党勝利州)から青(民主党勝利州)に替わると言われるが、オルーク候補はヒスパニック層や若者の投票率の底上げなどによって、民主党の勝利を4年前倒しできる可能性が考えられるのだ。

テキサス州の大統領選挙人は38人。これを2016年大統領選でのトランプ氏の獲得人数306から引き算すると268人。敗北したヒラリー・クリントン氏の232人に加えると270人で、勝敗は逆転する(過半数は269人。誓約違反投票があったので最終集計の数字とは異なる)。38人という選挙人の数は、トランプ氏が僅差で制したことで大統領に当選したとされるペンシルベニア州(選挙人20)、ミシガン州(16人)とウィスコンシン州(10人)の3州の合計に比肩できる(ちょっと強引?)。それだけ大きな重みを持っている重要州なのだ。

しかし、現在のトランプ大統領のゲーム・プランにはテキサス州が民主党に奪われる事態は含まれていないと思われる。となると、オルーク氏が民主党の大統領候補として登場してきたら、トランプ氏は選挙戦略の練り直しを迫られることになる。

オルーク氏の大統領選参戦はそれだけのインパクトと画期的意味がある。もう民主党の候補者争いから目が離せない。

【執筆:フジテレビ 解説委員 風間晋】
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