これが雑誌『幼稚園』の付録!? 麺が“びょんびょん”動くラーメン…なぜ作った?

カテゴリ:暮らし

  • 小学館の雑誌『幼稚園』の付録に“動くラーメン”が登場
  •  クオリティが高いと話題!企業コラボシリーズの第7弾
  • 担当者「今のお子さんは目が肥えている」

本物そっくり! 湯気まで見えてきそうな“紙”ラーメン

みなさんは、「雑誌の付録」と聞くと、どのようなものを思い浮かべるだろうか?

雑誌を購入するともれなく付いてくる付録には、代表的なものではコミック誌だとシールやクリアファイルなどの文具、ファッション誌にはポーチや化粧品などがある。
また、人気キャラクターやアパレルブランドとコラボした付録が付いた「ムック本」と呼ばれる雑誌も多数発売され、今や付録は「おまけ」とは思えない豪華なものになっている。

そんな“付録戦国時代”ともいえる雑誌の中で、異彩を放つのが小学館の知育学習雑誌『幼稚園』だ。
子どもの頃に読んだ記憶がある人も多いと思うが、2月28日発売の4月号(税込1,080円)は2つの付録がついた特大号で、1つは3月1日公開の映画とコラボした「ドラえもん パラシュート」。
そしてもう1つが、昭和29年創業の人気ラーメン店「幸楽苑」とのコラボ付録「びょんびょんらーめん」

子どもらしさや可愛らしさとは程遠いイメージのラーメンの付録とは一体どのようなものなのか? 答えは小学館の公式ツイッターにあった。




ジーッジーッと低い音を響かせるラーメンどんぶり。驚くべきことに、宙に浮いた箸が中華麺を持ち上げ上下に揺れている。美しい箸上げだ。
そこへ、画面右側からトングで掴んだチャーシューをトッピングしていくと、徐々に麺の動きがゆっくりになってきた。手前には、きれいに盛り付けられたラーメンの写真が見える。

この不思議な動きと幼稚園児向けとは思えないクオリティの付録に、ツイッターのユーザーたちは大興奮。
「シュールすぎる」として完成した「びょんびょんらーめん」の動画をあるユーザーが投稿するとたちまち拡散され、「最近の付録はこんなことになってるの?クオリティが高い」「なにこれ欲しい!40手前ですが買います」「ラーメン屋さんの店先によくあるやつ」などのコメントが寄せられた。

大人だけが喜んでいるのかと思いきや、「作りました!息子は大喜びです。」「昨日の夜エンドレスでラーメン屋さんごっこさせられました」などのコメントもあり、子どものハートもがっちり掴んでいるようだ。

この「びょんびょんらーめん」は、企業とコラボした付録シリーズの第7弾で、そのコンセプトは、メニューの写真通りに具材を配置してラーメンを完成させよう!というもの。

気になる仕組みは、紙を組み立てて作る模型(ペーパークラフト)で、どんぶりの底にぜんまいを紙のカバーで固定している。
箸の先に麺と同じ黄色のストローを取り付け、スープの写真から出るぜんまいの先に刺すことで、マジックのように空中で箸が動くようになっている。

紙は切り取り線にそって取り外すことができるためハサミを使用せず、接着もテープで行うため、子どもでも安全かつ簡単に作ることができる。
ぜんまいを引いて、麺が上下している間にメニュー通りにすべての具材を並べることができたら、チャレンジ成功だ。

ぜんまいを紙のカバーでどんぶり底に固定する

なんともユニークな付録だが、幼稚園児にとって、ラーメンは渋すぎるような気もする。
なぜラーメンの付録を企画したのか? 毎回ネットで話題となる「企業コラボ」シリーズは、どのように生み出されているのか?
『幼稚園』の付録を担当している小学館の大泉高志さんに話を伺った。

実在のメニューを忠実に再現「びょんびょんする時間は30秒弱」

ーーなぜ幼稚園児を対象とした雑誌の付録にラーメンの付録を?

半年ほど前から企業とコラボした付録を付けているのですが、第7弾となる今回は、幸楽苑さんから「ウチと組みませんか?」というお話をいただいて、「びょんびょんらーめん」が実現しました。


ーー麺が上下している意味は?

街で見るラーメン屋さんの動く看板ってありますよね。あれをやりたかっただけです(笑)
あのミニチュア版が家にあったら、楽しいかな~と。

ーー2種類あるメニューの特徴は?

「極上中華そば」と「豚バラチャーシューめん」です。どちらも実在のメニューで、トッピングする具の内容が異なります。
このどちらも作れるように、次のような具材が付いています。

「極上中華そば」:チャーシュー4枚、ねぎ、めんま、なると
「豚バラチャーシューめん」:チャーシュー10枚、ねぎ、めんま


ーーメニュー完成に制限時間はあるの?

「びょんびょん」している時間は30秒弱です。
時間は一定ですが、ぜんまいなので多少の誤差はあるかもしれません。そこもアナログならではの良さということで。

「一人で考えているので、企画会議はしません」

ーーユニークな付録をつくるようになったきっかけは?

企業コラボ付録路線の前は、ヒーローものなどのキャラクターを冠した付録を付けていましたが、売上的に苦戦していたため、目先を変える必要がありました。
昨年9月号の「くら寿司」さんとのコラボ付録から、これまでの発想から解き放たれました。
基本的には付録担当である私が一人で作っていて、毎号かなり自由に作らせていただいています。


ーーこれまでの「企業コラボ」付録はどんな内容?

初回は昨年9月で、今回の「びょんびょんらーめん」までに6つの企業とコラボしています。

【2018年】
9月号「かいてんずし つかみゲーム」くら寿司とコラボ
10月号「1/12カプセルステーションⅥ」(実物の12分の1の大きさのガシャポン)バンダイとコラボ
11月号「どっかん!ピザづくりパズル」ピザーラとコラボ

【2019年】
1月号「ぐるぐる!おかしすくい」明治とコラボ
2月号「メダルおとしゲーム」セガとコラボ
3月号「ランドセルめくり」(「天使のはねランドセル」とのコラボ)セイバンとコラボ

左:「かいてんずし つかみゲーム」 中央:「1/12カプセルステーションⅥ」 右:「どっかん!ピザづくりパズル」

ーー企画会議はどのような雰囲気で進行するの?

一人で考えているので、企画会議はしません。上に案を見せてOKをもらう、くらいです。


ーー“おもしろい付録”を考えるコツとは?

「子どもの欲望に忠実に」を大切にしています。
かいてんずし つかみゲームは、プライベートでくら寿司さんに行った時にお子さんが大盛り上がりしているのを見たのがきっかけですし、ガシャポン付録は、近所のスーパーでガシャポン筐体の前で「1回だけ!1回だけ!」と泣き叫ぶお子さんを見たのがきっかけです。

左:「ぐるぐる!おかしすくい」 中央:「メダルおとしゲーム」 右:「ランドセルめくり」

ーー『幼稚園』という雑誌の付録づくりにおいて心掛けていること、工夫していることは?

「本物そっくりに作る」ということです。今のお子さんは目が肥えているので、適当に作ると「ニセモノじゃん!」と見抜かれてしまいます。
ガシャポンであれば、背面のネジの絵まで再現していますし、びょんびょんらーめんであれば、10枚のチャーシューはすべて違う写真を使っています。
だって、現実に同じチャーシューは2枚とありませんから(笑)


ーー『幼稚園』の付録ファンにメッセージをお願いします。

「作るのが面倒!」というお叱りは、いつもいただいてまして。少しでもカンタンに作れるよう工夫はしていますが、それでも時間はかかってしまいます。
編集部としては、「作る過程も楽しんでいただければ」と思っています。
お子さんが部品を切り離して、おうちのかたが組み立てるという感じで、「親子のコミュニケーションの時間」と捉えていただければ。

次回の「企業コラボ」も教えてもらいました

子どもだけでなく大人も興味津々の「びょんびょんらーめん」。大人が買っても問題ないのかと聞くと、「問題ないどころか、むしろ買ってください(笑)」との回答があった。
雑誌は4~6歳の幼稚園児がメインターゲットだが、「大人が面白がっていただくのも大歓迎です。大きな声では言えませんが、そばやうどんに改造していただくのも面白いかもしれません(笑)」とのことだ。

人気のために毎回すぐに完売してしまうという情報もある通り、企業コラボシリーズが始まってからの売り上げは「上向いている」そうで、ガシャポン(2018年10月号)とメダルおとしゲーム(2019年2月号)が付録になった2号は、1~2週間で10万部が完売したという。
「びょんびょんらーめん」が付いてくる4月号の販売状況は、まだ正確なデータが出ていないということだが、大泉さんは「バズりの様子をみるに、完売しそうな勢いです」と分析する。

気になる次回の「企業コラボ」付録の内容も教えてくれた。
5月号(4月1日発売)は、前回完売した「ガチャマシン」を今度はタカラトミーアーツとのコラボで企画していて、「本物そっくりの筐体が出来上がりますので、前回買えなかった方も今回はぜひ」とのことだ。

また、6月号以降も「なんじゃそれ!」と驚いてもらえるような付録を仕込んでいるという。「誰もが知る有名企業さんとのコラボばかりです。お楽しみに!」ということで、期待が高まる。
子どものためと言いながら親も欲しくなるような、そしてもちろん子どもも楽しめる「企業コラボ」シリーズ付録は、子ども目線の好奇心と、細部まで本物に似せようという情熱によって作られていた。