「Yahoo!ジオシティーズ」が3月末で終了...サイト移行は可能? 担当者「まだ間に合います」

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  • ウェブサイト作成サービス「Yahoo!ジオシティーズ」が約20年の歴史に幕
  • 「思い出が消える」悲しみの一方で“黒歴史”がよみがえるユーザーも
  • 担当者「サイトの構成データなら、2020年3月末までダウンロードできます」

“ネット黎明期”に愛用されたサービス

ニュースからブログまで、さまざまな情報が飛び交うインターネット。この歴史を語る上で欠かせないサービスが役目を終えようとしている。
ヤフー株式会社が運営するウェブサイト作成サービス「Yahoo!ジオシティーズ」(以下:ジオシティーズ)が3月末で終了するのだ。

2018年10月に特設ページで告知されてから、ネットユーザーの話題となってきたが、終了が間近となり、その功績に注目が集まっている。

2000年当時のジオシティーズ

このサービスは1994年に米国で誕生。1997年に日本法人が設立され、2000年からは「Yahoo!ジオシティーズ」として運営されてきた。
会員なら誰でも利用でき、プログラミング言語などの知識がなくても簡単にサイトを開設できる手軽さが受け、爆発的に流行した。

今では考えられないが、“ネット黎明期”と言える1990年代中盤~2000年代前半は、ネットを利用すること自体に気後れする人も多い時代だった。
しかし、ジオシティーズの登場でこの状況も一変。ヤフーによると、2018年10月時点の登録ユーザー数はなんと約400万IDにのぼるという。

ジオシティーズの特徴だったコミュニティ(左)と番地(右)

ジオシティーズがそれまでの類似サービスよりも、人々に親しまれたのは、ネットに不慣れな方でも楽しめる環境が整っていたことだろう。
各サイトには「コミュニティ」と呼ばれるカテゴリ名と番地が割り振られ(2005年に廃止)、リンクをたどればどんなページにもアクセスできる。
自分のサイトと近い番地のサイトが“ご近所さん”になるなど、仮想都市のような独特の雰囲気も面白味があった。

誰もが「自分のサイト」で趣味や日々の出来事を発信するようになると、「キリ番」「隠しリンク」などのネットカルチャーも流行。
サイトに音楽を流したり、マウスの動きを追いかける「マウスストーカー」などを仕込んだ方もいるのではないだろうか。


ネットの普及や独自文化の発展に大きな影響を与えた、ジオシティーズの終了。
ユーザーからは悲しみの声が相次いでいるが、それと同時に意外な意見も出ている。

封印した“黒歴史”がよみがえるユーザーも

ジオシティーズの規約では「3カ月更新がないサイトは削除」とあるが、実際はこの期間を過ぎても削除されないことがほとんどだった。
そのため、終了告知がきっかけで過去に作成したサイトと再会し、消したい“黒歴史”がよみがえる人が続出。ネットでは「高校時代の黒歴史ブログが出てきて頭を抱えている」「ジオシティーズ消えないでほしい(私の黒歴史は消してほしい)」など、昔を思い出して悶える方が相次いだのだ。

もちろん「黒歴史だとしても自分のものが無くなるのは少し寂しい」「誰も見ることはないが、消え失せてしまうのも悲しいものがある」と落胆する人も数多くみられていることから、上記の“黒歴史”発言も、ジオシティーズに対する愛があってこそのものだろう。

運営側にはお見通しだったようだ

運営側もこの状況をご存じのようで、終了告知の特設ページには「『昔作成したホームページがジオシティーズに残っている、黒歴史だから早く消えて』というつぶやきも見かけます」「規約にのっとり削除することも可能でしたが、誰かが必要としているかもしれないページを削除するのは忍びなく、できるだけ残す方針を続けてきました」との思いが綴られている。


なおこの特設ページには、ちょっとした小ネタが。
こちらのブラックホールのような画像をクリックすると....

実際はぐるぐる渦巻いてます
ページのレイアウトが“ネット黎明期”仕様に!

なんと、レイアウトが“ネット黎明期”仕様のタッチに変わるのだ。そして、変化はこれだけではない。
ページには「すみません!アクセスカウンター不調で動いていません......T_T」とあるが、その上部にあるカウンターの数字に注目してほしい。

「347620410012」

おわかりだろうか?
これを語呂合わせで読むと、「さよならジオシティーズ」という言葉が浮かび上がるのだ。

ネットの変遷に直面してきた世代にとっては、心を揺さぶられる演出だろう。


多くの方にネットの仕組みと楽しさを教えてくれた、ジオシティーズ。約20年にわたり愛されたサービスを終了するのはなぜだろう。
数えきれないほど開設された「自分のサイト」たちはどうなってしまうのだろうか。ヤフーの担当者にお話を伺った。

「十分な検討を重ねた上での決断でした」

――ジオシティーズの終了を決めたのはなぜ?

詳細な説明は難しいですが、ジオシティーズも開始から20年が経ち、システムを維持するためには大幅な改修が必要となりました。
これを機に、弊社のサービス展開を含めて検討したところ、総合的な判断で「これ以上の継続は難しい」との結論に至りました。
多くのユーザーに利用されたサービスのため、十分な検討を重ねた上での決断でした。


――ジオシティーズはネットにどんな影響を与えた?

今では当たり前ですが、一般ユーザーが情報発信できるネットサービスは、昔はめずらしい存在でした。
そういう意味において、ジオシティーズは「自由な情報発信」の先駆け的な役割となったのではないでしょうか。
弊社においても、「Yahoo!ブログ」や「Yahoo!知恵袋」などのUGC(ユーザーが生成するコンテンツ)サービスにつながっています。


――長期間更新しなくても、サイトが削除されなかった理由は?

終了告知の特設ページを見た方は分かるかもしれませんが、規約の削除基準と実際の対応は異なっていました。
皆さんが作られたサイトをより多くの方に見ていただき、楽しんでもらおうと、できるだけ残す方針を続けてまいりました。


――特設ページに“ネット黎明期”のネタを仕込んだのはなぜ?

スタッフ一同から感謝の気持ちを届けようと、盛り込ませていただきました。


――サービス終了に「寂しい」という声もあるが?

継続できないことは心苦しく存じますが、そのような声を想定した上で、今回の判断とさせていただきました。


長年放置したサイトが削除されなかったのは、やはり運営側の優しさだったようだ。
では、そこまでして守ってくれたサイトの消失を避けるためには、どうすれば良いのだろうか。そして、残り1週間しかないが今からでも間に合うのだろうか?

2020年3月末まではデータでダウンロード可能

サービス終了のスケジュール

――サイトを消したくない場合はどうすれば良い?

ジオシティーズは3月末で機能のほとんどが利用できなくなるため、他のウェブサイト作成サービスへの移行が必要となります。

移行の大まかな流れは、
1.移行先のサーバーと契約
2.ファイル転送方式の「FTP(File Transfer Protocol)」を使い、ジオシティーズにあるサイトの構成データをダウンロード
3.そのデータを移行先のサーバーにアップロード、となります。
2019年3月末までに転送設定を申し込めば、2019年9月末までは転送先に設定したサイトまで転送するサービスもあります。

サイトの構成データ自体は、2020年3月末まではダウンロードが可能です。
このデータがあれば、後からでもサイトを移行することができるため、必要に応じてのダウンロードを勧めています。


――移行する際の注意点は?

ジオシティーズは2005年ごろにサービスの一部が生まれ変わっています。
これに伴い、2005年より前に開設され、現在のジオシティーズに移行されていない「旧ジオシティーズ」はFTPが利用できない状況です。
移行する場合、ブラウザの設定などから、HTMLなどのウェブファイルを各ページごとに取得して、移行先にアップロードする必要があります。

旧ジオシティーズに該当するかどうかは、サイトのURLにコミュニティ名や番地があるかどうかなどで判断できます。
URLに「SiliconValley」などのコミュニティ名や番地の数字が含まれたり、末尾が「co.jp」であれば、旧ジオシティーズとなります。

このほか、レンタルサーバーの容量やサポート体制などは、業者ごとに異なります。
契約した容量より、サイトの容量が大きくなってしまうケースも考えられるので、事前に確認することをお勧めします。
終了告知の特設ページでは、移行方法やお勧めのレンタルサーバーも紹介しているので、ご一読いただければ幸いです。

特設ページでは、サービス終了に関連する「よくある質問」も掲載されている

代替サービスの展開予定はなし

――ウェブサイト作成サービスは今後どうなる?

ジオシティーズの終了に伴い、弊社が新たなウェブサイト作成サービスを展開する予定は、現時点ではありません。
これまではオンラインサービスが生業の中心でしたが、今後は実店舗などオフラインで利用できるサービスも展開していく予定です。


――ジオシティーズのユーザーに伝えたいことはある?

ジオシティーズを通じて、たくさんのコンテンツを作成いただいたこと、また多くの方に見ていただいたことに感謝申し上げます。
今後もユーザーの「生活」を驚くほど「便利」にするサービスを提供していきますので、宜しくお願い致します。
まだ移行されていない方は、手続きを進めていただければと願います。

ジオティーズを彩ったアクセスカウンターや機能

取材を機会に、ジオシティーズ上のサイトを巡ると、趣味や研究について事細かに記された“情報資産”とも呼べるサイトも数多く見つけた。
時代の流れとは言え、このような情報がこのままネットの海に消えてしまうのは忍びない気持ちもある。

サイトを開設した心当たりがある方は、まだ間に合うということなので、古き良き思い出や“黒歴史”の確認がてら、移行やダウンロードの手続きをしてみてはいかがだろうか。