「“破滅シナリオ”は40%」未来学者が315のテックトレンドを無料公開

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)2019 特集

カテゴリ:ワールド

  • エイミー・ウェブが毎年恒例のレポートを公開
  • 「プライバシーは死んだ」
  • SXSW2019で見つけた未来をレポート

2019年3月7日〜17日の期間、米テキサス州オースティンで開催されるテクノロジー、映画、音楽の祭典、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)2019。

世界屈指の大規模フェスティバルSXSWの特徴は、参加者が「未来」を探しに来ていること。

2019年のSXSWで見つけた未来の種をリポートしたい。

315のテーマで最先端テクノロジーを紹介

Amy Webb(エイミー・ウェブ)

ニューヨーク大学ビジネススクール教授のAmy Webb(エイミー・ウェブ)はSXSW2019の基調講演に登壇し、毎年恒例で、今年12回目となる「Tech Trends Report 2019」を公開。

Tech Trends Report(Future Today Institute)

リポートは上記リンクから無料でダウンロード可能。内容はAIやIoTなど315のテーマに分かれ、それぞれの未来を予測する。

「プライバシーは死んだ」

エイミーはスピーチで今年のレポートを概観。その中でも特に個人情報(プライバシー)の未来について強調した。

「プライバシーは死んだ」というメッセージの後、最新テクノロジーが我々の行動をどこまでも監視する事例について、皮肉をこめて紹介。

例えばウォルマート向けに研究開発中の「コネクティング・ショッピングカート」。ユーザーの行動、体温、心拍数などをサーバーで監視し続け、「シリアルが見つからなくてイライラしている」ことが検知されると、システムが「○○フロアの○○レーンに発狂寸前のユーザーがいます」とアラートを上げ、店員が突然目の前に現れるようになる。

connected grocery cart(Amy Webb | SXSW 2019)

エイミーは10年後の2029年に、個人情報が安全に管理される“楽観シナリオ”の発生確率は10%、“現状維持”が50%、個人情報はもはやユーザーには管理できず、一部のお金持ちだけが匿名性を保ち、国によっては国民すべてを監視するという“破滅的なシナリオ”が40%とした。

Probabilistic Model(Amy Webb | SXSW 2019)

そして「まだ未来は現実になっていないから、ここにいる皆の力で良いシナリオを実現しよう」と鼓舞するような形でスピーチをしめくくり、一気呵成に大量のインプットを受けたセッションの参加者は、ややどよめきながら会場を後にした。

SXSW公式YouTubeチャンネルでアーカイブ動画を視聴可能

動画配信の未来は?

ドリームワークスの創業者で、昨年、新たな動画配信プラットフォーム「Quibi」の構想を発表したJeffrey Katzenberg(ジェフェリー・カッツエンバーグ)は、モバイル向け動画の未来を語る。

Jeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)

Quibiは"quick bites"を略して作られた言葉で、モバイル視聴を前提に、一口サイズのショート動画に特化する。2020年4月開始予定。

カッツェンバーグは「検索を“グーグルする”と言うように、“Quibi(キビ)”が「ショート動画」を意味する事になるだろう」と話し、フェイスブックをテーマにした映画「ソーシャル・ネットワーク」があったように、スナップチャットのエヴァン・シュピーゲルをテーマにしたオリジナル作品を製作中であることを明かした。

モバイル視聴に最適化された10分程度の動画コンテンツとは、具体的にはどのような内容なのか? 今後ローンチまでに明らかになるようだ。

VR制作はピクセルからボクセルへ

Virtual Cinema (Intel Studio ブース)

VR制作では3次元空間のキャプチャー技術が肝となる。

2次元画像の構成単位である「ピクセル(Pixel)」に対し、3次元の「容量(Volume)」をかけ合わせた新たなコンセプト「ボクセル(Voxel)」。

SXSW会場のVR26作品が一挙に集結するコーナー「Virtual Cinema」で、今後ボクセルを推進したいインテル社もブースを構え最新作を展示する。

RUNNIN'(Intel Studio)

「RUNNIN'」は、ミュージシャンReggie WattsとIntel Stuidoがタッグを組んで制作したVR作品。

クラブの中を自由に動き回りながらダンスを楽しんでいると、後半からReggie Wattsによるショータイムの演出が始まる。

VRといえば、現実と見間違うほどのリアル映像で没入感を得られるのかと思いきや、この作品では人の体が四角いキューブのような単位で構成されている。おおげさに言えば「マインクラフト」のようなイメージに近い。

それでは没入感が無いのかと言うとむしろ逆で、現実70%、デジタルなファンタジーが30%といった割合が、エンターテインメント感を高め、気持ちを高揚させる。「映像」を見ているのか「ゲーム」をしているのか、その中間の体験だった。

“未来を探す”SXSW特集

“未来を探す”SXSW特集。第一回は全体的なトレンド、動画、VRのトピックから見つけた未来をご紹介。

引き続き今年話題となった、トランスポーテーション、ブロックチェーン、Web3.0、大麻ビジネスといったテーマや、新サービスの展示会「Trade Show」、日本館「The New Japan Islands」の詳細などをレポートしたい。

SXSW2019特集

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