「築地は守る豊洲は生かす」は変わったのか?番記者が読み解く小池知事の“胸の内”

カテゴリ:国内

  • 築地市場の跡地再開発の方針が「変わった」「変わってない」で小池知事と都議会が平行線
  • 確かに“わかりにくい”小池知事の説明を、担当記者が読み解いてみる
  • 次の闘いは、きょう12日から行われる都議会 予算特別委員会

小池知事が3月4日の東京都議会の経済港湾委員会で、豊洲市場への移転後の築地市場跡地の再開発について都議会自民党と激論交わしてから、小池知事をめぐるニュースが増えた。
今回の都議会自民党は、質問の前に豊洲市場に行って直接一般の人たちにアンケートをとるなど“力の入った”質問だった。

都議会自民党が行ったアンケート

都議会自民党 山崎一輝都議 「言い訳はありますか」
小池知事 「言い訳はありません」
普段の都議会の委員会ではなかなか見うけられない、このようなやりとりも印象的だった。

しかし、激論を重ねても、小池知事の方針が「変わった」という都議会自民党や共産党と「変わっていない」という小池知事の主張は平行線のままだった。

都議会自民党 山崎一輝都議

小池知事の「変わっていない」を読み解いてみる

なぜ小池知事は築地再開発の方針について「変わっていない」と言うのか ?
そもそも小池知事は都知事選の時は築地から豊洲への移転について「いったん立ち止まって考える」と言っていた。
そして、この都知事選で劇的な勝利をおさめた次の年、2017年6月に小池知事は記者会見を開き、築地再開発の基本方針について「築地は守る豊洲は生かす」と発表した。

知事がこの発言をした瞬間、記者会見場は空気が止まったようになった。
「意味が分からない」「禅問答か?」と会見場では、そうつぶやく記者もいた。

しかし、そんな疑問は、都議会議員選挙での熱気でふっとんでいた。
知事選直後に行われた、都議会議員選挙も小池都知事のシンボルカラーの緑色の服を着て、緑色のものを持って取り囲む人たちが盛り上がっていた。

この時に他社の新聞記者が言った言葉が思いだされる

「こんなに“ふわっ”とした話だからこそ受けるのかな?」
「“ふわっ”っとしてるから、皆それぞれ自分の好きに捉えることができるんだろうね」
「これも小池マジックかなあ?」

この時に私が思ったのは「こんなにふわっと漠然としているものを「方針」という言い方ができるのだろうか?。
これは「方向」とか「大まかな考え方」という言い方の方がぴったりなのでは」ということだった。

小池知事は“大風呂敷女”?

小池さんは以前、自らを「大風呂敷女」と言ったことがあった。
その意味を小池さんに近い人に聞く機会があった。

「小池さんの意思決定プロセスは、いろんな意見をいろんな人に持ち寄ってきてもらう。そして不必要なものは外にだし、必要なものは中に残す。大きな風呂敷のなかに持ってきてもらって選んだものを包むような感じだ」と。

つまり小池知事は「これをやる」と“最初から白黒はっきりさせる人”ではない、ということだ。

また、小池さんが1998年当時の自由党に所属していた頃から20年以上、彼女を見てきた筆者が思うのは、小池さんは「常に選択肢を多く持っておきたい人」ということだ。

最後の最後まで考え続け、自らが思う「ベストタイミングでベストな選択」をしたい、という思いからだろう。

2年前は築地市場跡地に「食のテーマパーク」と言っていたが、今年1月に公表された築地再開発素案では「食を超えた」という言い方をしているので変節だ、との批判もある。

これは小池さん的にいえば、変節したり選択肢を減らしたのではなく、むしろより食のテーマパークも含めた選択肢を増やした、といいたいのではないだろうか。

ここまで読んでくださった方の多くは「意味わからない」と思われるかもしれない。
確かにわかりにくいのである。だから反発が起きてしまっているのである。

市場(シジョウ)も様々

都庁内からは「『状況が変わったので変更しました』と、謝っちゃった方が良かったのでは?」と、いう声まで出ている。
また、「仲卸が築地に復帰する際のお手伝いはさせていただく」「市場機能をもたせる」などと言っていた小池知事が「築地に卸売市場を作らない」と発言したことにも批判の声があがっている。

しかし、そもそも一口に「市場(シジョウ)」と言ってもいろいろある。

「豊洲市場」や「大田市場」のような【卸売市場】は、法令に基づいて作られていて、正当な理由なしに産地からの荷物の受け取り拒否ができない、公共性が高い場所である。

一方で、築地の「場外市場」や「築地魚河岸」、京都の「錦市場」などはシジョウと言われるものの【商業施設】である。そのほか、「シジョウ」としてイメージするものというと【マルシェ】もそうかもしれない。

知事が「市場機能」といったときに、どのようなものを考えていたのかは、都庁内でもはっきりしていない。
「競り」という言葉も使っていたが、「あくまで一つの考え」としていただけで「築地に卸売市場を」と決めていたとは思えない。

豊洲市場で現在も営業し25年以上市場で働く仲卸業者は「築地に再び市場ができることはないと思っている」と、言う。
「豊洲に移ってから、買い出しの人が減り、売り上げが少なくとも1、2割ほど落ちているという話を仲間内でよく聞く。豊洲に立派な市場を作ったのに、似たような【卸売市場】を築地ほど近い場所に作るというのは考えられない。築地にこだわるのは良いが豊洲に店を構えた上に築地にも構える…そんな体力がある所がいくつあるんだろうか?」

きょう12日から3日連続で、小池知事出席のもと、都議会の予算特別委員会が13時から夜まで開かれる。
ここでも築地の再開発について議論が交わされるかもしれない。

様々な議論の場などを通じて、小池さんの「たくさんの選択肢を持っておく」やり方を都民がどう判断するのか?。それは来年の都知事選で明らかになるだろう…。

(執筆:フジテレビ 経済部都庁担当 小川美那)