死に直結する「人工透析」中止…医療現場で治療中止の選択肢を提示することの是非

  • 医師からの提示で人工透析を中止した腎臓病の女性が死亡  
  • 女性は治療中止同意後「治療の再開求めていた」との情報も
  • 生死にかかわる判断「患者の意思」はどこまで尊重されるのか

命にかかわる「人工透析中止」 同意した患者が死亡

2018年8月、東京都・公立福生病院で、外科医が40代の女性患者に対し人工透析治療をやめる選択肢を提示。
中止を希望した女性は1週間後に死亡したが、患者に治療の中止の選択肢を提示した医師の判断が適正なものであったかどうか?
人工透析治療では長期にわたる精神的・肉体的な負担が重くのしかかる中、その判断が議論を呼んでいる。

生涯続く長時間の治療…人工透析の重い負担

人工透析治療の実態を知るため取材班が訪ねたのは東京都内の人工透析の専門クリニック。8人ほどの患者が治療を受けていた。

人工透析を受けている男性(55):
(人工透析は)週3回です、基本週3回。前後の準備とか入れて(1回に)4時間半くらいかかる。

人工透析を受けている男性(55):
旅行とか好きだったけど…行けなくはないけど、旅先で病院を予約したりとか、面倒ですよね。出張とかもなかなか行きづらくなった。

1回4時間ほどかかる治療を週3回ほど受けるのが標準だという、人工透析。途中で腎移植を受けない限りは、生涯この治療を受け続ける必要があるという。

命にかかわる治療の中止…誰が判断できるのか?

人工透析を専門とする「東京透析フロンティア」の野老山代表は、治療の中止について「本人の決定が大原則」とするとともに、その決定が正しく下されたものか吟味する必要があると語る。

東京透析フロンティア 野老山武士 共同代表:
透析をやめることを「透析離脱」といいますが、それはすなわち「死」を意味することになります。

今回議論を呼んでいる公立福生病院で死亡した女性は腎臓病を患っており、5年間人工透析治療を行っていたという。
外科医はこの女性患者に対し、治療法とともに透析治療をやめるという選択肢を提示。
女性が透析の中止を選び、意思確認の同意書にも署名したことで治療は中止され、1週間後に死亡している。

治療中止の選択肢を提示したことについて、公立福生病院の外科医はこの女性が「透析の見合わせを検討できる終末期にあった」としているが、一方で女性は決断後に治療の再開を求めていたという情報もある。

このような経緯について今回取材した専門クリニックでは…

東京透析フロンティア 野老山武士 共同代表
(治療の中止について)「ご本人が決める」というのが、いかなる場合も大原則になります。ただしその決定をした時に、はたしてきちんとした判断をする意思決定能力があったのかどうか。特に生死が関わる場合はここをしっかり吟味しないと、本人の意思が本当に正しいものかどうかが不透明になってしまう

続けなければ命にかかわる治療をやめるという選択肢。人工透析を受けている患者自身はどう感じているのか?

人工透析を受けている男性(68)
医者が悪いと思う。選択があるってことは「死になさい」ってことだからね

人工透析を受けている女性(36)
15歳の頃からずっと糖尿のインスリン注射をしていたんですけれども、透析って聞いただけで拒否というかやりたくないというのが大きくて…ただ周りの看護師さんとか医療に携わっている方に優しく接していただけたおかげで、そこまで苦しまずに(透析を)導入できた

といった意見も挙がっていた。

また、公立福生病院には、2013年から2018年3月までの間に149人が他の病院から来院していたが、そのうち20人が透析を断っていたということも判明。

この人数について、野老山代表は「多すぎる」と指摘している。

東京透析フロンティア 野老山武士 共同代表:

(病院を紹介するということは)この人の透析を続けてくれという内科医の意思なわけです。透析を継続する意思がなければ(患者さんも)紹介先の病院には行かないですから、20人という数字はやはり多すぎる

東京都は、人工透析の中止が医療法に基づいて適正に行われたものかどうか、6日公立福生病院に立ち入り検査に入った。カルテや関係書類の分析などを通じて事実関係の確認を進めている。

(「プライムニュース イブニング」3月8日放送分より)

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