「シロい粉なら小麦粉の方がいいよ!」香川県らしい“薬物禁止ポスター”が話題...制作意図を聞いた

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  • 香川県の薬物禁止ポスターが「うどん一色」と話題
  • 「すてきなコシ」の標語に、ネットは「うどん“キメてる”」とツッコミ
  • 担当者「うどんなら香川県の若年層にも響くと考えた」

12日夜、ミュージシャンで俳優のピエール瀧、本名 瀧正則容疑者が、コカインを使用した疑いで厚労省麻薬取締部に逮捕された。
テクノバンド「電気グルーヴ」として活躍し、近年では多くの映画・ドラマにも出演していた人気者のスキャンダルは、大きな衝撃を与えている。

関係団体は薬物の恐怖をさまざまな方法で周知しているものの、今回の事件に限らず、薬物で人生を狂わせる人は後を絶たない。
こうした中、薬物禁止を呼びかけたある自治体のポスターが、奇しくもこのタイミングで、ネットの話題をさらっている。

薬物禁止ポスターのはずが...?

それが、香川県・香川県薬物乱用対策推進本部の薬物禁止キャンペーン「うどん県流薬物断り技コンテスト」の一環として、制作されたポスター。

薬物を断る際に「きっぱり断る」「危険性を伝える」「その場から逃げる」「興味がないと示す」ことの重要さを周知するもので、2月末に公開され、JR四国や「ことでん」こと高松琴平電気鉄道の駅、香川県内の高校などに貼りだされている。

注目すべきは、断り方の心掛けを標語形式で呼びかける、その内容。
イメージキャラクターの少年「うどんくん」が「す・て・き・な・コ・シ」の頭文字に合わせ、少々エキセントリックな発言をしているのだ。

いろいろとすごい

す「すいたくなったらうどんを吸うよ」
て「てに取るものはしっかり選ぼう。天ぷらみたいにね」
き「きめるのは、うどん!」
な「なかよくうどんを食べましょう!」
コ「コレを食べたら帰ってくれ。」
シ「シろい粉なら小麦粉の方がいいよ」

…いかがだろうか。
実はこの標語、1月ごろからTwitterなどで募集を呼びかけ、一般の方から寄せられた投稿から選んだもの。
薬物禁止ポスターでありながら、うどんの魅力をアピールしているように見えるためか、ネットユーザーの間では「もう既にキマってるでしょこれ」「ここまで来たらうどんの方が薬物に近い」といった感想で持ち切り。「て」のイラストに「これ他人の海老天横取りしてるでしょ」などと突っ込む猛者も現れた。

確かに言われてみれば...

インパクト大の薬物禁止を訴える標語に注目が集まりがちだが、ポスターにはしっかりと「1回の使用でも罪に問われること」「女性の使用者も多いこと」「無意識のうちに誰かを傷つける可能性」といった、薬物の危険性も盛り込まれている。

うどん生産量、うどん・そば消費量ともに全国一を誇る「うどん県」こと香川県ならではだが、薬物禁止キャンペーンに登場させるとは斬新な試みだ。
なぜこのようなポスターを制作したのだろうか?企画に携わった、香川県・健康福祉部薬務感染症対策課の担当者に話を伺った。

担当者「うどんなら若年層にも強く響く」

――今回のポスターを制作した理由は?

香川県では毎年2月を「薬物乱用防止広報強化月間」と定めており、薬物乱用の根絶を図るため、各種広報啓発活動を行っています。
今回はSNSを利用して、若年層を対象とした啓発に取り組もうと、「うどん県流薬物断り技コンテスト」の開催とポスター制作に取り組みました。


――うどんを題材にしたのはなぜ?

香川県民にとって、うどんは身近な存在です。
うどんをテーマに薬物を断るフレーズを考えてもらえば、香川県の若年層にも強く響くのではないかと思いました。


――ゆるめのイラスト、攻めた内容としたのはなぜ?

イラストについては、シュールでブラックジョーク的なおもしろさを演出し、若年層に気軽に応募してもらおうとゆるくしました。
本コンテストは香川県がプロポーザル方式で選定した事業であるため、イラストはそちらで採用した会社の若手デザイナーが描いたものと聞いています。

内容を攻めたのは、興味を引くためには、若年層に好まれるような「ツッコミどころ」のある企画が必要だと考えたからです。


――標語はどのような基準で選んだ?

見る人の興味を引くことができ、なおかつ「自分ならどう薬物を断るか」を考えるきっかけとなれるようなものを選びました。

他にもユニークな投稿が続々

――コンテストには、標語となった他にどんな応募が寄せられた?

Twitter への投稿、郵送、FAX で計115件の応募をいただきました。
このうち、ユニークな応募の一部を紹介します。

す「吸えないです。うどんしか。」
て「てをつけるのは、この天ぷらにしておくよ。」
て「天ぷらはうどんにのせても、薬物の話にはのらない。」
き「きゃー、薬だ うどん屋に逃げろ」
き「きみが明日を生きる活力はうどんだよ。」
な「なが生きしたいから、うどん吸うよ。」
な「なんでそんなことするの?足で踏んでやる」
コ「コカインより『コシがイイん』が1番だよ。」
コ「このうどん切るので今忙しいんだ」
シ「白い粉は小麦粉だけでいいよ」
シ「シアワセになれる粉なら、もう持ってるよ。」


――薬物を断るためには、どのような考え方、行動が必要?

薬物乱用の恐ろしさを知り、薬物に対する正しい知識を身に着けることが重要です。誘われても「ダメ。ゼッタイ。」と断る強い意志を持ってください。
もしも断るのが難しい場合は、即座にその場から立ち去り、関わらないようにすることも大切です。

こちらもシュールな「ことわりばし」

このほか、キャンペーンでは「(うどんを)すってるので薬は吸えないです」と描かれたカバーが特徴的な箸「ことわりばし」も制作されている。
こちらについては、うどんなどを食べる時に役立ててもらおうと、香川県内の高校や大学の食堂に配布するという。

今回のコンテストやポスターはユニークな試みだったが、実際の薬物は一度使用すると簡単には抜け出せず、笑いごとでは済まされない。
薬物の怖さを正面から訴え続けることも大事だが、こうしたアプローチで違った層に響くことで、少しでも薬物にハマってしまう人が減ることを願いたい。