『ドライブイン』相次ぐ閉店も…“レトロ感”と“いかにも感”でファン拡大【長野発】

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  • なぜ?ドライブイン根強い人気のワケ
  • リフォームでレトロ感残しつつ現代風に
  • 様々な挑戦の結果…客足V字回復

根強い人気の「ドライブイン」…その秘密は?

車を運転するドライバーなどのオアシス「ドライブイン」。高速道路開通の影響などでその数は減っているが、今も根強い人気を誇るドライブインがあるという。その人気の秘密を探った。

長野県の木曽路を走る国道19号線。その沿線、塩尻市贄川地区にその店はある。ドライブインSS本店はレトロな外観で昭和を感じさせる佇まいだ。

名古屋から来た客:
おいしい。ここは常連さんが多い。トラックの運転手さんが寄るところっておいしい。

長野と名古屋を結ぶ国道19号線は、大型トラックが絶えず往来し、店はその運転手たちのオアシスとなってきた。

新潟から来たトラック運転手:
ほぼ毎日来ます。値段が安いのとおいしさ。

熊本から来たトラック運転手:
ご飯とあたたかい味噌汁が食べられるのが一番。

ドライブインSS本店・佐藤秀美さん:
朝夕はトラックの運転手が多くて、昼はサラリーマン、通りの方、土日は家族連れが利用してくれて。

ドライブインSS本店の佐藤秀美さん

こう話すのは、店を切り盛りする3代目の妻・佐藤秀美さん(66)。
佐藤さんが運転手の要望に応えているうちにメニューは増え、今は100種類以上に。特に人気なのは『さばの煮付け』。醤油ベースで、しっかり味がしみ込むよう二度煮込んでいるという。

人気の「さばの煮付け」

ドライブインSS本店がオープンしたのは1964年、高度経済成長の真っ只中だった。
当時は、いわゆる「モータリゼーション」、車が広く普及した時代で、幹線道路沿いでは「ドライブイン」の看板を掲げる店が次々とできた。かつてこの国道沿いにも何軒か「ドライブイン」があったという。しかし…

長野高専(都市交通)・柳沢吉保教授:
コンビニは多様なニーズに取り組んでいける。道の駅は地域振興の役割をもっていて、バックアップ体制が整っている。個人のドライブインはなかなか、顧客のニーズに合わせて提供するサービズを変えていくのは難しい。

専門家は「高速道路の開通」に加え、「コンビニの台頭」や「『道の駅』の整備」を背景に、ドライブインは続々と姿を消していったと指摘する。

押し寄せる時代の変化…。ドライブインSS本店も客が減少し閉店を考えた時期があったという。踏みとどまったのは常連客の「ある一言」があったからだった。

閉店思いとどまったのは常連客の「ある一言」

佐藤秀美さん:
トラックの運転手さんが、「おばちゃんやめないでくれよ」って言うんですよ。がんばると言ってみたけど、私ではなくて店だと。そういう客の思いが本当ににありがたい。

オープンから半世紀以上。ドライバーだけでなく、多くの地元住民からも支持されているドライブインSS本店は“いかにもドライブイン”という趣を残している。

佐藤秀美さん:
これからの時代がどんな風にかわっていくか、今めまぐるしいじゃないですか。今の時代にそぐわないからって簡単に捨ててしまうことはしたくない。一日でも長くお客さんに愛される店を続けていければ理想かなと思う。

リフォームでレトロ感残しつつ現代風に

一方、旧・国道292号線の湯田中温泉や渋温泉に向かう途中にあるのが関英ドライブイン。昼すぎ、駐車場はいっぱいに。多い日は300人以上の客が訪れるそう。

神戸から来た客:
おいしいですよ。

地元客:
小学校のときからずっと食べているので、少年野球の帰りは関英ドライブイン。

創業は、今から52年前の1967年。その後、1980年代にはスキーブームが到来し、立地の良さから冬場はひっきりなしに客が訪れたという。

創業当時の関英ドライブイン

しかし、ブームが去ると一気に下火に…。さらに、目の前に「オリンピック道路」が開通すると旧国道の交通量は一段と減り、追い討ちとなった。

関英ドライブイン・関美恵子さん(57):
どんどん暇になっていったので、わたしたちができなくなったら、やめようかなというのはあった。

「暇になっていった」と語る関美恵子さん

当時、店主だった夫は、病気がちで、妻・美恵子さんに大きな負担がのしかかっていた。そこで、5年前、少しでも負担を減らそうと長男の真二さんが東京から戻ってきた。しかしその5カ月後、夫が他界。そのまま真二さんが跡を継いだのだという。

長男の関真二さん

長男・関真二さん(30):
継ぐつもりはなかったんですけど。おじいちゃんがはじめて50年ぐらい、それで母がなんとかやっていて。(店を)無くすのは簡単だけど、ちょっとやるのも悪くないなという感じ。

真二さんがまず手がけたのは、内装のリフォーム。
寿司コーナーだった場所を客からも見える厨房に。

寿司コーナー(左)から客から見える厨房(右)に変更

さらに全面ガラス張りだったのを壁に変更。

全面ガラス(左)から壁(右)に変更

レトロな感じは残しつつ、現代風にアレンジした。

“レトロ”残しつつ“現代風”な店内

看板メニューは「豚のモツ煮定食」だ。

看板メニューの「豚のモツ煮定食」

地元客:
おいしい、やわらかくて。

みそベースの味つけで、弱火で3時間ほどじっくり煮込むんだそう。
美恵子さんが昔ながらの味を守る一方、真二さんは「スープカレー」をメニューに加えた。「日替わり定食」の一つだ。

「日替わり定食」の一つ「スープカレー」

長男・関真二さん:
(自分が)こういうのを食べたいなと思って、どうせ作るんだったら、手間がかかるから、お客さんの分も。日替わりとかで出すと喜ぶかなと。

様々な挑戦の結果…客足V字回復

さまざまな挑戦の結果、客足はここ数年でV字回復。特に昔、店によく来ていた地元の人々が再び足を運ぶようになったという。

大阪からの帰省客:
(店主と)楽しい話をしながら食べさせてもらえるんで、アットホームな感じでいい。

地元客:
息子(真二さん)も入ってがんばっているので、同じ世代で応援したいなという気持ち。

長男・関真二さん:
ドライブインとして存続していくことが、すごい価値になっているんじゃないかなと思う。こういう店って作れないじゃないですか、歴史があって。今までどおり、来るお客さんを大事にして、できるかぎりやっていきたいと思う。

ドライバーや住民に愛されて半世紀。ドライブインの名店はこれからも変わらぬ味とサービスで客を迎え続ける。

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