米中貿易戦争の鍵は“ジャバンカ”!?

アメリカ外交に大きな影響を及ぼすトランプ大統領の娘夫婦の存在

  • ホワイトハウスで存在感が強まる娘夫婦“ジャバンカ” 
  • 対中強硬派と協調派の攻防
  • 対中強硬派が恐れる“ジャバンカ”の動き

ホワイトハウスで存在感が強まる娘夫婦“ジャバンカ”

トランプ大統領の長女イバンカ・トランプ大統領補佐官(37歳)とその夫、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問(38歳)。結婚10年になる夫婦の名前を合わせて、アメリカメディアは「ジャバンカ」と呼び、トランプ大統領に直接的な影響力を持つ存在としてその動向を注目している。

CNNテレビは6日、トランプ大統領がイバンカ夫婦に機密情報へのアクセス資格を与えるよう、ケリー元大統領補佐官に圧力をかけていたと報じた。ケリー氏はすでに去年12月に政権を去っている。アメリカメディアは、機密情報へのアクセスができるようになれば、外交問題に益々口を出すのではないかと報じている。

トランプ大統領はフロリダのパームビーチにある自らの別荘に習近平国家主席を招待してトップ会談を行い「決着をつける」と息巻いているが、この、米中貿易交渉の行方にジャバンカが少なからず影響を与える可能性があるのだ。 

ホワイトハウスの対中強硬派と協調派

2月22日ホワイトハウスで劉鶴副首相と面会するトランプ大統領

トランプ大統領は、先月22日ワシントンを訪れた中国の劉鶴副首相と面会し、習主席と3月にも会談し早期合意への意欲を強調した。一方で、中国による知的財産権の侵害対策など構造的な解決にこだわるアメリカのライトハイザー通商代表との「温度差」も浮き彫りとなった。

ライトハイザー氏が知的財産権の保護や、技術移転の強要などの構造問題で「覚書」を中国側と交わし、解決に向け積み重ねていく作業に着手している。しかし中国との最終合意を急ぐトランプ大統領は、こうした過程がまどろっこしく感じたのか、イライラを爆発させた。

「覚書は気に入らない」「合意するかしないかのどっちかだ」と発言し、劉副首相との面会に同席したライトハイザー代表に早期決着をせかした。ライトハイザー代表は「覚書という言葉はもう使いません!」と手を大きく振って慌てて撤回する一幕があった。

それと対照的だったのがその場に臨席していた、クシュナー氏だ。寛いだ雰囲気で足を組んで微笑みを讃えていた。対中強硬派のライトハイザー通商代表や、ナバロ大統領補佐官と比較して中国とは調整役的な役割を果たしているといわれる。

対中強硬派が恐れる“ジャバンカ”の動き

「メッセージを読み上げていいですか?」
劉鶴副首相はトランプ大統領との面会で報道陣を前に用意していた習主席の手紙を通訳官に読み上げさせた。その中では、「問題解決のためにトランプ大統領と協力していきたい」との習主席のメッセージとともにトランプ大統領の孫アラベラちゃん(7歳)から受け取った春節のお祝い動画メッセージへの感謝の言葉が述べられていた。

【写真】イバンカ氏の三人の子供たち。アラベラちゃんは長女(右端)イバンカ氏のツイッターより

アラベラちゃんは、イバンカ氏とクシュナー氏の長女だ。2017年にトランプ大統領が初めて中国に公式訪問した際、流ちょうな中国語で歌を歌う動画が公開され友好モードを醸成するのに一役買ったが、今回新たに中国語のメッセージ動画を送っていたことが思いがけず、明らかにされた。

トランプ大統領は自慢の孫の話に顔をほころばせ、「追って報道陣の皆さんに配る」と報道陣に約束したのだった。

アメリカメディアでは、クシュナー氏の家族の事業が中国に依存していると報じるなど中国との「距離感」が問題視されている。対中強硬派は中国が国家ぐるみで技術移転をアメリカ企業に強制しているとして体制の変化に踏み込んだ改革を求めているが、ジャバンカの進言で、中途半端な決着がつけられるのではないかと心配する声が上がっている。 

フジテレビは、トランプ大統領が約束したアラベラちゃんによる中国語のメッセージ動画の共有をホワイトハウス側に要請したが、いまだに返事がない。

ジャバンカの中国との近すぎる関係をクローズアップされることを警戒しての対応なのか?

【執筆:FNNワシントン支局長 ダッチャー藤田水美】
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【サムネイル画像:イバンカ氏の公式ツイッターより】

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