蜜月一転“合意に至らず…”番記者が見た米朝首脳会談決裂の舞台裏

  • 昨日の“蜜月”が一転、今日の米朝協議では「合意に至らず」
  • 予定されていた昼食会も急遽キャンセルト
  • 番記者たちが見た、交渉の舞台裏とは…

トップ会談で何が話し合われたか?

日本時間の28日午後4時15分から行われたトランプ大統領の記者会見。
北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談で合意できなかったこととその理由を明らかにした。

トランプ大統領:
我々は大変、生産的な時間を持つことができました。
きょう1日、時間を使って金正恩委員長とともに話し合いをしてきました。
しかし、選択肢がいくつかある中で、いま進めない選択をしました。
基本的に(北朝鮮は)制裁の解除を求めていました。完全な制裁解除です。我々は、それはできません。
また、非核化についても、我々が考えていた地域の大半については同意を得られたが、全部は譲歩できないため調印は取りやめになりました。

北朝鮮が経済制裁を完全に解除するよう求めてきたため、拒否したというのだ。

ベトナムの首都ハノイで27日夜から始まった今回の米朝首脳会談。
トランプ大統領が金委員長を「すばらしいリーダー」と持ち上げると、金委員長は笑顔をみせた。 

トランプ大統領:
北朝鮮はとてつもない経済的な潜在力を持っていると思う。
素晴らしいリーダーの下、輝かしい未来がある。その実現を私たちが手助けする。

北朝鮮は、28日朝の労働新聞に17枚の写真を掲載するなどして、8か月ぶりとなる会談の様子を大きく伝え、一夜明けた2日目の会談でも、両首脳は会談の進展に向けた意欲を語っていた。

金正恩委員長:
昨日に続いて、この瞬間を世界中が見守っていると思う。今日素晴らしい結果が出るように力を尽くす。

トランプ大統領:
核実験、ロケット発射などを実施していないことをうれしく思う。スピードは重要ではない。

28日の労働新聞

ところが、日本時間の28日午後2時ごろから予定されていた昼食会が、急遽キャンセルに。
当初予定されていた合意文の署名式も行われないまま、両首脳は会場をあとにした。

この情報が伝わったのは、日本時間の午後3時過ぎ。国会では審議そっちのけで、タブレット端末でこのニュースに見入る議員の姿があった。

今後について、トランプ大統領は「両国の関係を維持しつつ、今後の様子を見守っていきたい。私は金委員長の言葉を信じていきたいと思う」と語り、時間が経てば歩み寄れるという考えを示した。
しかし、ポンペオ国務長官は、「核施設のリスト提出で合意できなかった」と、していて今後の交渉は難航も予想される。

「非核化」と「制裁解除」

倉田大誠キャスター:
トランプ大統領の記者会見の主なポイントをまとめました。

1つ目、北朝鮮の金氏が求めた「完全な制裁解除」。
これに対して、トランプ大統領は「譲歩はできない」ときっぱりと述べていました。

2つ目の大きなテーマ「非核化」について。
距離は縮まっているという話はありましたが、具体的な方法や工程は特に示されませんでした。

3つ目。「核実験とミサイル発射はしない」と金正恩氏が明言をした、という発言がありました。

さらに、3度目となる次の首脳会談は約束をしていない。
しかし、北朝鮮との関係は決して悪いものではない。
そして、核査察については「北朝鮮側が数か所、提案してきた」という発言もありました。
非核化についての具体的な対策は述べられていない中、現地ではどのような反応があったのでしょうか。
現地メディアセンターにいる反町キャスターに聞いた。

(左)反町理キャスター (中央)ワシントン支局・瀬島隆太郎記者 (右)ソウル支局・渡辺康弘記者

反町理キャスター:
今回の交渉決裂となった背景にあるものとして、トランプ大統領の会見から伺い知ることができます。
「金正恩氏はまず制裁の完全解除を求め、その後、ヨンビョンの核施設などを廃棄すると言ってきたが、私はそれに応じることはできなかった」とトランプ大統領は北朝鮮の金委員長とのやり取りを紹介しています。
FNNソウル支局長の渡辺さん、この北朝鮮側の要求。非核化が本当だとすると、制裁の完全解除とヨンビョンの廃棄を比較して、「これをするからこれをしろ」とバランスを欠いているように見えますが、この北の提案の真意はどうご覧になりますか。

ソウル支局長・渡辺康弘:
無理難題を吹っかけていると思います。北朝鮮の外交戦略で、相手側を困惑させつつ、そこを基準にしてそこから少しずつ妥協をする形で、より多くの実を得ようという戦略があったのかもしれません。
ただ、結果的に制裁がずっと続いている状況になりますから、最近は北朝鮮は制裁の影響でかなり経済的に疲弊しているという情報もありますし、今の状況が北朝鮮にとって望ましい狙いどおりだったのかどうかは、まだ現時点では判断できないと思います。

反町理キャスター:
そうすると、金委員長は最初は高めの球を投げ込んで、交渉の過程で下げる可能性もあったかもしれないが、トランプ大統領が「それはだめだよ」と蹴ってしまった、というような可能性があるということですか?

ソウル支局長・渡辺康弘:
そうですね。それ以外では、これだけ差のあるカードと求めるものの差があるというのは、なかなか理解が難しいかなと思います。

反町理キャスター:
FNNワシントン支局の瀬島さん。アメリカ側からすると、今回の金委員長の提案はどう見えたと感じますか?

ワシントン支局・瀬島隆太郎:
もし、このディールに応じてしまえば、アメリカ側は今後の北朝鮮との交渉過程の中で最大のカードを失うことになるわけですね。仮に、ヨンビョンの核施設が廃棄されたとしても、ほかの核関連施設はどうなのか。さらに施設自体が全部なくなったとしても、技術やノウハウというのは蓄積されているわけですよね。
そうすると、そういったものを全て芽を摘み取っていかないと、完全解除には応じられない。そういうことだったんだと思います。

反町理キャスター:
北朝鮮側は、もしかしたらトランプ大統領が国内でマイケル・コーエン元顧問弁護士の問題を抱えている中でハノイで何かしらの成果を持って帰らなければならない状況で嵩にかかって攻めてきたんじゃないかと。
そのあたりはいかがですか?

ワシントン支局・瀬島隆太郎:
トランプ大統領の足元を見て、北朝鮮が高めの球を投げてきたということだと思います。

反町理キャスター:
そこをトランプ大統領ははじき返しましたが、逆に言うと、要求を飲んでしまうとワシントンに戻った時に、さらに立場が悪くなる可能性があったかもしれない?

ワシントン支局・瀬島隆太郎:
もともと安易な妥協をしてしまうという懸念はずっと指摘されていましたので、さすがにこれだけ溝がある違うカードだと、トランプ大統領としては妥協できなかったということだと思います。

島田彩夏キャスター:
今回、首脳会談で何らかの合意が形の上ではあるのかと思って我々も見ていたんですが、1回目も取材された反町さんは、2回目の結果をどのように受け止めていますか?

反町理キャスター:
8か月前のシンガポールでの米朝首脳会談においては、米朝関係の改善や非核化の問題や遺骨の収集だとか4項目の合意があって、シンガポールの共同宣言が出ました。
今回、その4項目がどう進んでいくかがポイントでしたが、どうやら具体的な話以前に今のポイントの一番高めの球を投げ込んだことによって、話がすでにそこで止まってしまった。
つまり「何も進展を確認できないまま」ハノイが終わってしまったのではないか、という印象を受けています。ではそれは、北朝鮮にとってはどういうデメリットなのか。トランプ大統領についてはどういうデメリットだったのかは、もう少し時間をかけて精査しないと見えてこないかもしれません。

(「プライムニュース イブニング」2月28日放送分より)

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