「月に行ける世の中、なぜ破れないストッキングがないの?」 女性の疑問が開発に繋がった

カテゴリ:話題

  • カナダの起業家女性が開発
  • 防弾ベストと同じ繊維を使用 強すぎて機械も壊れた
  • ニューヨーク支局で実験してみると・・・

「破れない」ストッキング?!

破れないストッキング・・・ 
女性なら誰もが一度はあったらいいと思ったことがあるだろう。

私自身、買ったばかりのストッキングを、急いで履いた途端、爪が引っかかり破れてしまい、朝からイライラしたことが何度もある。履き方や洗濯や保管の方法を工夫しても、ストッキングの伝線という悩みから抜け出すことはできなかった。今ではストッキングは消耗品で、伝線するものだと諦め、安価なものを購入したり、破れたストッキングを掃除などに再利用したりして気持ちを紛らわしているが、それは根本的な解決ではない。

「破れない」とされるストッキングがあると知った時、ニューヨーク支局の女性陣は沸いた。

シアテックスの社長 キャサリン・ホマスさん

カナダの企業シアテックスの社長で起業家の女性、キャサリン・ホマスさんは「なぜ、月に行くことができ、自動運転車もある世界に、一日中長持ちするストッキングがないのか」と疑問に思い、おととし、ストッキングを作るための会社を立ち上げ、最強のストッキング作りに取り組んだ。

ストッキングはなぜ破れるのか

では、普通のストッキングは、なぜ破れるのか? 
原因の一つは網目にある。1本の糸を編んで作られるため、一ヵ所が破れると、すぐに伝線しほつれてしまう。また、ゴム素材のポリウレタンとナイロンで出来ているため、ゴムが伸びきると繊維が弱くなってしまう特徴がある。

このため、メーカーはストッキングを強化しようと、編み方や、糸の材質を工夫したり、破れやすい場所を加熱するなど特殊加工を試みている。

防弾ベストの繊維を使って開発

ホマスさんは、このすべてを一から見直したという。

目をつけたのは、防弾ベストや登山用具などに使われる超高分子量ポリエチレンという繊維だ。この繊維を使って、独自の繊維を開発し、特殊な編み方でストッキングの形に編みこんで作られたのが、今回のストッキング「シアテックス・シアーズ」だ。この会社によると、強度と薄さの両方を兼ね備えた例は、これまでないという。

興味を持った私たちは、早速ストッキングをカナダから取り寄せた。小さな黒い布袋に入れられて届いたストッキングは、普通のストッキングよりは若干厚めな気もしたが、見た目も手触りも普通のストッキングと変わりない。果たして本当に破れないのか? ニューヨーク支局で、思いっきり引っ張ったり、わざとファスナーではさんでみたりして、実験してみた。実験動画を見て頂こう。

動画で検証

まずは引っ張りテスト。
普通のストッキングと、「破れない」ストッキングを引っ張って比較してみる。
(実験:ニューヨーク支局 柳川晶子)

次にファスナーに引っ掛けて強さの比較

繊維が強すぎて機械が壊れた?!

実験の結果、シアテックスのストッキングは確かに丈夫だった。ホマスさんによると、このストッキングの製造には、並々ならぬ苦労があったという。

カナダ東部トロントから車で2時間弱の場所にあるオンタリオ州マスコーカ地域に構えた製造施設では、繊維を開発した後も、製造過程で試行錯誤を繰り返した。厚すぎる、伸びない、染まらないなどの難点を一つ一つクリアにしていった。繊維が強すぎるため、何度も機械が壊れ、独自の製造工程を開発したという。      

苦労の末に完成したストッキングは、アメリカのタイム誌による「2018年発明品ベスト50」に選ばれ、現在、特許出願中だ。去年インターネット上で、期間ごとに数量を決めて販売をスタートした。現在の販売価格は99ドル! 今のところ色の種類は黒だけだが、ベージュも追加して、今年夏の配送予定で69ドルで注文を受け付けている。

この価格どう捉えるかは個人差があると思うが、シアテックスの軽くて「破れない」素材とニット技術は、他の衣服への応用も期待でき、今後の動向にも注目したい。

【執筆:FNNニューヨーク支局 武ゆかり】

【関連記事:「取材部」すべての記事を読む】

取材部の他の記事