“カミソリの切れ味”を発揮し保釈を勝ち取ったゴーン被告の弁護士・弘中惇一郎氏のスゴ技とは?

カテゴリ:国内

  • 3度目にして認められた保釈請求。決め手は「監視カメラ」
  • 若狭弁護士「検察は現時点でそこそこの証拠を掴んでいるだろう」
  • 弘中弁護士は「無罪が取れてもおかしくない」と発言…裁判の行方に注目

3月6日夕方、カルロス・ゴーン被告(64)が、逮捕から108日目に保釈された。

保釈保証金は、なんと10億円。
「直撃LIVEグッディ!」では、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士に今回の保釈条件などを解説してもらった。

大村正樹フィールドキャスター:
カルロス・ゴーン被告に関しては、これまで2度、保釈請求が却下されています。

【ゴーン被告 逮捕後の流れ】

〈昨年〉
・11月19日 逮捕
・12月10日 再逮捕
・12月21日 再逮捕

〈今年〉
・1月11日 1回目の保釈請求 ⇒却下
・1月18日 2回目の保釈請求 ⇒却下
・2月28日 3回目の保釈請求 ⇒認められる

大村:
先月の半ばに弁護団が交代しているんです。そこで登場したのが、“カミソリ弁護士”と言う異名を持つ弘中惇一郎弁護士(73)。
弁護士が代わってわずか3週間で保釈請求が認められたということになります。1回目と2回目の保釈請求は前の弁護人が行っていますので。

なぜ? 3度目にして認められた保釈の“厳しい条件”

【これまでに弁護側が提示した保釈条件】

・1度目の保釈請求:フランス国内での居住などを条件として提示 ⇒却下
・2度目の保釈請求:手段を変え、都内の住宅から外出しない、ゴーン被告の足にGPSを装着すること、パスポートを裁判所に提出すること、検察庁に毎日出頭し捜査に協力することを条件として提示 ⇒再び却下

安藤優子:
2回目はそうとう厳しい条件に見えますが…

大村:
そうですね。2回目と3回目を比較すると、どう違うのか? 疑問に思うかもしれません。

大村:
3回目となる今回は、都内に居住すると言う条件。居住場所は定められていますが、今回は居住を条件としていて、デパートや1泊2日の熱海くらいなら外出できるというお話でした。
また、住居の出入り口付近に監視カメラを設置してゴーン被告の出入りに関しては常に報告するということ。パソコン操作は自宅内ではできず、弘中弁護士の事務所内でなら、時間を特定した上でしてもいいという条件。
通信手段に関しては、携帯電話もインターネット使用の制限をかけること。パスポートは弘中弁護士が管理。さらに、ケリー被告ら事件関係者への接触禁止という条件でした。
2回目と3回目の条件の決定的な違いはどこにあるのか?なぜ3回目は飲んでくれたのでしょうか。

若狭勝弁護士:
3回目で保釈となった理由の一番大きな要因は、監視カメラだと思います。監視カメラはふつうの弁護士の感覚では、なかなかそこまで踏み込めない。
つまり、監視カメラというのはゴーン被告の行動をチェックする、いわば人権にも関わる問題なんですが、そこまで言って保釈を申請すれば、裁判所は監視カメラによって証拠隠滅の具体的な防止策というのを弁護側が言ってきたということですから、それでもダメですよと裁判所が言うというのはなかなか難しいと。そこが一番大きな理由だと思います。

三田友梨佳アナウンサー:
でも監視カメラって、すべてを見ているわけでじゃないじゃないですか。むしろGPSを足に装着して、すべての行動を管理した方が厳しいように見えるんですが… 

若狭弁護士:
監視カメラというのは絶えず映していて、それを定期的に裁判所に提出するということになれば、気持ちというか精神的に、そこまで証拠隠滅をするという思いはありませんよという訴えは出来ると思うんです。
おっしゃる通り、検察の方は「監視カメラがあったっていくらでも証拠隠滅できるでしょう」という意見もあると思います。
検察側としては、保釈を認めたというのは「やっぱり問題があるんじゃないの」と思っていると思います。

カンニング竹山:
3回も保釈請求していて、検察が全然出したくないわけじゃないですか。
でもここまで長引くってことは、検察はカルロス・ゴーン被告に対して何も取れてないという可能性もあるんですか?

若狭弁護士:
2通り考えられます。そこそこちゃんとした証拠はあるけれど、保釈して口裏合わせされてしまうとその証拠が弱まってしまう、という考え方。
もう一つは、そもそもあまり証拠が強くない、だから保釈したくないというものです。
もし証拠が薄かったら、裁判所は保釈しようという判断に傾くんです。でも2回も、しかも準抗告しても保釈が認められなかったということは、現時点においてはそこそこの証拠はきちんとあるんだろうなと

安藤:
なるほど。それにしても保釈金10億円ってすごい金額ですよね。

生稲晃子:
ゴーンさんにとっての10億円って、妥当なんですか?多いんですか少ないんですか?

大村:
(ゴーン被告の)純資産は、米メディアによると112億円とも言われていますので、11分の1ですね。この金額どうなんでしょう。

若狭弁護士:
私は、ゴーン被告の資産から考えるともっと保釈金は高くなると思ってました。
結局、保釈金の金額というのは、本人の財産・資産に基づいて金額が算出されることが多いんです。
保釈保証金というのは、裁判所に行かないで行方をくらませたら没収されるわけです。没収されたら痛いなと思えるような金額じゃないとダメなんですよ。

大村:
普通、保釈保証金の決め方は「逃走した方が得」と思えない金額にするそうですが、ゴーン被告の場合は、10億円払ってもまだ100億以上残っていますからね。
ただ、本人は5日に次のような声明を出しています。

「無罪が取れてもおかしくない」弘中弁護士も強気の発言

【ゴーン被告の声明】
私は無実だ。公正な裁判で自らを守ることに全力で取り組む。

大村:
このように、裁判で戦う姿勢を見せています。弘中弁護士がかなり強い後ろ盾となったのでしょうか。

安藤:
今回、保釈に持って行ったのは弘中さんの実力ですか。

若狭弁護士:
結論から言うと、そう思います。今までの発想と違う攻め方をしたんです。
今回の保釈を勝ち取ったのは、予備戦なんです。裁判が本戦で、今回の保釈が予備戦。この予備戦は、少なくとも弘中弁護士が勝ったということだと思います。

安藤:
つまり、検察側にぐうの音も言わせないような反論に打って出たということですよね。

若狭弁護士:
そうですね。今回保釈になるということは、検察側は全く予想していなかったと思います。

安藤:
そうなんですか!

若狭弁護士:
というのは、1回目2回目の保釈が認められなかった時と、状況は全く変わってないんです。否認したままですし。
よもや3回目で保釈になるとは思っていなかった今は、相当驚き、ショックを受けてると思います。

大村:
その予備戦に勝った弘中弁護士、本戦となる裁判はいつになるか分かりませんが、おととい外国人記者クラブで記者会見をしています。

【4日の会見にて】

「私としては無罪が取れてもおかしくない」
「日産の方も10年以上前から知っていたことばかり。何のために今の時点で刑事事件として検察に届け出たのか、大変奇妙な感じがします」
「カミソリの切れ味があるかどうか試してみたい」

安藤:
もう“無罪”という言葉を使っているんですね!これだけの条件をつけてでも保釈を得たかったというのが現状なんでしょうか?

若狭弁護士:
そうですね。保釈を勝ち取ると、今度は自由に裁判に向けての戦略を練れるんですよ。ゴーン被告と弁護人が。そこが一番大きいんです。
だから、何が何でも保釈は勝ち取りたいということだったと思います。

 
見事保釈を勝ち取った無罪請負人“カミソリ”こと弘中弁護士。ゴーン氏の無罪を勝ち取ることはできるのか、注目される。

(「直撃LIVE!グッディ」3月6日放送分より)

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