「肉食系以外の女性議員増加を!」 国会でハラスメント防止議論

カテゴリ:国内

  • 参院予算委で女性議員のハラスメントの実態を取り上げた自民党の有村治子議員
  • 片山さつき大臣も「政治に入って14年目、はっきり言ってある」
  • 有村氏は厳しい状況に「生き残れて環境適応した、肉食系の女性議員だけでいいのか」

今、国会にいる女性議員は肉食系ばかり??

今国会にいる女性議員はほとんどが肉食系議員なのか?ハラスメントを乗り越えて女性が国会議員になるのは、それだけ大変なのが現状なのか?そんなことを考えさせられる議論が3月4日の参議院予算委員会で、安倍首相や片山さつき女性活躍担当大臣も含めて展開された。

有村元女性活躍相が指摘した女性議員へのセクハラ実態

この問題をとりあげたのは、自民党で、かつて第2次安倍政権の一時期、女性活躍担当大臣を務めた有村治子氏だ。有村氏は質問の中で、「世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップで世界149か国中110位と世界に比べて女性活躍が遅れていて、特に政治分野についての女性活躍の遅れが足を引っ張っている」と指摘した上で次のように述べた。

 「女性の政治参画が進まない理由には立候補する時点において、つまり選挙においてアンフェアな壁があるのではないかと私は思い始めています。総理に通告はしていませんが、後でお伺いしたいので聞いていてくださいませ」

質問に立った自民党・有村治子議員(3月4日 参院予算委)

このように安倍首相にも質問を予告した有村氏は、女性議員ならではの苦労を語り始めた。

「例えば、わかった、あんたを支持してやると言うことで食事を食べようとか、お酌を強要されたりとか、少子化対策を言うならまずは結婚してからだとか、お前は結婚しているの、じゃあ(票を)入れないぞというようなことは日常茶飯事、私自身も経験しました。
また夜遅くまで仕事していると男性は『ご苦労様』となるが、女性議員ですと『ご主人と子供を犠牲にして家族に迷惑をかけて平気なの?かわいそうだね』というような。本人も自覚があるため、それを言われるとグッとくることがございます。
でもこれは女性だけに課されるハンディであって、そして後ろから腰に手をやられて、その手がだんだん下がっているということもみんな経験している、与野党問わず経験していることです」

「本当にはっきり言ってある」片山さつき大臣も賛同

そして、有村議員は「候補者に対して何をやっても許されるという風土が本当に健全な民主主義社会の発展にいいのか。与野党を超えて地方議員も含めて候補者ほど大変な思いに直面している。具体的な候補者に対するアンフェアな事例を集めて、公表してみんなで候補者に対するハラスメントを避けるべきだ」と訴え、片山さつき大臣の答弁を求めた。片山氏は次のように有村氏の意見に賛同した。

「指摘の通り今の男女共同参画基本計画でも、政治的意思決定において男女ともに積極的に参加し責任を担う社会でないといけないと決めて進んでいる。それと共にハラスメント行為自体があってはならない人権侵害ですから。
今委員がご指摘されたようなこと、私も政治に入って14年目になりますが、本当にはっきり言ってありますよ。そのうえに内閣府が昨年度実施した女性の地方議員4000名へのアンケートの結果ではなんと3割が女性として差別されたり、ハラスメントを受けた経験があり、それが議員活動上課題となっていると答えているという現実がある」

片山さつき女性活躍担当相

ハラスメント防止・女性議員増加への具体策は

その上で片山大臣は、ハラスメント防止策について次のように語った。

 「せっかくの機会なので、情報収集、その結果の分析、女性議員同士のネットワークや横連携といったことも含めて、今までの単なる参照事案ではなく一歩進めたまさに民主主義の根幹を守るためのハラスメント対策を行って参りたい」

この答弁を受けて有村議員は、自らも含めハラスメントが横行する中で国会議員となっている女性たちを次のように表現した。

有村氏の「今の女性議員は肉食系」発言に女性議員の反応は?

「国会においても女性議員は少ないです。しかしその中で今日ここにいらっしゃる女性議員をご覧になっていただいても、皆さんキャラクターが強いというか、たおやかというか、ハラスメントを悔しいと思ったのを、その困難を乗り越えて涙をぬぐってそれを鎧甲冑兜にかえて、たおやかにここに生き残れて環境適応した人だけがここにいます。だけどそんな肉食系の女性議員だけでいいのかと考えると、障害をお持ちの方、普通に子育てをしている方、いろんな経験がある方という多様な議会になっていくことが大事です」

「肉食系の女性議員だけでいいのか」と述べる有村議員

有村氏が自らを含めた女性議員を「キャラクターが強い」「肉食系」と表現した瞬間、委員会室は笑いに包まれた。ちなみに当の女性議員では、自民党の小野田紀美議員は大笑いし、今井絵理子議員は固い表情の中で、一瞬クスっと鼻で笑う様子。松川るい議員は男性議員に指を指されて「私?」と首をかしげ、立憲民主党の蓮舫議員は際立った反応は見せず冷静に質問を聞いていた。

有村議員の質問を聞いていた女性議員は…

そして有村氏は地方では自治体議員の成り手不足が深刻化する中、若い人や男性に対するハラスメントもあり「おそらく総理の最初の時も小泉進次郎さんもこのようなハラスメントがあったと思う。ハラスメントに決別する総理の一言をいただきたい」と質問すると安倍首相は、以下のように答えた。

安倍首相の答弁は…

「確かに地方議員においては女性議員の方が少ない状況でありますし、候補者そのものがなかなか少ない。今度の統一地方選でもずいぶん無投票の所が多い。山口県においてもそういうところは、なるべく女性の候補を出そうとするがいろんな問題がある。有村委員が指摘されたような女性特有の壁、あってはならない壁があったんだろうと思います。
なかなか男性は分かりにくいところがあるんで、しっかりと我々はそういう壁を取り除いて、有村さんが仰ったところの肉食系以外の方々、私が言っているのではなくて有村さんが仰ったところの、そういういろんな方々、多様な方が活躍できる場にしていきたい」

安倍首相が、自らが「肉食系」と言っているのではないと、予防線を張る姿には、またも笑いが漏れた。女性国会議員全員が肉食系ではないだろうが、肉食系でないと国会議員になりづらい土壌があるとしたら、それは由々しきことだというのは与野党問わず共通の認識だろう。

答弁する安倍首相

与野党ともに女性候補者の擁立推進は共通の課題

所属議員らのセクハラ発言がたびたび問題になるなどし、内閣支持率も男性に比べ女性の方が低い安倍自民党政権としては、女性候補者の擁立推進は課題の1つだ。そして立憲民主党は参院選の比例候補の4割を女性とすることを目指していて、女性限定の候補者公募を行うなど、先を行った取り組みを行っている。

ただ単に女性候補者を増やせばいいというのではなく候補者の質も問われるのは言うまでもないが、世界的に遅れている現状においては、「数」という結果が求められている部分もある。統一地方選、参院選に向け、いかに女性候補者を発掘・擁立し、多様な意見が反映できる政治を目指すかは、今年の選挙戦の1つの焦点になっている。

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