「大学生に、ノートPCはいらない」刺激的な広告文と動画に込めた真意とは?

カテゴリ:国内

  • 日本マイクロソフトSurfaceの宣伝広告が「攻めてる」と話題
  • “大学生あるある”ムービーを制作したのは、現役大学生の映像ディレクター
  • 「秘めた可能性を解き放ち、様々なことに挑戦してほしい」と伝えたかった

「大学生」になることがゴールなら…

大学受験も終盤となり、春を感じる季節となった。
まもなく迎える卒業と入学のシーズンを前に、新大学生に向けてノートPCの必要性を問う日本マイクロソフトの広告が、ネット上で注目を集めている。

「大学生に、ノートPCはいらない。」

白と黒のシンプルなデザインが文字を引き立たせる広告で、一際目を引くインパクトのあるキャッチコピー。
レポートや研究に取り組む大学生にとって、ノートPCは欠かせないのではないか、そして、Windows製品をはじめPCのソフトウェアを扱う会社がなんで?と驚くが、その下の文章を読むと、講義もバイト探しや旅行の計画も、「スマホがあれば、大学生活は乗り越えられる」と続く。

なるほど確かに、と納得してはいけない。その先には、「『大学生』になることが、ゴールの人たちにとっては」と、刺激的な言葉が傍点付きで強調されているのだ。

現役大学生の中には、皮肉に感じて反感を覚えた人もいるかもしれないが、さらに読み進めると、この広告に込められた本当のメッセージが明らかになる。

「大学の4年間は、自分を成長させる特別な時間」であるとして、「楽しいだけで過ぎていく4年間」を選ぶか、マイクロソフトのノートPC「Surfaceとともに世の中をあっと言わせる側にまわるのか」と問いかけ、「未来は、キミの手の中にある」と大学生を鼓舞する内容になっているのだ。

逆説的にPCの必要性を訴えたこの広告が2月28日に公開されると、ツイッターでは「うまい!」「読んでいったらいい言葉だった 」「パンチがあって素晴らしい」「思わず立ち止まってしまった。刺さる広告」と称賛の声が上がった。

大学生に、ノートPCはいらない。
だって、講義をサボったところで、答はネットにあがってる。出席も、SNSでお願いして友達に代返してもらえばいい。
バイトを探す。合コンをセットする。旅行を計画する。ほら、スマホがあれば、大学生活は乗り越えられる。
「大学生」になることが、ゴールの人たちにとっては。
大学の4年間は、自分を成長させる特別な時間。だから、興味があることを、とことん学んでもいい。
映画を撮ってもいい。音楽を生み出してもいい。新しいビジネスを立ち上げてもいい。
シェアされまくるコンテンツを、100万回再生を超える動画を、あふれるアイデアをカタチにして、大学生の殻を破ろう。
レポートも、企画書も、すべて思いのまま。楽しいだけで過ぎていく4年間を選ぶのか。
それとも、Surfaceとともに世の中をあっと言わせる側にまわるのか。未来は、キミの手の中にある。
(広告全文)

現役大学生の映像ディレクターが動画を制作

そして、同時に公開された動画も話題になっている。

動画に登場するのは、「大学生活なんて、スマホがあれば大体上手くいく」と考える大学生たち。
朝起きられずに講義の代返をメッセージアプリでお願いする「惰眠の王様」、スケジュールアプリを見ると、時間割よりもシフトが埋まっている「バイトホリック」、イベント情報を収集して旅行や打ち上げなどを企画する「遊びプロデューサー」、スマホを使った両手のフリック入力でレポートを作成するなど、あらゆる場面でスマホを片手に大学生活を楽しむ“大学生あるある”が描かれ、「スマホがあれば大体上手くいくから、大学生にノートPCはいらない」と主張。

しかし、後半になると雰囲気ががらりと変わる。

日常のさまざまなタスクをスマホで器用にこなしていく大学生たちを描いた前半が逆再生されて、動画の冒頭「実録!僕らのキャンパスライフ」というタイトルバックに戻ると、画面が遠ざかっていき、この動画をSurfaceで編集したのが、武蔵野美術大学の現役大学生で、企業のPR動画など映像ディレクターとして活躍する清水良広さんだったことが明かされる。

清水さんは、「本当にノート PC はいらないのだろうか?僕らはその先の何かになりたくて大学に入ったはずだ」とメッセージを投げかけ、「その先は、君の手のひらの中から創っていける。解き放て、想像力」とエールを送り、動画の本当のメッセージとしている。

どちらも全部を見れば伝えたいメッセージはわかるが、企業広告などがちょっとした表現で炎上する昨今、このような攻めた内容の広告はどのようにして作られたのか?
日本マイクロソフトの制作関係者に聞いた。

実際の大学生は、PCとスマホの“二刀流”がトレンド

ーーなぜ新大学生に向けた動画やポスターを作ろうと?

大学生の約7割が、3~4月にパソコンを新たに購入するという調査結果があり、新入生を中心に、大学生のみなさんがパソコンを購入する理由を改めて考えてほしいという思いから制作しました。
マーケティング活動を通して、「家電量販店で薦められたが、持ち運びするには重たかった」など、大学生活の途中で買い替えた、違うモデルにすればよかった、という声が多数聞かれ、後悔のないパソコンを選んでいただきたいと思い、使いやすくクリエイティブな作業も可能な製品を知っていただくきっかけとなればと考えました。

Surface Pro 6

ーー動画で描かれているように、大学生のほとんどはノートPCを使っていない?

「若者のPC離れ」や「新入社員のPCスキルの低さ」などがささやかれている中、大学生のPC利用に関する実態調査を実施したところ、大学の課題や講義のメモなどをスマホのみで作成する学生は6.6%に留まり、PCを使用するという学生が85.2%でした。
そのうち、半分以上の学生がPCとスマートフォンを併用していると回答し、用途に応じてPCとスマホを併用する”二刀流”が現役大学生のトレンドとなっていることがわかりました。
動画の“大学生あるある”は、スマホを活用して充実した大学生活を送る大学生たちの一面をピックアップしたものです。
大学生たちをキャラクター付けした「遊びプロデューサー」などの文字の下には、「#キャンプ #海 #合宿 #メッセージの通知なりやまない #二言目にはおつかれ」とハッシュタグをつけて、彼らの特徴を表現しています。


ーー現役大学生の映像ディレクター・清水良広さんは、動画制作のすべての工程を担当したのですか?

清水さんが担当した部分とプロが担当した部分がありますが、学生という目線からも全体の構成を見ていただき、アイデアもたくさんいただいたので、一緒に作り上げたという印象が強いです。
清水さんからは、次のようなコメントをいただいています。

「今回の動画は、まさに『PCとスマートフォンの二刀流』で制作しています。スマホとPCをリモートデスクトップアプリやクラウドサービスを連携させて、スマホから遠隔でレンダリングをかけたり、アイデアのメモやラフなど、品質と時間を両立させます」
「今回の動画では、どのように映ることで『学生生活には無限の可能性がある』ということを視聴者に伝えることができるのだろう?と考えました。出演者側から見た現場など、当事者になるまで分からなかった多くを学ぶことができました」

Surfaceで動画制作をする清水良広さん

出演者の中にも現役大学生がいて、演技について指示をした際には「学生はそんなことしない」と逆に指摘されるということもありました。そのような意見も取り入れることで、より一層自然な大学生の姿を描くことができたと考えています。
レポートを作成する学生がスマホを両手で操作しているシーンは、実際に出演者に入力してもらっているのですが、倍速再生など不要のスピードでした。
また、出演者としても参加していただいた清水さんが絵コンテを描くシーンでは、ペンを使ってスライドのページを送っていますが、この操作は標準機能でありながら撮影関係者も知らず、デジタルネイティブのスムーズな操作に驚くという場面もありました。
ちなみに、ロケ地は実際の大学で、動画の冒頭に登場する門に書かれた名称は「私立亜流亜留大学」としています。

“炎上”懸念もあったが…

ーー攻めた内容のプロモーションを行うことに対して、反対意見はなかった?

今回のプロモーションは、実施に至るまで長い期間がありました。
「『大学生』になることが、ゴールの人たちにとっては」というフレーズについて、見る人を煽っているようだという意見もあり、リスクを負ってでもやるべきかという議論がなされました。
しかし、広告や動画の本来の意図は、大学生のみなさんは多くの可能性を持っていて、Surfaceがその創造性を解き放つ下支えとなり、あらゆる分野に挑戦してほしいというメッセージにあります。
これを多くの方に伝えるために、インパクトのある手法を選びました。
その結果、「面白い」「大学に入った意味を考えた」という好意的な声をいただけたことは、思いが伝わってうれしく思います。
一方で、ネガティブなご意見も見落とさずしっかりと受け止め、今後に生かしたいと考えています。
動画では、バイトや遊びに熱中する大学生を描いていますが、何かに打ち込むことを否定しているわけではありません。自分の本当にやりたいことを考えたり、夢の実現に向けて一歩を踏み出すきっかけとなればと考えています。

ーーSurfaceが大学生におすすめの理由とは?

清水さんが絵コンテを描いたり、動画編集に使用していた「Surface Pro 6」 は、薄くて軽いスタイリッシュなデザインに、最大13.5 時間の長時間バッテリーを搭載し、気軽に持ち運ぶことができます。
Word、PowerPoint、Excel などが使える最新のOfficeを標準搭載していて、キーボード操作もスムーズで、勉強に集中できます。
また、ペンやタッチ操作にも対応しているので、授業のノートやデータ分析に加え、動画編集やイラスト制作などのクリエイティブな作業も思い通りにこなすことができます。
これらの特徴は、現役大学生を対象に行った「パソコンを選ぶときに重視する点」の調査結果の上位にも相当します。「軽さ」や「バッテリー継続時間」など、持ち運びのしやすさを観点にした項目が上位に上がりました。

3月1日からは、電車内や全国の主要駅、家電量販店などで広告が展開されている。設置場所は大学の最寄り駅などが中心で、チラシなどの配布も予定しているという。
また、学生がSurfaceシリーズを購入するとキャッシュバックを行うキャンペーンも実施中だ。

以前編集部で「『顔採用、はじめます。』攻めたコピーでもネットは好意的…その狙いを聞いた」という記事を紹介したように、インパクトのあるキャッチコピーを使っても炎上せず好意的に受け止められるケースがあるのは面白い。そして、これから大学生になるみなさんには、今回のキャンペーンのように、是非自分の可能性を信じて、いろいろな分野に挑戦してほしい。