相次ぐ児童虐待死受け「厳罰化」浮上 自民若手が再発防止策めぐり賛否 

カテゴリ:国内

  • 相次ぐ児童虐待死を受け自民若手が勉強会
  • 児童虐待罪の創設による「厳罰化」に賛否の声
  • 自民女性局長も野党も虐待防止に本腰で議論活発化

失われた2つの幼い命に永田町で対策の動き活発化

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昨年3月、東京・目黒区で亡くなった船戸結愛ちゃん(5)が遺したノートに綴られていた、あまりに辛い内容。父親と母親は、結愛ちゃんに十分な食事を与えず暴行を加え、結愛ちゃんは低栄養状態などで起きた肺炎による敗血症で死亡し、将来を奪われた。

また今年1月には、千葉県野田市の栗原心愛さん(10)が父親から暴行などの虐待を受けた末に亡くなった。心愛ちゃんは一時、児童相談所に保護されたものの、父親に「お父さんにたたかれたのはウソ」という手紙を書かされ、去年3月に保護が一旦解除されていた。保護の解除以降、児童相談所は一度も面会に訪れなかったという。これらのあまりにも惨い虐待事件の未然防止に向け、永田町では様々な動きが活発化している。

死亡した栗原心愛さん(10)

児童虐待罪の創設と厳罰化

2月26日、自民党の石崎徹衆院議員の呼びかけで3期生以下の若手議員による「児童虐待罪の創設と厳罰化」に向けて検討する勉強会の初会合が開かれ、約20人の議員が出席した。

自民党・児童虐待罪の創設と厳罰化の勉強会・初会合(2月26日)

児童虐待対策を巡っては、既に超党派の議員連盟などが存在するが、この若手の会合では“厳罰化”による虐待根絶に特化する形で差別化をはかっている。

冒頭、石崎氏は「14年間で727人の子供が虐待死によって亡くなっている。かなり長期間にわたって暴行を受け拷問のような形で殺されている子供がいる」と指摘した。

その上で石崎氏は虐待加害者について「どんな刑を受けてきたのか、平成に入ってから死刑判決1件、無期懲役判決が2件、懲役30年が1件で、非常に重い刑罰はあまりかかっていない」と指摘し、児童虐待罪を創設し「厳罰化したい」と明言した。

石崎徹衆院議員

これをめぐって、出席議員からは、以下のような賛成論があがった。

「飲酒運転がなくなった(減った)背景には、危険運転致死罪があるので、ある程度の厳罰化は大事」
「危険運転致死罪の時も、ああいう法律を作ることで社会規範が変わる流れもある。それが虐待を抑止する力にもなる」 

重大事故を引き起こし社会問題となっていた自動車の飲酒運転が、「危険運転致死傷罪」の創設や飲酒運転の罰則強化によって、大幅に減少したのを先例に、厳罰化によって虐待を抑止できるという考え方だ。一方で出席者からは、以下のような慎重論も出た。

「法律を作ればそれで虐待防止できるわけではない。下手に児童虐待防止罪を作って、本来傷害罪とかで裁かないといけないのに虐待罪で軽い罪になったら良くない
「離婚率が上がり母子家庭も増えている中で規範とか風土、しつけの概念が曖昧になっている。厳罰化されない社会を作ることも基本だ」
親子関係を修復したいという人もいるかもしれないからそこは考慮しないといけない」

親権や性的虐待をめぐり多角的な議論も

こうした厳罰化への賛否両論に加え、虐待が起こる背景や性的虐待、親権のあり方などについても、様々な角度でから意見が出た。

「虐待による親の常習性とか継続性も研究したい」
「児童虐待の肝は何かというと、顔をたたかれたとかより、どちらかというとネグレクトの方がひどい。日本と海外で違うところは“親権”制度だ。これを議論しないといけない時期に来ている」 「性的犯罪を起こした人にGPSをつけるべき

特に性的虐待に関しては、現在13歳と定められている性交同意年齢の引き上げの必要性を訴える議員もおり、今後の課題となりそうだ。

勉強会は、こうした意見を元に今後は有識者や学者を交えて会合を重ねた後、4月頃をめどに山下法務大臣と塩崎元厚労大臣に申し入れを行う予定だ。

三原じゅん子女性局長「虐待の加害者は男性が増加傾向にある」

さらに同日夕方、自民党本部では三原じゅん子女性局長が児童虐待防止に関する会見を行った。

三原氏は「身体的虐待、精神的虐待、ネグレクト、性的虐待、児童虐待にはこの4つがある。今までは身体的虐待が一番多くあったが最近は精神的虐待が増えてきた。虐待をする人が今までは8割と言っていいほどが実のお母さんだったが、今は父親、あるいは母親の現在の交際相手など男性側に増加傾向がある」と、近年の虐待傾向について述べた。

会見する三原じゅん子女性局長(2月26日)

その上で児童虐待の通報などに対応する“児童相談所全国共通ダイヤル「189」(いちはやく)”の普及を徹底したいと強調した。また、近く自民党女性局で一斉に街頭演説を行い直接街の人に訴えかけると発表した。

野党でも議論活発化、政府与野党を超えて求められる早期の未然防止策

一方の野党も去年、結愛ちゃんの事件を受け、児童福祉司のさらなる増員などを盛り込んだ児童虐待防止法改正案を提出したが、国会での審議には至らなかった。また今回の心愛さんの事件を受け、立憲民主党などは新たな法案作成の検討に入っている。

政府も、児童相談所の人員不足対策や警察との連携強化などの対策に着手しているが、こうした与野党の議員による活発な議論と行動が政府の背中を押し、効果的な児童虐待未然防止策の早期実行につながることが期待される。

(フジテレビ政治部 自民党担当 森本涼)

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