カギは「自民にイエスかノーか」の1点 憶測消えぬダブル選挙 その実情と実現性【3】

カテゴリ:国内

  • 自民党とは「鵺のような政党」
  • 選挙結果を左右するのは「自民党に入れたくない空気」の濃度 
  • ダブル選挙の判断材料は、自民党への世論の風向き一つ

政界の主役であり続けてきた自民党

これまでの政党政治を振り返ると、様々な政党が生まれ、また消えてきた。平成の時代を通じてその体制を維持し続けてきたのは自民党、共産党、公明党(途中で新進党参加による断絶あり)だけである。中でも、平成の約30年間のうち約4年を除き政権の座にあり続けた自民党の存在感の大きさは言うまでもない。

そして今年の夏にあるのではという憶測が消えない衆参ダブル選挙の実現性を考える中では、「自民党は何をする政党か」という根源的な問いに突き当たる。

自民党は何をする政党か

「自民党は鵺(ぬえ)のような政党だ」とはある自民党の関係者の言葉だ。鵺とは頭は猿、胴は狸、手足は虎に似ているという伝説の怪獣のことで、転じて正体不明の人物やあいまいな態度のことも指す(広辞苑)。

確かに自民党は何をする政党か、明確に答えられる人は少ないかもしれない。党是である憲法改正についても岸田派(宏池会)、竹下派(平成研)など、改正に慎重なグループもある。
この2派閥と政策的立ち位置が異なり、いわゆるタカ派色の強い細田派(清和研)出身の安倍首相も、この国会では「全世代型社会保障」や「幼児教育無償化」といった、幅広い層に手厚い政策を掲げている。

以前言われていた、安全保障や社会保障などの大きな政策の方向性を示す「ハト派・タカ派」「大きい政府・小さい政府」という区分けも、今となってはあまり聞かなくなった。つまり、自民党は幅広い考えや思想を包有する「鵺(ぬえ)」であり、最近その傾向がさらに強まっているのではないだろうか。

消えていった保守系政党

自民党以外に保守系の政党として過去に誕生した新自由クラブ、日本新党、新生党、新進党、保守党、みんなの党、希望の党などはみな、その歴史に幕を下ろした。
保守系議員を抱える国民民主党も2月の支持率は0.8%(FNN調査)、「日本維新の会」も2.8%(同)と低くとどまっている。

前述の関係者は続ける。
「結局は自民党に(票を)入れたいか入れたくないかに集約される。有権者が自民党に入れたくない時に第三極などの動きが出るが、どこかで自民党に吸収されるかなくなるかの運命を辿る」

いわゆる55年体制以降、自民党が下野した衆議院選挙は過去に2度あるが、1993年の衆院選は政治改革を争点に自民党は守旧派とされ、2009年は自民党の首相が短期間で入れ替わる中で「政権選択」が声高に叫ばれ、自民党は政権の座から陥落した。

2009年の衆院選で自民党は政権から転落

いずれも「自民党に入れたくない」という空気が世の中に充満し、それに伴う反自民・非自民勢力への期待が高まったことが背景にある。
具体的に言えば、93年の政権交代は、リクルート事件をはじめとする政界汚職が日本新党・新党さきがけなどの誕生につながり、新自由クラブはロッキード事件に端を発した政治不信の流れから生まれた。いずれも震源地は自民党だ。

ただ、新しい勢力が立ち行かなくなったり、期待が失望に変わった時に有権者が選択したのもまた、自民党であった。

“政権選択”は吉か凶か

自民党内の“ダブル選論”は「参院選の負けを回避するために衆議院と一緒の選挙にした方がいい」というのが、その理由の一つとされている。

首相指名で衆議院の優越が認められているため、直接の政権選択につながらない参議院の選挙では、自民党政権を支持していても「お灸を据えたい」という心理が働くことも多い。そのため、参院選にあわせて衆議院を解散し「政権選択選挙」にすれば、参院選での自民党の議席を一定程度浮揚させる効果もあるとされる。

だが、そもそも世論に「自民党に入れたくない」という空気が広がれば、ダブル選挙は自民党が政権そのものを失う危険も生じる。ダブル選挙は、参院選で予想される自民党の苦戦を救う活力となるのか、衆参両院で「死なばもろとも」への道を進んでいくのか。世の中の空気が「自民党イエス」なのか「ノー」なのか、安倍首相は有権者の「声」にじっくり耳を澄ませているに違いない。

(フジテレビ 政治部デスク 山崎文博)

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